コラム

2023-08-25

マーケティングにおける「ペルソナ」とは?設定方法や失敗しない手順を解説

マーケティング施策としてペルソナを活用すると、顧客理解が進み、顧客視点での施策展開が可能です。本記事では、ペルソナの基礎情報からメリット、流れ、ポイントまでを詳しく解説していきます。

マーケティングにおけるペルソナとは?

「仮面」「人格」という意味を持つペルソナは、元々「周りに見せている自分」を表す心理学用語として使われていました。そこから転じて、マーケティングでは「自社の商材を購入する可能性のある架空の顧客像」をペルソナと呼び、定義した架空の人物をマーケティングに活用します。

マーケティングにおけるペルソナの役割

マーケティングでのペルソナの役割とは、ターゲットとなる顧客への理解を深めることです。ペルソナマーケティングでは架空の人物の属性や趣味などを設定し、その人物が何を考えてどう行動するのかを検討します。つまり、企業の視点でなく顧客視点で考えられるようになるのです。

ペルソナとターゲットとの違い

ペルソナとターゲットは一見似ていますが、抽象度が異なります。ターゲットの設定は年齢や性別などの大まかなものですが、ペルソナは属性だけでなく趣味や行動の背景となる価値観までを設定します。また、ターゲットの役割は市場を絞ることですが、ペルソナの役割は顧客理解です。


ターゲット設定の例
●30代
●女性
●営業職


 


ペルソナ設定の例
●30代
●女性
●品川区のマンション在住
●広告代理店の営業職
●家族は夫1人と子供1人
●趣味は寝る前の読書
●最近の悩みは運動不足
●普段はスマートフォンだけでなくタブレットも使用している


 

マーケティングにおいてペルソナを設定するメリット

マーケティング活動にペルソナを取り入れると、インタビューなどの調査やWebでのデータ取得など、さまざまな手間とコストが発生します。それでも多くの企業がペルソナをマーケティング戦略に取り入れているのは、ペルソナを設定することに大きなメリットがあるためです。

メリット①アプローチすべき人物像をチームで共有できる

企業では複数のメンバーがマーケティング活動に関わって組織で行動しますが、チーム内の顧客像が異なっていると、マーケティングの方向性がぶれます。ペルソナを設定すると同じ顧客像を共有できるため、効率よく意思疎通できてプロジェクトの進行が円滑になることがメリットです。

メリット②顧客ニーズが明確になり訴求力がアップする

抽象的な顧客像をもとに商品開発を進めると、マーケティングのコンセプトが曖昧になりがちです。ペルソナマーケティングで設定した顧客像を深く理解すると、顧客ニーズが明確化して1人の顧客の心に響く商品が生まれます。そのような商品は、次第に多くの支持を集めていくのです。


抽象的な顧客像とペルソナの例
1.【抽象的な顧客像】40代男性向けのビールを開発する
2.【ペルソナの具体的な顧客像】45歳の会社員男性が休日の昼間に家族に気兼ねなく飲めるビールを開発する


 

メリット③ユーザー視点で効率的なマーケティング施策をおこなえる

売る側の視点だけでマーケティングを進めると、顧客ニーズが掴めず、トライアンドエラーでマーケティング施策を進めることになりがちです。しかし、ペルソナの視点に立つと顧客ニーズが明確にわかるため、初期段階から精度の高いマーケティングを実施しやすくなります。


広告を配信する場合の発想の違い
●【売る側の視点で配信】「商品の魅力を伝えたい」
●【ペルソナのユーザー視点で配信】「ペルソナの山田さんが不快に思わない時間帯で広告を配信したい」


 

マーケティングにおけるペルソナを設定する流れ

マーケティングにおけるペルソナを設定する大まかな流れは、「情報収集→分析→ペルソナ作成」です。多くの情報を収集して整理・分析し、実際に存在しそうな人物像を設定していきます。以下で紹介するのが、ペルソナマーケティングの具体的な流れです。

流れ①データを収集する

まずは、自社の顧客データやHPへのアクセス解析などからデータを集めます。データ収集の目的は詳細な顧客像を作成することで、正確な内容を反映するには既存客へのヒアリングやアンケートなどの実施が必要です。ペルソナ作成に使用するデータには、定量データと定性データがあります。

定量データ

定量データとは、明確な数値や割合で分析できるデータのことです。例えば、年齢や性別などの属性は簡単に数値化できます。また、Webサイトへのアクセスログをチェックすると、顧客の行動履歴を数値化して把握することが可能です。


定量データの例
●属性(年齢、性別、住所、年収など)
●商品の購入履歴
●行動履歴
●SNSの利用頻度


 

定性データ

定性データとは、問い合わせ履歴からわかる顧客の意見やアンケートから得られた休日の過ごし方など、数値化が困難なデータのことです。特に商品のブランディングを目的としてペルソナマーケティングを実施する場合、顧客の生の声がわかる定性データが必要です。


定性データの例
●趣味
●休日の過ごし方
●普段読んでいる雑誌
●お気に入りのブランド


 

自社分析も忘れない

自社の強み・弱みの分析はその他のマーケティング施策でも実施されますが、不十分な場合はペルソナ作成の前に分析しておくと安心です。自社分析のフレームワークとしておすすめなのは、3C分析です。顧客・競合・自社といった環境要因を分析し、自社の強みや立ち位置を把握します。


3Cの内容
●【Customer(顧客)】顧客はどんな人か、顧客のニーズはどんなものか
●【Competitor(競合)】競合他社の強み・弱み、現在の市場シェア
●【Company(自社)】自社の強み・弱み、自社はどのように評価されているのか


 

流れ②データを分析する

次はデータ分析を実施し、ペルソナの骨格を作っていきます。具体的には、収集データを以下の2つにグルーピングする方法です。これは、属性と心理の両面からペルソナの行動をデザインするためです。行動の背景を明確にすると、現実の顧客に近いペルソナを作成できます。


データのグルーピング方法
●デモグラフィック(人口統計学的な属性):年齢・性別・職業・家族構成など
●サイコグラフィック(心理学的な変数):趣味・人格・価値観・ライフスタイルなど


 


行動の背景の有無による違い
●【行動の背景がわからないペルソナ】経営戦略の本を探す45歳会社員男性
●【行動の背景がわかるペルソナ】コンサルタントとしてクライアントの抱える問題を解決するために経営戦略の本を探す45歳会社員男性


 

流れ③具体的な人物像を設定する

最後に分析で得たデータからペルソナに採用する要素を選び、具体的な人物像を設定します。ペルソナの設定項目はビジネスの種類やマーケティングの目的によって異なりますが、例として以下のようなものがあります。


ペルソナの設定項目の例
●名前
●年齢
●性別
●職業
●住所
●家族構成
●勤務先
●年収
●趣味
●1日のスケジュール
●情報収集の方法
●好きなブランド
●現在の悩み
●将来の夢


 

ペルソナシートを作成してマーケティングに役立てる

情報を整理しながらまとめる方法として、ペルソナシートの作成をおすすめします。シートはチームでの情報共有やマーケティング資料として有用です。さまざまなレイアウトや作成方法がありますので、テンプレートなどを参考にするとよいでしょう。記入方法の例は以下の通りです。

 

 

PERSONA+ ならペルソナ作成も簡単

ペルソナの役割は顧客理解ですが、現代では価値観が多様化し、基本属性だけでは顧客を理解することが難しくなってきています。そこで、弊社ではスピーディーに解像度の高いペルソナ構築ができる価値観マーケティングサービスのPERSONA+を提供しております。

 

PERSONA+は、Ponta会員5万人を対象に200項目を超える設問で独自構築した15個の価値観クラスターから適切なペルソナ分析を実施します。

 

マーケティングにおけるペルソナの作成・分析にお困りの場合は、ぜひ一度お問合せください。

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マーケティングにおけるペルソナ作成のポイント

ペルソナマーケティングは顧客理解に欠かせない手法ですが、設定を見誤ると期待していた結果を得られない可能性があります。そうならないように、ここではマーケティング施策にマッチしたペルソナ作成のポイントや作成時に注意するべき項目を詳しく解説していきます。

①客観的なデータに基づいて人物像を設定する

先入観や思い込みでペルソナを設定しないように注意が必要です。主観や先入観でペルソナの人物像を決めつけると、商品やマーケティング施策の方向性を見誤る可能性があります。収集したデータや分析を活用し、客観的な根拠に基づいて設定することがペルソナ作成においては大切です。


ペルソナマーケティングにおける先入観の例

●「若い女性はSNSを簡単に使いこなせるものだ」

●「テレビはどの家庭にも必ずあるはずだ」


 

ペルソナマーケティングで先入観を防ぐ方法

まず、1人でペルソナを作成すると先入観に気付かない場合がありますので、必ず複数人で作業を行います。その他にもペルソナの要素を設定する際、客観的データで説明できるかどうかを考えることも大切です。データに照らし合わせると、先入観で設定した要素に気付くことがあります。

マーケティングにおけるペルソナを理想像にしない

マーケティングにおけるペルソナを企業の理想的な顧客として考えると、商品を確実に購入する人になってしまい、実際に訴求を実施するべき顧客像とはかけ離れてしまう可能性があります。「理想」ではなく「購入する可能性がある人」について考えることが大切です。

②人物像の趣味嗜好や内面まで詳細に設定する

ペルソナマーケティングでは詳細設定が重要で、設定を読んでリアルに想像できなければ、ビジネスやマーケティングで有効活用できません。趣味嗜好や内面まで詳しく設定し、社内やマーケティングチームでペルソナの正確な人物像を共有し、実際に想像ができるかをすり合わせておく必要があります。

ペルソナの詳細ばかりにこだわるのは注意

ペルソナマーケティングでは行動の背景が重要ですが、設定ばかりにこだわって不要な情報まで扱うと、顧客像がぼやけるので注意が必要です。例えば、建設用重機のペルソナマーケティングに「好きな音楽」の情報を入れても機能しない可能性があります。

③ビジュアルを活用してイメージしやすい人物像を設定する

ペルソナマーケティングでペルソナシートを作成する際、ビジュアル要素を取り入れるとチーム内でペルソナの正確なイメージを共有できます。例えば、ペルソナに近い人物の写真やペルソナが住んでいる部屋のイメージなどを揃えるのが理想です。

作成したペルソナは社内で継続的に共有する

ペルソナは企業のビジネス全体に関わることですので、作成したペルソナはマーケティングチームだけでなく社内全体で共有します。その際に注意したいのが共有方法です。会議で一度だけ共有しても、ペルソナマーケティングは定着しません。目に付く場所に貼るなど、継続的な共有が必要です。

④定期的にペルソナ設定を見直す

ペルソナは一旦設定したらそれで終わりではなく、市場の変化や消費者の価値観の変化に合わせるために定期的な見直しが必要です。ずっと同じペルソナを使い続けると的外れなマーケティング活動になり、持続的な成果を上げられないことにつながりかねません。

ペルソナの具体的な見直し方法

まず、情報を更新するためには、定期的な情報収集が必要です。最新情報をペルソナと照らし合わせれば、市場の変化や現在のマーケティング施策とのギャップが見えてきます。その上で、現実の既存顧客と照らし合わせながら、ペルソナの要素が適切に設定されているかを見直していきます。

顧客ニーズを的確に捉えるならロイヤリティ マーケティングのペルソナプラス

ペルソナ作成や設定は自社の顧客となる対象を分析する上でかかせない作業です。ただ今回ご説明してきたように適切な情報を元に具体的に設定を行い、継続的に分析を行なっていくのは難易度が高いといえます。

 

社内でペルソナを設定するのが難しい、分析を継続的に自社で行なっていくリソースがない、といった場合は、ノウハウを持つ専門機関へ依頼するのもおすすめです。

 

ロイヤリティ マーケティングのPERSONA+は顧客ニーズを的確に捉え、効果的なマーケティングプロモーションの実施をサポートします。マーケティングにおけるペルソナの設定・分析にお困りの場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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