コラム

2025-09-29

アンケートの設問設計のコツ、作り方を徹底解説!
注意点や回答率を上げる方法を知ろう

アンケートは、企業の課題解決に資する情報収集の有力な手段であり、マーケティングにおいて不可欠な役割を担っています。本記事では、アンケート調査を成功に導くための設問設計のコツと回答率および精度を高めるためのポイントを詳しく解説します。

事前準備:アンケート設計の土台を固める

アンケートの設問を設定する前に、質の高い調査を実施するための準備を行います。

 

アンケート作成の3大準備ステップ

(1)アンケートの目的とゴールの明確化

アンケートを実施する際はまず「目的」を明確にし、得られた結果をどのように活用するかという「ゴール」の具体的な設定が重要です。

 

アンケートの目的とゴールの明確化で、設問の内容や構成が一貫性を持ち、得られるデータの質も高まります。目的が曖昧なままアンケートを作成してしまうと、設問にブレが生じやすくなり、収集したデータが断片的で活用しづらいものになってしまう恐れがあります。

 

結果として、アンケート作成にかけた時間や手間が無駄になってしまうリスクもあるため、「何のために行うのか」「得た情報をどう使うのか」をしっかりと想定することが不可欠です。

(2)設問による課題の仮説設定と調査内容の決定

設定したゴールに効果的なアプローチをするためには、まずその達成を妨げている可能性のある課題に対して「仮説を立てる」ことが重要です。

 

そして、その仮説が本当に正しいかを検証するために、「調査内容」を明確に決めます。この仮説検証型のアプローチは、アンケート作成において非常に有効です。例えば、「自社商品の売上が低い」というゴールを想定した場合、その要因として「商品のアピールポイントがターゲットのニーズと一致していないのではないか」という仮説が立てられます。

 

この仮説を検証するために、顧客が求める価値や購入時の満足度、期待とのギャップについて尋ねるような設問を設けることで、売上についてより具体的な実態を把握できます。

 

事前に明確な仮説を立ててから調査内容を決めることで、設問に一貫性のあるアンケート作成が可能になります。必要な情報を無駄なく収集できるため、その後の分析や施策の立案に大きなメリットをもたらします。

(3)アンケートのターゲット層と調査方法の選定

効果的なアンケートの作り方として、まず設問への回答を求めたい「ターゲット層」の明確な設定が重要です。アンケートで意見を聞きたい層の特性を理解しておくことで、的確な調査結果を得ることができます。

 

ターゲット層の属性として、一般的には性別、年齢、職業、居住地域、ライフスタイル、ITリテラシーの有無などが挙げられます。こうした背景を把握したうえで最適な調査方法を選定することが、回答率の向上に直結します。

 

例えば、スマートフォンの操作に慣れている20代から30代の若年層を対象とする場合、Webアンケートを活用することで気軽にスキマ時間で回答してもらえる可能性が高くなるでしょう。

 

一方で、70代以上の高齢層を対象に含む場合には、スマートフォンやPCの操作に不慣れな方も多く、Webアンケートだけでは一般的に十分な回答が得られない可能性があります。こうしたケースでは、回答を得やすくするためにも紙ベースのアンケートが効果的です。

 

アンケートの目的を達成するためには、ターゲット層の属性や行動パターンに合わせて、回答しやすい調査手法を選んで実施することが肝心です。調査対象に合った方法を柔軟に選択して組み合わせることで、アンケートの質を大きく向上します。

 

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設問設計のコツ:回答者に寄り添う質問作り

アンケートの設問を「回答者の答えやすさ」を最重視して作成すると、回答率と調査精度向上の鍵となります。

誰にでも分かる誤解のない言葉を選ぶ

アンケートの設問では、回答者がわかりやすい平易な表現を選びましょう。専門用語や業界用語、回りくどい文章は避け、設問の意図が確実に伝わるように心がけます。

 

また、「甘いスイーツは好きですか?」のように「スイーツ全般が好きか」「特に甘いものが好きか」の両方の解釈を生む設問も避け、具体的に問いましょう。

 

さらに、設問で主語が抜けていると「個人について」なのか「家族全員を含むのか」などが不明確になるため、必ず対象者を明示するようにします。

語句・表現の統一

アンケートの設問で使用する語句や表現は統一しましょう。例えば、「昨年」「去年」「前年」など、同じ意味でも表現がブレると回答者が混乱し、分析時に正確な比較がしづらくなります。

設問の順序と構成を意識する

アンケートの設問は、回答者がスムーズに答えられるよう、時系列に沿った論理的な流れを意識して作成します。

 

簡単な設問から始め、徐々に詳細や深掘りした内容へと進めるのがポイントです。

 

例えばテーマが「ダイエット」であれば、まずは関心度を問う設問から始め、関心がある人に具体的な行動を尋ねるなど、段階的に構成すると回答者の負担が軽減されます。

 

また、設問があちこちに飛ぶ構成も、回答者を混乱させるため避けましょう。

設問数は最低限に絞る

アンケートの設問数が多すぎると回答者の負担になり、回答率の低下へとつながります。設問は最低限必要な数に絞りましょう。一般的には、回答時間10分程度(20~30問程度)が目安とされています。

設問ごとに適切な回答形式を選ぶ

アンケートの質問内容に応じて設問に対する適切な回答形式の選択が重要です。主な回答形式には、単一回答、複数回答、マトリックス、順位法、自由記述があります。

 

・単一回答: 複数の選択肢から1つだけ選ぶ形式です。(例:購入経験の有無)

 

・複数回答: 該当する選択肢を複数選ぶ形式で、商品のイメージや購入動機のリサーチに適しています。

 

・マトリックス: 同様の質問が続く場合に、表形式でまとめて表示する形式です。

 

・順位法: 選択肢に重要度をつけ、順位を決める形式です。

 

なお、回答者が自由に文章を書く自由記述は、負担が大きく離脱率が高まる可能性があるため、数を最小限にするか、任意項目に設定するのがおすすめです。また、回答者に計算をさせる設問は避け、簡単に答えられる選択式にする工夫をしましょう。

一問一答形式を徹底する

1つの設問に対し問う内容は1つのみとしましょう。

 

例えば「サービスの予約のしやすさと当日の対応についてどう感じましたか?」のように2つ以上の要素を同時に聞くと、回答者はどちらに答えてよいか迷い、正確な回答が得られません。これは「ダブルバーレル」と呼ばれ、避けるべき設問例です。

排他選択肢の有無を確認する

選択式の設問では、回答者が該当項目を見つけられない場合に備え、「該当無し/いずれにも該当しない/利用していない/知らない」など、排他選択肢を設けることを検討しましょう。

 

これが欠けていると回答率が低下したり、「その他」の自由記述欄が「無し」で埋め尽くされて分析が困難になったりする可能性があります。

均一な尺度を保ち、バイアスを避ける

評価を尋ねる設問では、「とても好き/やや好き/どちらともいえない/やや嫌い/とても嫌い」といったように、回答選択肢の尺度を均一に保ち、等間隔で区分することが重要です。

 

また、アンケートは「第三者」の声を聴くために実施します。バイアスをかけるような枕詞をつけたり、プレゼントなどの報酬で回答を誘導したりすることは避け、回答者が設問にフラットな気持ちで答えられるように配慮しましょう。

 

さらに、設問の順序によって回答がゆがむ「順序バイアス」にも注意が必要です。例えば、先に「A社のビール」を提示してから「知っているビールブランドは?」と尋ねると、A社の回答に偏る可能性があります。

 

そうした誘導を避け、回答者が純粋に思い浮かべるブランドを知りたい場合は、最初に「ビールと聞いて思い浮かぶブランドは何ですか?」のように、自由記述で尋ねるべきです。

アンケートの精度を高め、回答率をアップさせるポイント

設問が作成できたら、アンケートの精度をさらに高め、回答率を向上させるための最終確認を行いましょう。

 

回答率アップのための工夫

回答者の属性を知る項目を入れる

アンケートの冒頭には、性別、年齢、居住エリア、職業など、回答者の属性を尋ねる項目を入れましょう。集めたデータを属性ごとに分析し、商品開発やプロモーション施策に活用します。

 

データの正確性を高めるために記名欄を設けることも有効ですが、回答率が低下しやすい傾向にあるため、必須項目にするかは慎重に検討しましょう。

個人情報の取り扱いを明記する

氏名や住所、メールアドレスなど個人を特定できる情報を収集する場合は、個人情報保護法に則り、その取り扱いについて記載する必要があります。

 

利用目的、第三者への提供の有無(原則しない旨)、問い合わせ窓口を必ず明記し、安心して回答してもらえる環境を整えましょう。

 

病歴や政治信条など、センシティブなテーマを扱う場合は特に配慮が必要です。

事前に回答テストを実施する

アンケートを配布する前に、回答テストを行うことが大切です。自分で設問に回答してみて、時間や負担感、わかりにくい設問や漏れ、重複がないかを確認します。

 

アンケート作成者以外にも回答してもらい、客観的な視点から問題点や改善点を見つけることも非常に有効です。

回答者にメリットを提示する

アンケートの回答率を上げるには、商品券や商品のプレゼントといった、回答者にメリットのある謝礼を用意しましょう。

 

郵送コストや住所管理の手間がないデジタルギフトは、交換先の選択肢が豊富なうえ即日納品が可能です。そのため多くの人に喜ばれやすく、アンケートの謝礼として非常に有効です。

モバイル対応の確認

PCだけでなく、スマートフォンやタブレットでの表示や操作性も確認しましょう。選択肢の配置やスクロールのしやすさなど、モバイル環境での快適さを確保することが重要です。

最終的な目的との合致の確認

全ての設問が完成したら、最後に上から通して見直し、調査の実施目的が満たせるかを再確認します。本来聞くべきことが漏れていたり、不要な設問が増えたりしていないかチェックしましょう。

アンケート作成に役立つツール

アンケート作成を効率化し、質を高めるツールは多数存在します。例えば、プログラミングスキルがなくてもフォームを作成できるセルフアンケートツールです。

 

豊富なテンプレートやEFO(フォーム最適化)機能、高いセキュリティ対策を備え、データ集計や自動返信メール機能も利用できます。

 

また、回答者への謝礼にはデジタルギフトサービスが便利です。1円単位での発券や即日納品が可能で、運用にかかる負担を大幅に減らすことができます。

アンケートの設計・活用に迷ったらロイヤリティ マーケティングへ

アンケート調査の成功は、入念な事前準備と回答者に寄り添った設問設計にかかっています。目的を明確にし、仮説に基づいた調査内容を決定したうえで、回答者の負担を最小限に抑えることが重要です。特に設問数、言葉遣い、質問順序、回答形式には細心の注意を払いましょう。

 

回答率を向上させるためには、アンケートの趣旨と所要時間を明確に示すとともに、回答者のメリットとなる謝礼の用意を検討しましょう。アンケート完成後は必ず自身と第三者による回答テストを実施し、最終的な目的との整合性を確認することが不可欠です。

 

これらのポイントを押さえることで、貴社の課題解決につながる精度の高いアンケート結果を得られるでしょう。

 

とはいえ、アンケートの取り扱いは容易でなく、高度な専門知識が求められるケースもあります。社内で人員を確保するのが難しい場合は、外部の専門家に依頼することも検討してください。

 

弊社ロイヤリティ マーケティングは、丁寧なヒアリングから分析業務まで伴走いたします。アンケートの活用でビジネスを一歩先へ進めたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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