コラム
2023-10-25
機械学習の技術や活用方法とは?AI、ディープラーニングとの違いや関係性まで解説
近年、機械学習の導入が進んでいますが、具体的な技術の内容やどのような場面で活用されているのかご存知でしょうか?本記事では、AIとディープラーニングの違いや関係性を深掘りしながら、機械学習の基本についてわかりやすく解説していきます。
目次
機械学習とは
現代ではさまざまな分野でAIが使われていますが、AIを理解する上で不可欠な存在が機械学習です。まずは機械学習の定義や具体的な手法、活用方法を解説していきますので全体像をイメージしてみてください。
機械学習(マシンラーニング)の定義
機械学習とはAIを実現する技術の1つで、コンピュータに大量のデータを読み込ませ、そこから学んだパターンに従って判断や予測を実現するテクノロジーを指します。
機械学習では人力では追いつかない膨大なデータを扱い、人間の分析では気づけなかった規則性の発見を容易にします。
機械学習の手法
機械学習の手法は、「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3つです。機械学習では、人間が決めた学習目的や内容に対して機械が学習し、判断や分析の効率化を実現するという特徴があります。
ここからは、機械学習の3つの手法について詳しく解説していきます。
教師あり学習
教師あり学習は、教師が生徒である機械に正しい答えを教えるように、明確な正解や最適な答えが存在する学習データを機械に学ばせる手法です。機械の不正検出やメールのスパム判定、住宅価格の予測など、正解と不正解がはっきりとしている問題解決の分野で活用されます。
教師なし学習
教師なし学習は、明確な正解がない学習データを機械に学ばせる手法です。例えば、販売したことがない新商品のターゲット予測など、正解や不正解が決まっていない分野の問題解決に活用できます。この手法の目的は、人間の分析では判明しなかった未知のパターンを導き出すことです。
強化学習
強化学習は、利益の最大化を目指して機械自身が試行錯誤を繰り返しながら最適な行動を学んでいく手法です。例えば、AI搭載の掃除ロボットは、プログラムされた毎日の掃除をこなしながら効率よくゴミを集める方法も同時に学び、今後の掃除を最適化しようとしています。
機械学習の手法やアルゴリズムについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
機械学習でのアルゴリズムとは?種類や手法、システムの仕組みを分かりやすく解説
機械学習の活用方法
機械学習の強みは、学習したデータについて正確かつスピーディーに判断できることです。そのため、迅速な分析結果の出力が必要なシーンに適しています。ただし、学習していないことは判断できず、誤った判断を下すことがあるため未学習の内容について問うのは適切ではありません。
機械学習の活用例①ターゲットの絞り込み
マーケティング分野で活用されているのが「ターゲットの絞り込み」です。データ分析によって自社商品を購入する可能性が高いユーザーを見つけ出し、効果的なプロモーションの実現を可能にします。
弊社が提供するサービスの1つにも、このような機械学習の活用方法が含まれています。気になる方は、ぜひ目を通してみてください。
機械学習の活用例②レコメンド
動画サイトでユーザーの視聴履歴に基づいておすすめする機能や、ECサイトで購入履歴に基づいておすすめする機能が「レコメンド」です。動画サイトの場合、ユーザーの興味に関連した分野の作品を表示することで満足度を高め、ユーザー離れを防ぐ取り組みなどがなされています。
AIとは
近年、私たちの身近な暮らしからビジネス活用まで幅広くAIが活用されていますが、急速に普及が進んでいるからこそ理解が曖昧な方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこでここからは、AIの意味や種類について解説していきます。
AI(人工知能)の定義
AI(=Artificial Intelligence、人工知能)には明確な定義がありません。ただ、一般社団法人人工知能学会の定款に「人工知能は大量の知識データに対して、高度な推論を的確に行うことを目指したものである。」という参考になる一文があります。
一般社団法人 人工知能学会 定款 – 人工知能学会 (The Japanese Society for Artificial Intelligence)
AIの歴史
AIという言葉が初めて公の場で使われたのは、1956年のダートマス会議です。その後、1950年代と1980年代に2度のAIブームが訪れましたが、次第に廃れていきました。しかし、2011年頃から第3次ブームが始まり、現代でもテクノロジーの進歩で普及が拡大しています。
AIの種類
AIは2種類に分類されます。1つ目は機能で分類した「特化型・汎用型」、2つ目は心を持つかどうかという視点による「強いAI・弱いAI」です。この2種類について、以下に詳しく解説していきます。
特化型人工知能と汎用型人工知能
「特化型人工知能」は、画像認識や音声認識といった1つの作業に特化したAIのことです。一方「汎用型人工知能」は、与えられた情報を応用しながら複数の作業をこなせるAIを意味します。
将棋のAIなど、特化型人工知能は高い性能を発揮していますが、汎用型人工知能のAIはまだ実現していません。
弱いAIと強いAI
強いAIとは、自らが判断して行動ができる「汎用型AI」のことで、人間のような思考や知能を持つAIを指します。一方、プログラムされていない行動をとれないのが弱いAIです。なお、現時点で実用化されているのは弱いAIで、強いAIはまだ実現していません。
近年のAIの動向
AIは、製造業や医療、農業などさまざまな分野での導入が進んでいますが、近年の動向で特に注目されているのが、AIによるコンテンツ生成とAIを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)です。ここではこの2つについて解説していきます。
AIによるコンテンツ生成
人間が描くようなイラストを生み出す画像生成AIや、質問に対して人間のように自然な回答をするチャットAIなど、身近でAIによるコンテンツ生成の機会が増えています。ただし、現時点では権利侵害や誤った情報発信などのリスクもあり、対応策が求められています。
AIを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)
DXとは、企業がAIやビッグデータを活用し、従来のビジネスを変革して競争力を高めていくことです。これまではIT化による業務効率化が重視されていましたが、DXは社内だけでなく顧客や取引先を含めた変革によって企業成長を目指し、新しい価値を生み出す活動となります。
ディープラーニング(深層学習)とは
近年、ディープラーニング(深層学習)に関する話題が増えてきましたが、意味がよくわからないまま普及が進み、社会への影響やビジネスでの活用法が気になる方も多いのではないでしょうか。ここからはディープラーニングについて重点的に解説していきます。
ディープラーニング(深層学習)の定義
「ディープラーニング」とは機械学習方法の1つで、多くのデータからパターンやルールを学習し、それらにしたがって複雑な処理をおこなう技術です。機械が学ぶパターンの構造を多層的にすることで、より深いレベルで正確な分析や判断ができるようになります。
深層学習の話題で見かけるニューラルネットワークとは?
「ニューラルネットワーク」とはディープラーニングで用いられるモデルのことで、人間の神経細胞(ニューロン)の構造を数式的に表した機械学習のアルゴリズムの1つです。入力層・隠れ層・出力層で構成され、ニューロンのように結びついています。
ディープラーニングの手法
ディープラーニングは、ニューラルネットワークを多層構造にすることで深い分析や判断を実現する技術ですので、その手法も複雑な処理を伴うものとなります。さまざまな手法がありますが、ここでは「CNN」「RNN」「GAN」という3つの手法を簡単に解説していきます。
CNN(畳み込みニューラルネットワーク)
画像認識の分野でよく使われているのが「CNN」です。ディープラーニングを通じて機械が膨大なデータから画像の特徴を特定・抽出し、見えにくくなっている画像を解析したり、類似画像を検索できるようにしたりといった技術に役立てられています。
RNN(回帰的ニューラルネットワーク)
過去の経験を未来に活かす人間の行動のように、過去の情報を記憶して新しい事象を処理できるようにした手法が「RNN」です。従来のディープラーニングには時系列要素をうまく扱えない欠点がありましたが、この手法ではニューラルネットワークを拡張して時系列データを扱えるようにします。
GAN(敵対的生成ネットワーク)
データの特徴の学習によって、存在しないデータでも生成できるのが「GAN」です。偽物を作るニュートラルネットワークと本物を判定するニュートラルネットワークの2つを競い合わせることから「敵対的」と呼ばれており、比較を繰り返して精度を高め、本物に近いデータを生成します。
ディープラーニングの活用方法
ディープラーニングはビッグデータを利用した高度な分析を得意とし、複雑な処理が必要な分野に適しています。一方、膨大なデータを学習するためには時間とコストがかかるため、短期間で分析結果が必要となる場面には不向きです。
ディープラーニングの活用例①画像キャプションの自動生成
画像を入力すると、その画像に写っている人・物・場所や行動・状態・出来事などを説明する文章(キャプション)を生成できる技術です。このテクノロジーの特徴は画像を自然な文章で説明できることであり、視覚障害向けのアプリなどで活用されています。
ディープラーニングの活用例②音声認識AIを使った語学学習
タブレットに向かって外国語を話すと正しい発音かどうかを判断するアプリや、AIと対話しながら1人で外国語のスピーキングをトレーニングできるWebサイトなど、音声認識AIを搭載したさまざまな語学学習サービスが生まれています。
機械学習・AI・ディープラーニングの関係性
機械学習・AI・ディープラーニングの基本について解説してきましたが、これら3つにはつながりがあることに気付かれた方も多いのではないでしょうか。ここまでの内容を踏まえた上で、最後に機械学習・AI・ディープラーニングの関係性や違いについてより深く解説していきます。
機械学習とディープラーニングを内包するのがAI
機械学習とディープラーニングはAIの一部であり、広範囲の意味を持つAIが機械学習とディープラーニングを内包しているような関係性です。AIは人間の知能を機械によって再現する技術全体を意味し、機械学習やディープラーニングはその中に含まれる技術となります。
機械学習とディープラーニングの関係性
機械学習とディープラーニングも内包関係にあり、AIの中にある機械学習の中にディープラーニングが含まれるという関係性になっています。ディープラーニングはAIの一部でありながら機械学習の1種でもあり、第3次AIブームの火付け役としても知られている技術です。
機械学習とディープラーニングの違い
ディープラーニングは機械学習の一部ですが、両者はそれぞれ特徴が異なります。手法や活用に適している場面に違いが生じるので、以下の3つの表を参考にして、機械学習とディープラーニングの具体的な違いをチェックしていきます。
機械学習とディープラーニングの特徴比較
●【迅速さ】機械学習>ディープラーニング
●【低コスト】機械学習>ディープラーニング
●【高度な分析】機械学習<ディープラーニング
●【必要なデータ量の多さ】機械学習<ディープラーニング
機械学習とディープラーニングの手法の違い
●【機械学習】人間がデータの特徴を判断する(人間が学習内容を判断する)
●【ディープラーニング】AIがデータの特徴を判断する(AIが学習内容まで判断する)
機械学習とディープラーニングが適している場面の違い
●【機械学習】迅速に結果を出力したいときや、分析のための膨大なデータの用意が難しい場面
●【ディープラーニング】膨大なデータを使った高度な分析が必要な場面
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今回解説したAI・機械学習・ディープラーニングは、今後のビジネスにおいて重要性が高まっていくことが予想されます。特にマーケティングの分野では、機械学習やAIを活用した膨大なデータ分析が不可欠といえるでしょう。
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