コラム
2025-03-24
サイコグラフィックとは?デモグラフィックとの違いや活用事例を紹介

価値観が多様化する現代において、効果的にターゲットへアプローチするには、消費者のライフスタイルや価値観を理解するプロセスが欠かせません。その際に役立つのが、「サイコグラフィック」です。今回はサイコグラフィックの基本概念や収集方法、活用事例などをわかりやすく紹介します。
目次
サイコグラフィックとは
サイコグラフィック(心理的変数)とは、心理的特性に基づいて消費者を分類する基準のことです。具体的には、ライフスタイル、価値観、興味・関心、購買動機などの要素を分析し、ターゲット層の深層心理を理解することで、より効果的なマーケティング戦略の立案に活用します。
例えば、次のようなデータがサイコグラフィックです。
サイコグラフィックの例:Aさん
・ライフスタイル:アクティブで健康志向、週末はリフレッシュに重点をおいている
・価値観:環境配慮や便利さを重視し、自分への投資を惜しまない
・購買動機:「自分らしさ」を追求し、自分にあっているかどうかを大事にする
同じ年齢や収入の人でも、ライフスタイルや価値観によって選ぶ商品やブランドはさまざまです。サイコグラフィックを活用し、Aさんの心理的特性を分析することで、Aさんに響く商品やサービスを的確に提案できるようになります。
サイコグラフィックの具体的な活用場面は、セグメンテーションです。セグメンテーションとは、顧客を年齢や収入、価値観などのグループ(セグメント)ごとに分類する分析手法のことで、効率的なマーケティング活動や顧客満足度の向上に役立てられます。
サイコグラフィックに関連したセグメンテーションやセグメントについて詳しく知りたい方は、下記のコラムをご覧ください。
顧客セグメントの意味や作成方法とは?活用メリットやマーケティング分析での事例を紹介 | 株式会社 ロイヤリティ マーケティング
サイコグラフィックの要素

サイコグラフィックは、消費者の心理や価値観を分析し、購買行動の背景を明らかにするために活用されます。サイコグラフィックの代表的な要素は以下の通りです。
サイコグラフィックの要素の例
・ライフスタイル:ノマドワーカー、休日はインドア派 など
・興味・関心:映画鑑賞、旅行、読書 など
・価値観:量より質、仕事はやりがい重視 など
・性格:積極的、正義感が強い、マイペース など
ジオグラフィックやデモグラフィックとの違い

サイコグラフィックと混同されやすい言葉に、「ジオグラフィック」と「デモグラフィック」があります。どちらもセグメンテーションの要素です。マーケティング活動において適切に使用できるように、ここではサイコグラフィックとの違いについて紹介します。
ジオグラフィックとの違い
ジオグラフィック(地理的変数)とは、地理的要素で消費者を分類する基準です。サイコグラフィックと違い、居住地や生活圏などの要素に焦点を当て、地域による生活環境や文化の違いが購買行動に与える影響を分析する際に活用します。
地域特性を活かしたマーケティングの事例については、以下をご覧ください。
エリアごとの居住者の基本属性や価値観属性に加えて ID-POSによる購買属性も分析 各エリアの顧客プロファイルを定め、エリアキャンペーン立案に活用
デモグラフィックとの違い
デモグラフィック(人口統計学的変数)とは、人口統計データに基づいて消費者を分類する基準です。例えば、デモグラフィックでは「30代の独身男性」「年収500万円以上の共働き世帯」といった分類をします。
サイコグラフィックと違い、年齢・性別・職業・所得・家族構成などの社会経済的属性で顧客を分類するのがデモグラフィックです。別の表現をすると、サイコグラフィックは「なぜ購入するのか」を示すのに対し、「誰が購入するのか」を示す基準がデモグラフィックともいえます。
サイコグラフィックが注目される理由

サイコグラフィックが注目されるのは、ターゲティングの精度を高め、より効果的な施策につながることが期待されるためです。さらに、近年は消費者の価値観やライフスタイルが多様化し、購買行動の傾向が捉えにくいことも挙げられます。
例えば、20代女性という属性だけでは「どんな化粧品が好まれるのか」を正確に判断することは困難です。サイコグラフィックを活用することで、「ナチュラル志向なのか、それともトレンド重視なのか」といった心理的特性を分析し、より精度の高いマーケティングが可能になります。
サイコグラフィックの収集方法
サイコグラフィックのデータを収集するには、消費者の価値観や購買動機を正確に把握できる手段が必要です。ここでは、サイコグラフィックの代表的な収集方法として3つのやり方を紹介します。
アンケートやインタビュー

サイコグラフィックを収集して消費者を深く理解するために、アンケート調査やインタビューを実施する方法があります。特に、自由記述式のアンケートやデプスインタビュー(深掘り型の対話形式調査)は、消費者の潜在的な価値観や購買理由を明らかにするのに有効です。
アンケートの具体的なやり方やデプスインタビューの手順などについては、以下の記事で詳しく解説しています。
顧客へのヒアリング

販売現場やカスタマーサポートを通じて直接顧客と対話することで、サイコグラフィックの収集に役立ちます。店舗スタッフや営業担当者が、趣味や家での過ごし方などついてヒアリングすることで、ターゲット層の嗜好や行動パターンをより詳細に把握することが可能です。
WebサイトやSNSのデータ分析

近年、デジタルマーケティングの発展により、Webサイトの閲覧データやSNSにおけるユーザーの行動を分析することで、サイコグラフィックを収集しやすくなっています。例えば、以下のようなデータがサイコグラフィックの収集に有用です。
サイコグラフィックに活用できるデータ例
・SNSの投稿内容やいいねの傾向:ユーザーが関心を持つトピックを知るヒントになる
・Webサイトの行動データ:よく閲覧されるページや滞在時間の長いコンテンツを調査できる
・検索クエリの傾向:ユーザーがどのようなキーワードで情報を探しているかを把握できる
サイコグラフィックの活用事例
サイコグラフィックを取り入れることで、購買動機や行動の背景を読み解き、より効果的なマーケティング戦略を設計することが可能になります。では、サイコグラフィックは具体的にどのように活用されているのでしょうか。ここでは、サイコグラフィックの3つの事例を紹介します。
ペルソナを作成する

サイコグラフィックは、デモグラフィックと組み合わせることで、ペルソナの作成に活用できます。ペルソナとは、架空の顧客モデルを詳細に設定し、実際の消費者行動を理解するための手法です。ペルソナの設定により、ユーザーニーズを反映したアプローチが可能となります。
ペルソナの例
・鈴木A子さん
・年齢:32歳
・性別:女性
・職業:IT企業のマーケティング担当
・居住地:東京都港区
・年収:600万円
・家族構成:一人暮らし
・ライフスタイル:平日は忙しく働き、週末はヨガでリフレッシュ。
・趣味:旅行が好きで、年に数回は海外旅行へ行く。
・興味関心:最新のマーケティング手法やデジタルツールに関心がある。
ペルソナの具体的な作成方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
マーケティングにおける「ペルソナ」とは?設定方法や失敗しない手順を解説 | 株式会社 ロイヤリティ マーケティング
また、共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営する弊社は、Pontaを活用して企業のマーケティング活動を支援しており、その一環として「PERSONA+」というサービスを提供しています。
本サービスは、会員5万人への200問以上のアンケートから抽出した価値観を構成する要素に基づいて15の価値観クラスターを構築したものです。企業の保有データや推計データと組み合わせることで、ライフスタイルや価値観を詳細に分析し、データドリブンな手法でペルソナを設計します。
作成したペルソナを活用すると、ターゲットに応じたプロモーションを展開することが可能です。例えば、Ponta会員の中から価値観が近い層をセグメントし、メール広告やアプリ、郵送DM、SNSなどのチャネルを通じてアプローチできます。
PERSONA+の具体的な内容や事例について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
インサイトを発掘する

消費者の行動や心理を理解するために、サイコグラフィックの視点を活用した事例が数多くあります。特に、インサイトの発掘は、消費者の潜在的なニーズを理解し、的確なアプローチを実現するために欠かせません。
インサイトとは、消費者の深層心理や消費者が購入するに至った行動原理のことです。同じ商品を購入している顧客でも、購入の背景には異なる動機があるケースが多く、サイコグラフィックを活用することでより精度の高いターゲティングが可能になります。
弊社で行っている取り組みの1つが、Ponta IDに紐づく購買・行動データとアンケート結果を組み合わせることによる顧客インサイトの可視化です。
例えば、Pontaの購買データとIoT家電の利用データを組み合わせることで、家庭内の行動と外での購買活動の関係を可視化した事例があります。エアコン利用頻度とアイスの購買率の関係など、生活者の無意識的な心理や行動へ理解を深めることが可能です。
サイコグラフィックを活用したインサイト発掘事例の紹介については、下記のコラムをご覧ください。
効果的なプロモーション施策を打ち出す

サイコグラフィックは、ターゲットの心理的特性を踏まえたプロモーション施策に大きく貢献します。サイコグラフィックを収集し、消費者の価値観やライフスタイルに基づいたアプローチを行うことで、広告や販促の効果を高めることが可能です。
弊社は、Ponta会員の購買データを活用し、ターゲットに合うプロモーションを提案しています。例えばシニア層に広告を配信する場合、サイコグラフィクを活用してシニア層の価値観やライフスタイルを理解し、シニアマーケットの特徴を踏まえたプロモーションの提案が可能です。
シニアマーケティングを成功に導くコツを知りたい方は、こちらをご覧ください。
サイコグラフィックを活用する際の注意点
サイコグラフィックは、消費者の価値観やライフスタイルを深く理解する際に役立ちますが、適切に扱わなければさまざまなリスクが発生します。マーケティング活動でサイコグラフィックを活用する前に、注意すべき3つのポイントをチェックしましょう。
プライバシーへ配慮しながらデータを扱う

サイコグラフィックは、個人の心理的特性に関わるため、データを扱う際はプライバシー保護が不可欠です。データの取得方法や利用目的を明確にし、消費者の同意を得なければなりません。また、データの管理体制を強化し、不正アクセスや情報漏洩を防ぐ対策を講じる必要もあります。
定量的なデータと組み合わせて分析する

サイコグラフィックは主観的な要素を含むため、データの解釈には慎重さが求められます。分析者の過去の経験や価値観が反映される可能性があり、適切ではない解釈に至る可能性もゼロではありません。
サイコグラフィックを活用して特定の価値観や嗜好に基づいたセグメントを作成する際には、購買データなどの定量的なデータと組み合わせて、より精度の高い分析につなげましょう。
データを最新状態に保つ

消費者の価値観やライフスタイルは時間とともに変化するため、一度取得したサイコグラフィックに頼りすぎるのは危険です。新しいトレンドや社会的な出来事によって購買行動や関心の対象が変化する可能性があるため、データを定期的に更新しましょう。
企業がサイコグラフィックを最新状態に維持するためには、アンケート調査の定期的な実施や、オンライン上の行動データの継続的なモニタリングなどが有効です。データの鮮度を保つことで、マーケティング施策の精度を高め、長期的な顧客関係の構築につながるでしょう。
サイコグラフィックを活用して次の一手を導き出すならロイヤリティ マーケティングへ
サイコグラフィックを活用することで、消費者の価値観やライフスタイルを深く理解し、ターゲティングの精度を高めることにつながります。しかし、心理データの収集や分析には専門的な知識やコストがかかるため、導入をためらう企業も少なくありません。
こうしたサイコグラフィックの課題に対し、弊社ではPontaリサーチを活用したソリューションを提案しています。約240万人の大規模な単独パネルを保有し、インターネットリサーチやインタビュー、覆面調査などさまざまな手法のリサーチをサポート可能です。
また、弊社は自主調査の結果をデータベース化しており、自動車や不動産、金融など、業界ごとの専門パネルを活用したリサーチを低コストかつスピーディーに実施いたします。プロモーションのセグメントとしてご活用いただくことも可能です。
さらに、データに基づいたターゲティング広告やプロモーション施策の立案も支援しており、購買行動の特性に応じた最適なチャネルを選定し、効果的なアプローチを実現します。サイコグラフィックを活用してマーケティングを次のステージへ進めるなら、ぜひお気軽にご相談ください。
お気軽にお問い合わせください
詳しくお知りになりたい方はお問い合わせ