コラム
2025-07-24
X世代・Y世代・Z世代の違いは?価値観や消費行動などからマーケティング戦略を考えよう
X世代・Y世代・Z世代は、それぞれ育った時代や社会背景、テクノロジーとの関わり方、価値観が異なります。消費者のニーズがますます多様化するなかで、マーケティングにおいて「世代別の傾向」を正しく理解することが不可欠です。今回は、X世代・Y世代・Z世代の特徴を整理したうえで、それぞれの違いを比較し、各世代に適したマーケティング戦略について解説します。
目次
X世代・Y世代・Z世代とは
マーケティング戦略を立てるうえで、X世代・Y世代・Z世代の基本的な特徴を把握することは欠かせません。育った時代背景や社会環境、価値観の違いは、消費行動にも影響を及ぼします。まずは、主に日本国内におけるX世代・Y世代・Z世代の特徴を把握しましょう。
X世代とは

X世代は1965年から1980年頃に生まれた世代です。「X世代」の由来に関しては、まず写真家ロバート・キャパがエッセイタイトルに「Generation X」という言葉を使い、その後、作家ダグラス・クープランドが小説のタイトルに用いたことが始まりとされています。
日本のX世代は、高度経済成長の終盤からバブル崩壊までの激動期を経験し、社会の変化を横断的に体感してきた世代です。X世代は責任感や勤勉さを重視しつつ、キャリアに対しては一つの組織に縛られず、多様なスキルや柔軟な働き方を求める意識も持っています。
Y世代とは

1980年から1995年頃に生まれたのがY世代です。Y世代は、2000年(ミレニアム)に成人したことにちなんで、「ミレニアル世代」とも呼ばれています。
Y世代は、インターネットの普及とともに成長し、SNSの黎明期に社会人となった層です。デジタル技術に対する適応力が高く、自己表現や共感を重視する傾向があります。また、仕事とプライベートのバランスを重視し、柔軟な働き方や価値ある時間の使い方を求めるのも特徴です。
Z世代とは

Z世代は、1996年から2010年頃に生まれた世代を指します。生まれたときからスマートフォンやSNSが身近にあり、デジタルネイティブとして育ってきた点が大きな特徴です。
Z世代は情報感度が高く、多様性への理解や個人の価値観を尊重する姿勢が強く見られます。購買行動においても共感や透明性を重視し、企業やブランドに対する期待が高いのも特徴です。
Z世代の次にくるα世代とは

α(アルファ)世代は、2010年頃以降に生まれた子供たちを指す呼称として用いられています。Z世代の次に位置づけられ、これから本格的に社会との接点を持ち始める層です。
X世代・Y世代・Z世代と違い、α世代は幼少期からタブレットや音声アシスタントに親しんでおり、文字よりも動画を通じた情報取得を得意としています。家庭内でもデジタル機器の使用が一般化しているため、直感的なデバイス操作や短時間での情報判断が得意です。
また、Z世代以上に多様性やサステナビリティといった価値観を自然に受け入れており、企業やブランドの社会的なスタンスに対しても敏感に反応する可能性があります。現時点では市場への影響は限定的ですが、今後のマーケティング設計において意識すべき次世代の消費者層です。
X世代・Y世代・Z世代の違い|価値観
X世代・Y世代・Z世代の育った時代背景や社会環境は異なり、価値観の傾向にも違いが見られます。それぞれの違いを理解し、X世代・Y世代・Z世代それぞれのニーズに応じた戦略を設計する際に役立てましょう。
X世代

X世代は、安定した生活基盤や現実的な判断を重視しながらも、個人の自由や柔軟な働き方にも関心を持つ世代です。責任感や勤勉さなどの価値観を持ちつつ、長時間労働や終身雇用に対するこだわりは比較的薄く、ワークライフバランスを重視する人も少なくありません。
また、X世代はテクノロジーの変化を後追いで吸収してきた世代であり、時代の流れに応じて新しい価値観やツールを柔軟に受け入れる適応力も持っています。地域とのつながり、実績や信頼といった伝統的価値観にも一定の重きを置くなど、旧来と現代の価値観が共存した世代です。
Y世代

Y世代は、多様性を受け入れつつも、現実と理想のバランスを大切にする価値観を持っているのが特徴です。バブル崩壊や就職氷河期といった経済的逆風の中で社会に出た経験を持ち、堅実な姿勢が根付いています。
一方で、Z世代はインターネットの普及やSNSの台頭を若年期に経験しており、自己表現や共感といった新しい価値にも自然に馴染んでいます。自分らしさを大切にしつつも、現実的な安定も追い求めるという柔軟で中間的な価値観を持つのがY世代です。
Z世代

自己表現と多様性の尊重を価値観の中心に据えているのがZ世代です。生まれたときからデジタル環境が当たり前であり、オンライン上でのつながりや情報発信を自然に行っているため、自分らしさの表現や他者との違いを前向きに捉え、型にはまらない柔軟な価値観を持っています。
また、Z世代はX世代・Y世代と違い、学校教育を通じてSDGsを学んでおり、環境問題や社会的課題への関心が高い点も特徴の1つです。さらに、効率やスピードを重視する傾向も見られ、固定観念にとらわれず、自分にとって合理的かどうかを基準に行動を選ぶ傾向があります。
X世代・Y世代・Z世代の違い|消費行動
X世代・Y世代・Z世代は、それぞれ育った環境や価値観の違いから、消費行動にも明確な差が見られます。何にお金を使うか、どのような基準で選ぶかといった行動特性を把握し、X世代・Y世代・Z世代のニーズに合ったアプローチ設計に役立てましょう。
X世代

X世代は安定や信頼を重視し、長期的な視点を持って行動するのが特徴です。新しいモノよりも実績ある商品に安心感を抱き、一度信頼したブランドには継続的な支持を示す傾向が強く見られます。
また、家族や職場での意思決定層として、購買力が高い点もX世代の特徴です。旅行や外食、趣味への投資意欲が高く、自分や家族にとっての「実感ある体験」を重視する傾向があります。
Y世代

Y世代は、社会的な意義と経済的な合理性の両立を重視する世代です。環境問題や社会貢献への関心は高い一方、バブル崩壊後の経済不安や就職氷河期を経験した背景から、価格に対して敏感な傾向があります。
Y世代は、商品購入時に「価格に見合う価値があるかどうか」を判断基準とし、コストパフォーマンスを重視するのが特徴です。また、企業の社会的姿勢やサステナビリティへの取り組みも評価の対象となり、単なる機能性やデザインだけでは支持を得にくくなっています。
Z世代

Z世代は「所有」よりも「体験」に価値を感じる傾向があり、サブスクリプションやシェアリングサービスを積極的に取り入れています。商品そのものよりも、体験を通じた満足感や共感に重点を置くスタイルが特徴です。
また、購入前にはSNSやレビューサイトを活用し、失敗を避けるための比較検討を重ねる傾向があります。好きなブランドや共感できる企業に対しては「応援消費」の姿勢を見せ、フォローしている人物が紹介する商品をきっかけに購入するケースも少なくありません。
共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営する弊社は、「Pontaリサーチ」を通じて、年齢・世代別の消費行動や価値観に関する調査データを収集・分析し、レポートとして公開していており、過去には「世代別のお金の使い方に関する調査」を実施しています。
本調査では、X世代・Y世代・Z世代それぞれの金銭感覚や支出傾向が明らかになりました。例えば、Z世代は「旅行」「外食」など体験型消費に関心を持ちつつ、「貯金」「投資」への意識も高いことがわかっています。詳しくは下記をご覧ください。
X世代・Y世代・Z世代の違い|テクノロジーとの付き合い方
X世代・Y世代・Z世代は、世代によってテクノロジーに対する接し方や活用方法には大きな違いがあります。X世代・Y世代・Z世代がそれぞれどのようにデジタル技術と向き合ってきたのかを理解し、商品の伝え方や訴求方法のヒントにしましょう。
X世代

X世代は、アナログからデジタルへの移行期に社会人としてのキャリアを歩み始めた世代です。若年期にはテレビやラジオ、紙媒体が情報源の中心であり、成人後にパソコンやインターネット、携帯電話の普及を経験しました。
したがって、X世代はデジタル技術に適応しているものの、新しいサービスやアプリに対しては慎重な傾向があります。また、Y世代やZ世代と違い、SNSよりもEメールや電話などの手段を好み、信頼性や操作のわかりやすさを重視する点が特徴です。
Y世代

Y世代は、パソコンやインターネットの一般化と共に成長した「デジタル移行期」の世代です。学生時代からインターネットを活用しており、携帯電話やスマートフォンの普及に伴ってデジタル環境へ自然に馴染んでいきました。
Y世代は、SNSやオンラインサービスを積極的に利用する一方で、対面でのコミュニケーションやオフラインの信頼関係も重視する傾向があるといえるでしょう。利便性を重視しつつも、テクノロジーに対して慎重な判断を行うバランス感覚を持っているのがY世代です。
Z世代

Z世代は、生まれたときからスマートフォンやSNSが存在する環境で育った「真のデジタルネイティブ」とされる世代です。日常的にスマートフォンを使いこなし、検索やSNS、動画コンテンツを通じてリアルタイムで情報を取得・発信することが当たり前となっています。
情報収集では、InstagramやTikTokなどの視覚的かつ短時間で完結するメディアを好む傾向があり、能動的にデジタルツールを使い分ける能力が高い点が特徴です。X世代やY世代と違い、Z世代には視覚的なインパクトやテンポのよい情報伝達が適しています。
弊社が実施した調査によると、Z世代の生成AIの使用率は約50%、テクノロジーの進化に「期待する」声が60%近くを占めました。一方、AIによる雇用への不安も80%を超えており、未来技術への関心の高さと慎重さが共存しているという結果となっています。
X世代・Y世代・Z世代の違い|コミュニケーションスタイル
X世代・Y世代・Z世代は、育った時代のメディア環境やツールの進化により、世代ごとにコミュニケーションのとり方に大きな違いがあります。ここでは、X世代・Y世代・Z世代がそれぞれ重視するコミュニケーションスタイルの傾向を比較してみましょう。
X世代

丁寧なやりとりと礼儀を重視するX世代は、電話や直接対話を好み、SNSより手紙やメールなどの「きちんとした」コミュニケーションを好む傾向がある層です。対面で空気を読む力や上下関係への配慮も重視し、ビジネスでは形式やマナーを大切にしています。
X世代はY世代やZ世代と同様にSNSやチャットも使用しますが、スピードよりも正確さや信頼性を重視する傾向があるといえるでしょう。
Y世代

Y世代は、SNSやメールなどテキストベースのやり取りを自然に使いこなし、即時性と丁寧さを両立したコミュニケーションを得意とします。SNSを日常的に使いながらも、リアルな会話や対面での交流にも価値を感じており、状況に応じて手段を柔軟に選ぶ姿勢が特徴です。
また、Y世代はZ世代と同様に、多様性や共感といった価値観を大切にする世代でもあります。上下関係よりもフラットな関係を好み、自分の考えを率直に伝えつつ、相手の意見にも耳を傾ける姿勢を持つのが特徴です。
Z世代

Z世代は、生まれたときからデジタルに囲まれたソーシャルネイティブです。SNSやチャットなどオンラインのやりとりを主軸とし、短くテンポのよいやり取りや写真・動画を通じた自己表現に慣れています。
また、Z世代は共感を大切にする姿勢や自然体のつながりを重視する層です。多様性や個性を尊重しながら、相手の考え方を理解しようとする対話を好みます。自己表現と共感によって関係性を深めていくスタイルはX世代やY世代とは異なり、Z世代ならではの特徴といえるでしょう。
X世代・Y世代・Z世代の違い|情報収集
情報をどこから得て、どう活用するかは、世代によって大きく異なります。X世代・Y世代・Z世代の信頼するメディアや、重視するポイントの違いから、それぞれの世代の価値観や行動の傾向をつかんでみましょう。
X世代

X世代は、アナログからデジタルへの転換期を生きてきた世代です。テレビや雑誌などのマスメディアに強い信頼を持ちつつも、Y世代やZ世代と同じく日常の中でインターネットやスマートフォンを取り入れた情報収集も行っています。
一方で、デジタルツールへの対応力には個人差があり、利便性を実感しながらも、情報の信頼性には慎重です。SNSやWebサイトなども活用しますが、最終的には「信頼できる媒体」かどうかを重視する姿勢が強く、情報の精査や選別にも時間をかける傾向があります。
Y世代

Y世代は、インターネットの普及とスマートフォンの登場を成長期に経験し、SNSやWebを日常的に活用する世代です。SNSで自分の関心に合った情報を自ら探しに行き、SNS上のレビューやインフルエンサーの発信も重要な判断材料となっています。
一方で、オンラインのみに偏らず、新聞や雑誌などの紙媒体も使いこなすバランス感覚を持ち合わせているのがY世代の特徴です。過去にメールでのやり取りが主流だった時代を経験しており、文章での情報整理や発信にも長けています。情報の正確性やコストパフォーマンスに敏感です。
Z世代

Z世代は、生まれたときからインターネットやスマートフォンが生活の一部であり、SNSや動画サービスを通じて日常的に情報を得ています。X世代やZ世代と違い、検索エンジンよりもSNSを使って情報を探す傾向が強く、短く視覚的なコンテンツを好むのが特徴です。
また、限られた時間の中で最大の成果を得ようとする「タイパ(タイムパフォーマンス)」志向が強く、短く要点を押さえた情報を効率的に取り入れます。信頼できる発信者や共感できる口コミを参考にする一方で、情報の真偽や透明性にも敏感です。
弊社が実施した「SNS情報の信用度に関する調査」によると、SNS情報の信頼性やファクトチェックへの意識には世代間で明確な差が見られました。例えば、10代の約80%がSNSで見た情報を自分で確認しているという結果も出ています。
SNS情報の信用度に関する調査 ラジオ番組「馬渕・渡辺の#ビジトピ」と共同調査 | 株式会社 ロイヤリティ マーケティング
弊社が実施した「世代別の防災意識調査」では、Z世代の約60%が「平時も災害時もSNSから情報を得ている」ことがわかりました。小中学生時代に震災を経験した世代ならではの防災意識の特徴も見えてきます。
マーケティング戦略における世代別アプローチ
世代ごとの価値観や情報行動の違いは、企業のマーケティング戦略にも大きな影響を与える要素です。ここでは、X世代・Y世代・Z世代に効果的なアプローチのヒントを整理します。
X世代へのアプローチ方法

安定志向が強く、品質や信頼性を重視する消費行動が特徴のX世代には、「信頼」と「長期的な価値」を軸にしたアプローチが効果的です。
X世代は、テレビや新聞などのマスメディアを信頼しつつも、インターネットやSNSも活用しています。オンラインで情報を調べてから実店舗に行くといったマルチチャネルな行動が一般的です。ブランドへの忠誠心が高く、価格よりも品質や耐久性を優先する傾向も見られます。
したがって、X世代へのマーケティングでは商品の透明性や誠実さを重視し、正直なレビューや注意点も伝えて安心感を提供しましょう。さらに、家族や地域とのつながりを大切にする価値観を踏まえ、コミュニティ参加型のキャンペーンや、家族向けのイベント企画も好相性です。
Y世代へのアプローチ方法

多様性を尊重し、体験や社会的価値を重視するY世代には、「共感」と「リアルな価値」を軸にしたアプローチが効果的です。
Y世代は、インターネットの普及と共に育ったデジタルパイオニアでありながら、現実的な消費志向も持ち合わせています。コストパフォーマンスに加え、製品のストーリーや社会的意義を見極める姿勢もあり、口コミやレビュー、企業の透明性に敏感です。
したがって、Y世代に対してSNSやオンライン広告を活用する際は、共感できるメッセージやインフルエンサーの発信が鍵になります。また、コストパフォーマンスの訴求だけでなく、「この商品を使うとどんな体験ができるか」という視点での訴求も取り入れましょう。
Z世代へのアプローチ方法

共感・スピード・透明性を重視するZ世代には、「自分ゴト化」と「体験共有」を軸にしたマーケティングが効果的だといえます。
Z世代は検索よりもSNSでの口コミや動画、インフルエンサーの発信を信頼する傾向があり、タイパ重視のため短時間で直感的に理解できるビジュアル訴求が有効です。さらに、社会課題への意識も高く、企業の姿勢やブランド背景に共感できるかどうかが、購買の判断を左右します。
したがって、Z世代へのマーケティングでは、商品そのものの魅力に加えて、「共感できる世界観」や「自分も参加したくなるストーリー」を打ち出すことが重要です。企業の透明性を示しつつ、リアルな体験や発信の場を提供し、Z世代の共感と行動を引き出しましょう。
世代ごとの違いを捉えたマーケティング戦略を立てるならロイヤリティ マーケティングへ
X世代・Y世代・Z世代は、年齢や環境だけでなく、価値観やテクノロジーとの関わり方、消費行動、情報収集手段など、あらゆる面で大きな違いがあります。単に「若年層向け」「ミドル層向け」といった一括りでは、もはや適切なマーケティングは成り立ちません。
X世代・Y世代・Z世代の違いを的確に捉え、データに基づいて戦略を設計することで、ターゲットの心を掴むマーケティングの実現につながるでしょう。
弊社では、1億人を超えるPonta会員のデモグラフィックやライフスタイル、購買行動などのデータを活用し、世代ごとの特性に合わせたご提案を行っています。また、ターゲットに応じて、DMやSNS広告、アプリなどを組み合わせ、最適なアプローチの提案も可能です。
X世代・Y世代・Z世代のどの世代にどう届けたいかを戦略的に考えて、効果的なマーケティングを実現したい方は、お気軽にご相談ください。
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