コラム

2025-12-18

会場調査(CLT)とは?流れやメリット・デメリットをわかりやすく解説

オンライン調査が主流となっているマーケティングリサーチですが、対象者の反応を直接得られる方法として、会場調査(CLT)があります。会場に対象者を集め、実際に製品を体験してもらうことで生の声を聞き、定量データを収集する方法です。本記事では、会場調査の流れやメリット・デメリットについて解説します。

会場調査(CLT)とは?

会場調査(CLT)の内容・目的・特長マトリックス

「会場調査」はマーケティングリサーチの代表的手法の種類の一つで、CLT(Central Location Test)とも呼ばれます。あらかじめ設定した会場に被験者(モニター)を集めて、製品・サービス・広告などへの評価をその場で直接ヒアリングし、定量データとして収集する方法です。

会場調査はマーケティング調査の初期段階から用いられてきたもので、現地でのリアルな反応を把握したいという需要の高まりに伴って発展してきました。

会場調査の主なポイントは以下の通りです。

実体験

会場調査は、試飲・試食、発売前パッケージの検証、新製品の操作性評価など、五感を通じたリアルな体験が不可欠なケースに最適です。

参加者に「実際に食べる・飲む・見る・触れる」といった購買や利用に近い状況を用意できるため、机上のアンケートでは得られない、より具体的で本音に近い反応を捉えることができます。

条件の統一

会場調査では、室温や提供温度、提示手順といった評価環境を統一することができます。全参加者が同一条件でテスト品を評価するため、環境差によるバイアス(偏り)が極めて少なく、信頼性の高い分析結果を得ることができます。

量的データ取得

会場調査の主目的は、数値化(定量化)できるデータの収集です。比較や集計が容易な設計で実施されるため、統計的な裏付けのある意思決定を可能にします。また、簡易的なアンケートや短時間のインタビュー、現地での観察などを併用することで、数値の背景にある理由や参加者の生の声を深掘りできる点も大きな魅力です。

会場調査の主な目的と使いどころ

会場調査は、新商品企画やリニューアル評価、競合に対する優位点の検証など、幅広いマーケティング課題の解決に用いられます。活用できるシーンの種類は以下の通りです。

・テイストテスト(試飲・試食): 飲料・食品・菓子の味覚評価や嗜好性を測定。温度管理や調理手順が必要なケースにも適合。

 

・パッケージ/デザイン検証: 発売前のパッケージ案・コンセプト、陳列時の見え方(シェルフテスト)など視覚評価を実施。

 

・コンセプト受容性調査: 新商品・サービス案の受け入れ度、魅力度、購入意向の把握。

 

・広告評価/効果測定: テレビCMや広告案の印象・訴求力を確認。

 

・試用テスト/ユーザビリティ: スキンケア、洗剤、新容器、スマホアプリ等の使い心地や操作性を評価。

 

・競合比較テスト: 自社品と競合品を同条件で比較し、強み・弱みや評価差を明確化。

特に、実際に体験しないと評価が難しい商材や、見た目の印象が成果を左右するテーマにおいて、会場調査は高い効果を発揮します。

会場調査の主な型と関連する定性手法

会場調査(CLT)と他の種類のオフライン調査手法との比較マトリックス

会場調査はオフライン調査の一つですが、他の種類のグループインタビュー(座談会)やデプスインタビュー(IDI)と組み合わせることで、定量と定性の両輪で深みのあるデータを収集できます。

主なオフライン調査の種類は、以下の通りです。

会場調査(Central Location Test)

会場調査(CLT)では参加者を会場に招き、五感評価を前提とした定量データを回収する流れで実施します。ローテーションやブラインド化などの実験計画でバイアスを抑制します。

座談会(グループインタビュー)

テーマに沿って、6~8名程度でディスカッションを実施します。会場調査で見えた数値の背景にある理由を、複数人の相互作用の中で引き出せます。新商品・新サービスの方向性探索や仮説拡張に有効です。

デプスインタビュー(IDI)

インタビュアーが対象者と1対1で向き合い、対話を通じて情報を引き出す調査手法です。購買の理由や行動の背後にある動機、潜在ニーズなどの要因を丁寧に掘り下げます。

会場調査でアンケート回答を終えた参加者を別室に招き、デプスインタビューで評価の根拠や背景をさらに詳しく探る、といった組み合わせ方も可能です。

会場調査のメリット・デメリット

会場調査は、他の定量調査(ネットリサーチや郵送調査)や定性調査(ホームユーステストなど)にはない独自のメリット・デメリットがあります。

会場調査のメリット

「会場で実施する必然性」があるとき、会場調査のメリットが最も活かせます。

秘匿性が高く情報管理を厳格にできる

調査場所が会場内に限定されるため、外部漏えいのリスクを抑えられます。発売前の製品や試作段階のサービスなど、機密度の高いテーマに向いており、スタッフの管理下で製品の破損や紛失も防止できます。

試用条件の統一によってデータ精度が担保できる

会場調査では温度や提供手順などを全参加者で揃えられるため、環境差によるバイアスを排除し、信頼性の高い結果を得られます。

その場で対象者の反応を観察できる

会場調査では、表情・所作・発言・視線など、使用時のリアルな反応を間近で観察できます。アンケートであいまいな自由回答が出た際も、「具体的にどの点でそう感じたのか」をすぐに掘り下げられます。

定量×定性を同時に実施できる

会場調査では、数値での評価(定量データ)を集めるだけでなく、その後に深掘りインタビュー(定性データ)を組み合わせることで、「なぜその評価になったのか」という理由まで一連の流れで把握することができます。

会場調査のデメリット

会場調査を実施する際は、以下のようなデメリットも含めて検討しましょう。

コスト・工数がかさむ

会場調査は、会場予約やスタッフ手配、サンプル搬入、対象者募集といった人的・費用的負担が他手法に比べて大きいため、十分な準備期間の確保が不可欠です。

実使用環境とズレがある

会場調査では非日常的な場での評価になるため、家庭や日常生活でのリラックスした利用状況と一致しない可能性があります。

期間評価には不向きである

会場調査は、数日〜数週間の継続使用が前提の検証には適しません。長期の使用感を調査するなら、対象者宅で試してもらうホームユーステスト(HUT)が有効です。

地域・サンプル数が制限されがちである

会場調査では参加者を一箇所に集める必要があるため地理的制約も大きく、都市部偏重になりがちです。会場の収容力や実施枠の関係で、Web調査と比べると回収できるサンプル数も限られます。

会場調査の実施プロセス

ここでは、会場調査の実施プロセスについて解説します。

STEP1:課題の定義と企画書づくり

会場調査においては、はじめに事業課題・背景・意思決定ポイントを丁寧にヒアリングします。調査目的と主要KQ(Key Questions)を定義し、仮説を明文化します。仮説があいまいだと、分析の軸が散り、アクションにつながらないリスクが高まります。

STEP2:スクリーナー作成とリクルート

次に対象者条件(属性・購買頻度・使用銘柄・態度など)を仕様化し、スクリーニング票を設計します。「リクルートが決まれば7割成功」と言われるほど、会場調査の肝となる部分です。主なチェック観点は以下の通りです。

・なりすましや利得目的の排除:整合チェック・トラップ項目で弾く。
・フレッシュサンプル:調査慣れしすぎていない生活者目線を確保。
・ターゲット構成比の遵守:性別・年代・エリア等のバランスを厳格に管理。
・時間厳守:指定日時に確実に参加できることも重要。

会場調査のリクルート手段は、事前パネル(モニター登録者の情報)からの抽出とストリートキャッチの2つが良いでしょう。条件難度とエリア事情で使い分けましょう。

STEP3:調査票設計と会場手配

質問票においては論理矛盾・回答難易度・専門語の有無を精査します。定量(尺度・選択肢)+FA(自由回答)で数字の裏側も拾います。なお、会場選定のポイントは以下の通りです。

・アクセス:駅近・分かりやすい導線・エレベーターや搬入動線。
・設備:調理器具・冷蔵冷凍・シンク・防音・モニタリング室。
・キャパシティ:同時入室数・控室・IDI用個室の有無。
・ネット環境:タブレット回答や遠隔観察に必要な、安定した高速通信に対応できる回線。

STEP4:実査運営と現場コントロール

総合ディレクター(統括)がフロア全体を俯瞰し、受付から誘導、提供、回答、退出までの導線と時間をキープします。調査員は、参加者への説明スクリプトの読み上げ、テスト品や質問票の呈示と回収、機材や温度の厳密な管理、ローテーションの進行管理といった多岐にわたる実務を担います。これらの試用条件のブレを徹底的に防ぐことが、調査全体の品質と信頼性のために重要です。

STEP5:データ入力・集計・分析・納品

アウトプットの標準セットは以下の通りです。

・ローデータ(CSV/Excel等)
・単純集計(GT表):速報的に全体感を確認
・クロス集計:性別・年代・頻度・志向タイプ別比較
・FA集:理由・表現の質感を把握
・レポート:仮説検証・示唆・次アクション案

オプション:FAのアフターコーディング、有意差検定、多変量解析(因子・クラスター等)で意思決定を後押し。

会場調査を成功させる運営のポイント

ここでは、会場調査を成功させるためのポイントを解説します。

バイアスを管理する

・順序バイアス:呈示順をローテーションする。全順序パターンで性別・年代の均衡をとる。

・質問順序の影響:先入観を生む情報(銘柄名・価格等)は後段に。自由回答は先に聞く。

・調査員差:説明スクリプトを完全統一し、個別アドリブを抑制。

・場の見え方:入室動線から呈示物が見えないレイアウト工夫で事前バイアスを防止。

正しい対象者を確実に集める

・スクリーニングの精度:一貫性チェック・虚偽回答排除は必須。

・条件の出現率:絞り込みすぎは母数不足の原因に。現実的な出現率設計にする。

・当日キャンセル対策:会場・時間の利便性、丁寧な事前連絡、リマインドで実到率を上げる。

参加者へ配慮する

・所要時間:目安は30分前後、長くても60分以内。超える場合は休憩を入れる。

・率直さの促進:企業は本音が欲しいことを明示し、遠慮せず答えてもらう環境を整える。

・負荷の見極め:辛味・香料・アルコール等は安全配慮と同意取得を周到に行う。

事前準備の質が当日の成果を決める

・予備の徹底:紙皿・カップ・テスト品・器具は最低+1割の余剰を準備。

・イレギュラー前提:遅刻・欠席・交通障害・通信不良・印刷差し替えなど、万が一の場合の台本を用意。

・全体ブリーフィング:開始前に目的・導線・NG行為・チェック観点を全メンバーで共有。

調査会社の選び方

会場調査の成果はリクルート力・運営品質・分析力に強く依存します。経験豊富なリサーチ会社の支援を受けることで、効率・精度・スピードが大幅に向上します。会社選定時のチェックリストは以下の通りです。

・実績と専門性:近似テーマの経験・ノウハウ・サンプル設計力・モデレーション力・現場統制力が備わっているか。

 

・リクルートネットワークとパネル規模:希少条件(例:特定疾患・特定機器ユーザー等)でも確実に集められる網を持つか。

 

・自社会場・設備の充実度:厨房・シェルフ・観察室・防音・喫煙動線など、調査テーマに噛み合う設備があるか。

 

・柔軟性とコスト最適化:企画~納品まで一気通貫と部分委託の両方に対応し、費用対効果を高められるか。

 

・スピード:見積もり・スケジュール・回収・集計・レポートの全工程で迅速に回せる運用体制か。

なお、ロイヤリティマーケティングでもリサーチサービスを提供しております。これから調査会社を検討予定の際は、お気軽にお問い合わせください。

会場調査ならロイヤリティ マーケティングへ

会場調査(CLT)は、同一条件下で対象者に製品やサービスを実体験してもらい、定量・定性情報をその場で回収できる方法です。

 

発売前の機密テーマや、五感評価・第一印象・操作初見の良し悪しが勝負を分ける場面で特に有効です。あいまいな反応はその場で深掘りでき、数字の差の理由までつなげやすいのが最大の魅力といえます。

 

会場調査の成功は、明確な仮説、適切な対象者、緻密なバイアス管理、現場運営の徹底、そして分析の粒度といった要素にかかっています。これらの品質を確保することで、新製品を発売すべきかどうかの最終的な根拠や、訴求戦略の明確な指針をデータから導き出せます。その結果、関係者全員が高い納得度をもって迅速に社内の合意形成を進めることが可能になるのです。

 

会場調査の導入を検討する際は、実績豊富でリクルート力と運営力に長けたパートナーへ相談することが重要です。

 

弊社では、会場調査を「調査設計」から「データ集計・分析」までワンストップでご提供しており、調査の目的に応じて最適な手法を柔軟に組み合わせることができます。

ブランド価値を高めたい方や、マーケティング・事業戦略の精度を高めたい方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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