コラム
2024-02-28
顧客セグメントの意味や作成方法とは?
活用メリットやマーケティング分析での事例を紹介
顧客セグメントは、現代のマーケティング戦略を考える上で重要な手法です。本記事では、顧客セグメントの基本的な意味や活用するメリット、作成方法まで詳しく解説します。イメージしやすいように活用事例も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
顧客セグメントとは
そもそも顧客セグメントとはどのようなもので、企業は何を目的に活用するのでしょうか。まずは顧客セグメントの基本情報として、言葉の意味や関連する分析方法、似ている用語との違いについて詳しく解説します。
顧客セグメントの意味
顧客セグメントとは、顧客を類似する特性や行動などの属性で分けた複数のグループのことです。性別、年齢、家族構成、居住地域、興味関心、商品の購入履歴といった指標に基づき、顧客をいくつかのグループに分類します。
また顧客セグメントはSTP(エスティーピー)分析の1つで、マーケティングにおける代表的な手法とされています。
STP分析とは
STP分析とは、自社の強みや他社との差別化ポイントを把握してマーケティングに役立てるためのフレームワークです。「STP」は下記の3つの言葉の頭文字で構成されています。
STP分析の観点
● Segmentation:市場の細分化
● Targeting:ターゲット市場の決定
● Positioning:競合他社との関係性把握・差別化
顧客セグメントは、「STP」の「S」にあたる分析の基礎です。つまり、ターゲティングで市場を決定したり、ポジショニングで他社との立ち位置を決定したりするには、セグメンテーションによる市場の全体像の把握が必要となります。
顧客セグメントとターゲットの違い
顧客セグメントと似た言葉として、「ターゲット」があります。ターゲットとは、顧客セグメントの中で企業が売り込みたいグループのことです。つまり、顧客セグメントは顧客全体を分類したグループで、ターゲットは顧客セグメントから抽出されたグループを表しています。
顧客セグメントとターゲットの例
● 【顧客セグメント】セグメントA(男性/20代)、セグメントB(男性/30代)、セグメントC(女性/20代)
● 【ターゲット】セグメントA(男性/20代)
手順としては、先に顧客セグメントを決めてからターゲットを絞り込んでいくのが一般的です。円滑にマーケティング戦略を進めるために、それぞれの意味を明確に区別しておきましょう。
顧客セグメントとペルソナの違い
顧客セグメントと間違いやすい言葉として、「ペルソナ」も挙げられます。ペルソナは、自社のターゲットになる人物像のことです。両者を比較すると、顧客セグメントは現実の顧客から選定した集団であるのに対し、ペルソナは架空の個人を意味します。
顧客セグメントとペルソナの例
● 【顧客セグメント】セグメントA(男性/20代)、セグメントB(男性/30代)
● 【ペルソナ】35歳/男性/マーケター/家族は配偶者と子ども2人/MBA保有/趣味は読書
なお、顧客セグメントはペルソナの作成や活用にも有効で、基本的にはターゲットと同じように顧客セグメントに基づいてペルソナを作成していく流れになります。
ペルソナの作成方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
顧客セグメントの目的
顧客のセグメント化を行うのは、ターゲットを適切に絞り込んで売上を拡大することが目的です。現代では消費者のニーズが多様化する傾向にあり、従来のマーケティングでは対応が難しくなっています。顧客セグメント化で消費者の属性を可視化することで、企業にとって有望なターゲットを決めやすくなるのです。
顧客セグメントを活用するメリット
マーケティングにおいて企業が顧客セグメントを活用すると、どのようなメリットを得られるのでしょうか。ここでは2つのメリットについて紹介します。
効率的なマーケティング活動につながる
セグメント化によりユーザーを絞って売り込めば、マーケティング施策の効率化が可能です。例えば、全ての顧客を対象にしたアプローチ方法では、商品・サービスを本当に必要としている人には興味を持たれない可能性があります。一方で、顧客セグメントを経て選定したターゲットに寄り添った広告配信をすれば、コストダウンや売上拡大につながる可能性が高いです。
解約率の改善も期待できる
顧客セグメントは、売上を拡大するアプローチだけではなく、サービスの解約を防ぐ解決策にも活用可能です。セグメント化により解約しやすいグループを抽出すれば解約原因が分かり、離脱する顧客に対して対応策を講じられるでしょう。
顧客満足度の向上が期待できる
企業が顧客セグメントによってニーズや特性を理解し、パーソナライズ化されたソリューションを提供すれば、ユーザーの心に響くキャンペーンを展開できる可能性があります。ユーザーとのコミュニケーションを充実させることができれば、顧客満足度やロイヤリティの向上も期待できます。
顧客セグメントの作成方法
ここからは、STP分析のフレームワークを使って顧客セグメントを作成し、マーケティングに活用する方法を紹介します。
①セグメントの分類方法を決める
まずは属性を設定し、顧客をセグメントに分類できるようにしましょう。以下の4要素を使うとセグメントを分類しやすくなります。
顧客セグメントを分類する4要素
● 人口動態変数(デモグラフィック):年齢、性別、家族構成など
● 地理的変数(ジオグラフィック):地域の人口、人口密度、気候など
● 心理的変数(サイコグラフィック):ライフスタイルや価値観など
● 行動変数(ビヘイビアル):商品を購入した日時や商品の金額など
必ずしも上記の4要素に当てはめる必要はなく、ビジネスの内容に応じたカスタマイズが可能です。自社のビジネスと関係のない項目を選ぶと無意味なセグメントになる可能性があるため、ターゲット選定に効果的かどうかという視点で各項目を検討していきましょう。
日用品ECサイトの顧客セグメントの項目例
● 年齢
● 住まい
● 家族構成
● ECサイトでの購入頻度
● 購入回数が多い商品の傾向
②顧客セグメントを作成する
項目が決まったら、顧客セグメントを作成していきましょう。ここでは、日用品を販売するECサイトがセグメントを作成する場合の例を紹介します。
例:日用品ECサイトのセグメントA
● 性別:女性
● 年齢:30代
● 住まい:地方都市
● 家族構成:夫、子ども2人
● ECサイトでの購入頻度:2ヶ月に1回
● 購入回数が多い商品の傾向:シンプルなデザイン
例:日用品ECサイトのセグメントB
● 性別:女性
● 年齢:20代
● 住まい:東京都内
● 家族構成:1人暮らし
● ECサイトでの購入頻度:1ヶ月に1回
● 購入回数が多い商品の傾向:価格が安い
項目によっては、手元のデータだけではセグメントが判断ができないこともあります。例えば、フィットネスクラブでターゲットを選定する場合、入会時に登録した基本的な会員情報だけで顧客のニーズを把握するのは困難です。その場合は、下記のような調査方法を検討してみましょう。
顧客セグメントを作成するためのリサーチ方法
● アンケート
● 既存顧客や営業担当者へのヒアリング
● SNS上の投稿を分析
③セグメントの有効性を判断する
顧客セグメントは作成して終わりではなく、適切なものかどうかの検証が必要です。評価方法として4Rという指標があり、各項目が満たされると顧客セグメントが機能していると考えてよいでしょう。
セグメント化の指標4R
● Rank(優先順位):顧客セグメントに優先順位をつけられるかどうか
● Realistic(規模の有効性):十分な売上が見込める市場規模かどうか
● Reach(到達可能性):ユーザーに商品や広告を届けられるかどうか
● Response(測定可能性):顧客からの反応の測定やプロモーションの影響の測定が可能かどうか
また、この4Rに以下の2つの「R」を加えた6Rと呼ばれる指針もあります。
6Rの残り2つの指標
● Rival(競合状況):既に競合が占有している市場でないかどうか
● Rate/Rate of Growth(成長性):将来的にビジネスが成長する可能性があるかどうか
新商品開発では特に規模の有効性に注意する
新商品を開発する際、セグメントの規模が不明なまま進めるのは危険です。セグメントの人数が少なすぎた場合、ターゲットに対してアプローチをしても十分な利益が見込めない可能性があります。ターゲットを選定してマーケティング施策を進める前に、セグメントに該当する顧客の数が十分かどうかを確かめましょう。
セグメント規模の調査方法の例
● 官公庁の調査データを参考にする(総務省統計局の人口統計データ、経済産業省の工業統計調査など)
● 業界団体の調査データを参照する(日本自動車工業会の乗用車市場動向調査、日本映画製作者連盟の日本映画産業統計など)
● 民間団体の調査データを参考にする(企業による業界白書や未来予測など)
顧客セグメント作成後はモニタリングを継続する
顧客セグメントは時間の経過とともに変わっていくため、継続的にモニタリングして調整する作業が必要です。適切に改善すれば、顧客層の変化や顧客の購買行動の変化などに対応でき、マーケティング戦略に役立つ新しい知見が得られることもあるでしょう。
データを定期的に更新する
顧客セグメントを時間の経過に合わせて最適化するには、顧客データそのものの定期的な整理・更新も必要です。不正確な情報や重複しているデータを修正し、最新の状態にして適切に保管しましょう。データを更新して管理することは、マーケティング施策の向上につながります。
マーケティングにおける顧客セグメントの活用事例
ここからは、顧客セグメントの活用事例を紹介します。3つの事例を通して、顧客セグメントの実際の活用方法を具体的にイメージしてみましょう。
既存事業の新規ユーザー数増加に向けて顧客セグメントを活用
ある自動車メーカーは米国進出する際、顧客セグメントを使って新規顧客層を発見し、ユーザーの大幅な獲得に成功しています。
進出時の1950年代、米国でのバイクシェア率のおよそ8割は現地の企業1社によって牛耳られていました。そこで日本メーカーがセグメントによって目をつけたのは、「バイクに乗る人」のグループではなく「バイクに乗らない人」のグループです。
当時のバイクユーザーといえば大型バイクに乗って自由に旅をするような特定のバイク愛好家でしたが、従来のバイクに乗らない学生やサラリーマンを小型バイクの顧客対象にすることで、バイクを日常使いするという新しい需要を生み出し、米国でのユーザー獲得につながりました。
新規事業のターゲット層調査にて顧客セグメントを活用
人材紹介などのサービスを手掛けるある会社は、新規事業のオンライン学習サービスにおいて顧客セグメントを活用し、ブランド認知を進めています。
企業が高校生を対象にした市場調査を実施した結果、大学進学を希望する高校生の約7割が予備校に通えていないことが判明しました。さらに細かいセグメンテーションを行い、ターゲットになったのは地方に住んでいて予備校に通えない高校生です。
加えて、小学生やビジネス英語を学びたい社会人などにもサービスを展開し、現在は手頃な価格の高品質な授業を提供するオンライン予備校としての地位を築いています。
購買傾向セグメント✕興味関心セグメントで潜在顧客ヘアアプローチ
共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営する弊社が開発した「Life Actionセグメント」は、Ponta会員の購買傾向や興味関心度をスコアリングし、セグメントを構築したサービスです。潜在顧客へ効率的にアプローチするサービスとして利用できます。
Life Actionセグメントの特長
● 650個以上もの基本セグメントから選択可能
● 各セグメントの基本属性・価値観・チャネル別リーチ数に関する集計グラフを最短2営業日で提供
● 複数の外部メディアと連携した横断的なプロモーションが可能
例えば、証券会社が金融商品の新規利用を促進する場合、投資に興味がある会員をスコアリングした投資家セグメントを利用可能です。ターゲットを明確にし、アプリ・メール・DMなどのPontaオウンドメディアや、外部の連携メディアを活用して効果的な広告配信ができます。
Life Actionセグメントや投資家セグメントの精度についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひ下記のコラムをご覧ください。
顧客セグメントを活用して効率的なプロモーションを実現するならロイヤリティ マーケティングへ
顧客セグメントの活用は、マーケティング戦略を考える上で不可欠です。顧客セグメントを作成してターゲットを絞り込むことで、効率的なアプローチを実現できます。ただし、大量の顧客データを扱うのは簡単なことではなく、何から始めてよいのか悩む方も多いのではないでしょうか。
弊社は、個人を特定しない形で1億人超のPonta会員のデータを活用し、精度の高いセグメントを作成して企業のマーケティングを支援しています。LINEやFacebook、Instagram、YouTube広告、Googleディスプレイネットワークなどへのターゲティング広告配信も可能です。
「新規顧客を開拓したいが、具体的なターゲットが分からない」「ターゲットを絞り込んで最適なマーケティング施策を実施したい」と考える方は、お気軽にご相談ください。
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