コラム
2025-07-24
ダッシュボードとは?機能や活用例、手順などをわかりやすく解説
ダッシュボードは、ビジネス判断の精度やスピードを高めるうえで欠かせない存在です。しかし、目的やユーザー像が曖昧なまま設計を始めてしまうと、使いづらく形骸化したダッシュボードになりかねません。今回は、ダッシュボードの役割から活用例、手順、作成のポイントまでを解説します。マーケティング担当者やデータ活用を任された方におすすめの内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。
目次
ビジネスにおけるダッシュボードとは
ダッシュボードとは、企業が保有するデータを一元的に可視化し、リアルタイムで状況を把握できるツールのことです。ダッシュボードとは元来、自動車の計器盤を意味しますが、ビジネスでは売上や進捗などの重要情報をリアルタイムで把握するためのツールという意味で使われます。
ダッシュボードとはBIの一種

ダッシュボードは、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの一種です。BIとは、社内外のデータを分析・集計し、意思決定を支援する仕組みのことを指します。分析結果をわかりやすく「見える化」し、現場から経営層まで幅広く活用できるのがダッシュボードです。
ダッシュボードとレポートの違い

レポートは、マーケティングや経営に役立つツールであり、データを可視化するという点でダッシュボードと共通していますが、両者には更新頻度や用途に関して明確な違いがあります。
レポートは、一度出力された内容が固定される静的なドキュメントで、過去の記録を残すのに最適です。一方、ダッシュボードは、リアルタイムで情報が更新される動的なツールであり、常に最新の情報を表示しながら分析指標の切り替えも柔軟に行えます。
記録するためのレポート、即時判断のダッシュボードといったように、目的に応じて使い分けましょう。
ダッシュボードの役割

ダッシュボードの主な役割は、以下の3つです。
主な役割3つ
・施策検討の支援
・データ可視化
・情報共有
まず、ダッシュボードは、最新のデータをもとにマーケティングや営業施策の効果を確認し、次に取るべき行動を素早く判断するのに役立ちます。シミュレーション機能を活用すれば、将来の数値を予測しながら意思決定を行うことも可能です。
また、さまざまなデータを一画面に集約し、グラフやチャートなどで視覚的にわかりやすく表示するのもダッシュボードの役割です。数字の羅列では見えにくい傾向や変化を直感的に把握できるため、業務効率の向上にもつながります。
さらに、ダッシュボードは部門を越えた情報共有を促進する際にも便利です。リアルタイムで更新される共通のデータを参照できるため、一般社員と管理職、マーケティング部門と営業部門など、異なる立場や部門の間で状況や課題を迅速に共有し、連携を強化できます。
ダッシュボードの代表的な機能
ダッシュボードに搭載されている機能は、主に6つです。これらの機能を理解し、データ活用の幅を広げましょう。
コネクタ

コネクタとは、外部ツールやシステムと連携し、データを自動で取り込む機能です。
Googleスプレッドシート、CRM、販売管理システムなどと接続することで、異なるシステムのデータソースを1つの画面に統合でき、集計作業の負担を削減して効率化するのに役立ちます。
データ分析

データ分析とは、収集したデータを条件ごとに集計・比較し、ビジネス上の傾向や課題を可視化する機能です。「期間別」「エリア別」「顧客属性別」など、多様な切り口でのセグメント分析が可能で、営業施策の改善や商品戦略の立案に活用できます。
レポート出力

レポート出力とは、ダッシュボードに表示されたデータやグラフを、定型のドキュメントとして出力する機能です。PDFやExcelなどで保存・共有でき、月次レポートや社内報告資料の作成を効率化します。
グラフやチャートの作成

グラフやチャートの作成とは、数値データを視覚的に表現することで、情報の理解を助ける機能です。棒グラフ・折れ線グラフ・円グラフ・分布図・ヒートマップなど多様な形式で表示し、ユーザーが目的に応じてレイアウトを調整したり、フィルタ機能で絞り込んだりもできます。
ドリルダウン・スルー

ドリルダウンとは、データを階層的に掘り下げて分析する機能で、「年→月→週→日」など、詳細データへの深掘りが可能です。
一方、ドリルスルーとは、2画面を並べて表示するデュアルモニターのように、集計データの内訳を別ページに表示できる機能を指します。例えば、左の画面で全体の売上推移を確認しながら、右の画面で特定店舗の購入者属性や単価の詳細を見比べるといった使い方が可能です。
シミュレーション

シミュレーションとは、過去データや現在の実績をもとに、将来の数値を予測する機能です。予算計画・売上見込み・広告効果の予測などに活用でき、複数パターンを比較しながら最適な戦略を選ぶ際に役立ちます。一部ツールでは、AIや機械学習を活用した高精度な予測も可能です。
ダッシュボードのメリット・デメリット
ダッシュボードを導入・活用することで得られるメリットと、注意すべき課題について整理します。導入前に両面をしっかり把握し、ダッシュボード活用時の失敗を防ぎましょう。
メリット

ダッシュボードの主なメリットは下記の3つです。
リアルタイムで最新状況を共有できる
ダッシュボードの最大のメリットは、常に最新のデータを可視化できることです。更新のたびに情報が反映されるため、全社で現状を即座に把握できます。目標に対する進捗や急な数値変動もすぐに確認でき、スピード感のある対応が可能となるでしょう。
レポート作成が効率化される
ダッシュボードには、データ集計やグラフ作成、レポート出力の機能があるため、資料作成にかかる時間を大幅に短縮できることもメリットです。複数のツールと連携すれば、分析や意思決定に集中しやすくなり、業務の生産性向上にもつながります。
データを一元管理できる
ダッシュボードを使うと、社内の各部門で扱っているツールやシステムのデータを統合し、1つの画面にまとめて表示できます。全体像が見えやすくなることで、経営課題の発見やKPIのモニタリングがしやすくなり、意思決定のスピードも上がるでしょう。
デメリット

ダッシュボードのデメリットは、主に次の2つです。
導入にコストや時間がかかる
ダッシュボードの初期導入にはシステム構築費用が発生し、機能によっては月額利用料やオプション費用も必要となります。また、過去データの移行やレイアウト設計、操作研修などにも時間とリソースを要するため、準備段階からの綿密な計画が不可欠です。
使いこなすにはスキルが必要となる
ダッシュボード上に見やすいグラフが並んでいても、内容を正しく読み解くにはデータ分析やツールの操作スキルが必要です。データの意味を理解せずに運用すると、誤った判断につながるリスクもあるため、研修や教育体制の整備が欠かせません。
ダッシュボートの作成手順
ダッシュボードを効果的に活用するには、作成前の準備が重要です。ここでは、作成前の準備から実装・改善までの手順を段階的にご紹介します。各手順を理解しながら進め、意思決定に役立つダッシュボードを構築しましょう。
①目的とユーザーの明確化

ダッシュボードの設計に取りかかる前に、まず「何のために使うのか」「誰が使うのか」を明確にしましょう。目的が曖昧なままだと、必要な指標や設計方針も定まりません
例えば、経営層が使うならKPIの進捗を広く見渡せる設計が求められますが、現場スタッフ向けであれば、業務の進み具合や日々の実績をすぐに確認できる構成が適しています。初期段階で目的やユーザーを言語化し、使う人の業務や視点を具体的に描いておくことが大切です。
②必要なデータと指標を整理

次の手順は、使うデータと指標の収集・整理です。目的に対してどんなデータが必要なのかを洗い出し、社内外のデータやExcelファイルなど、さまざまな場所からデータを集め、重複や抜け漏れなどを確認しながら不要なものを省いて扱いやすい形にまとめます。
③ツールを選定

続いての手順は、ダッシュボードを構築するためのツール選定です。ダッシュボードはツールによってできることや操作性が大きく異なるため、目的やユーザーに合ったものを選ぶことが重要となります。
例えば、活用例で紹介したTableauなどのBIツールは、多機能で汎用性が高く、多くの現場で導入が進んでいるツールです。扱うデータが少なく、簡易的な用途であれば、Excelで対応できる場合もあります。
④可視化方法を決定

分析結果がひと目でわかるように、データの特徴に合ったグラフ形式を選びましょう。例えば、数値の推移には折れ線グラフ、割合の比較には円グラフや帯グラフ、分布を見るにはヒストグラムが適しています。
また、色の使い方やレイアウトにも配慮し、見やすさと伝わりやすさの両立を意識することが大切です。視認性の高い配色や、注目させたい箇所に色を使うといった工夫もしてみましょう。
⑤構成とレイアウトを設計

ダッシュボード全体の構成を決める設計フェーズでは、見たい情報にすぐアクセスできるよう、視線の流れや配置バランスに配慮しましょう。重要な指標は目に入りやすい位置に、関連データは近くにまとめるなど、ユーザーの使いやすさや操作性を意識して設計します。
⑥実装とテスト運用

設計が固まったら、実際のデータを取り込み、設計通りのレイアウトで構築を進めます。選定したBIツールとデータソースを接続し、必要な情報が自動で反映される仕組みを整えましょう。データの整合性や更新頻度を確認しながら、動作の軽さや見やすさにも気を配ることが大切です。
構築後はテスト運用に進みます。実際の利用者に操作してもらい、情報の見つけやすさや更新タイミング、表示スピードなどを確認しましょう。加えて、アクセス権限の設定や表示内容のチェックを行い、改善が必要な点があれば微調整を重ねます。
⑦公開と改善

最後の手順は、構築したダッシュボードの正式な公開です。全ての機能が正しく動作するかを確認し、必要に応じて関係者への使い方の説明やトレーニングを実施しましょう。
公開後は、実際の利用状況やユーザーからのフィードバックをもとに改善を重ねます。ビジネス環境や活用目的の変化に応じて、柔軟にアップデートを行い、ダッシュボードの価値を持続的に高めましょう。
ダッシュボードを作成する際のポイント
最後に、活用されるダッシュボードを作るために意識すべきポイントを3つご紹介します。
操作しやすさを重視する

ダッシュボードは、誰でも直感的に操作できる設計が理想的です。クリックや絞り込みが複雑だったり、動作が重かったりすると、利用されなくなります。ユーザーのITスキルや業務スタイルを考慮し、「使いやすさ」を設計段階から意識しましょう。
適切な指標に絞る

情報を詰め込みすぎると、かえって何を見ればよいのかわからなくなります。ダッシュボードは「全部を見せる場所」ではなく、「意思決定に必要な情報を絞って伝える場所」と考えましょう。目的に合った最小限の指標を選び、シンプルに構成することが、使いやすさにつながります。
分析に合ったグラフを使う

グラフの選び方次第で、伝わり方が大きく変わります。例えば、売上推移は折れ線グラフ、カテゴリ別構成比は円グラフ、地域別の傾向は地図やヒートマップなどが適しており、データの特性に応じて適した形式を選ぶのが基本です。
ダッシュボードの活用例
共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営する弊社は、「Pontaリサーチ」を通じて、社会や企業の課題解決に役立つデータを継続的に分析しており、データを可視化して共有するプラットフォーム「Tableau Public」上にダッシュボードを公開しています。
ここでは、弊社が関わったダッシュボードの具体的な活用例を紹介しながら、その可能性と価値について見ていきましょう。
【企業活用】仕事に関するプロファイルを可視化するダッシュボード

約16万人を対象にした「仕事に関する調査」の結果をもとに、職種・業種別の価値観や基本属性をビジュアルで確認できるダッシュボードを公開しました。年代や年収、勤続年数、転職意向に加え、職種別にどんな価値観を持った人が多いのかを直感的に把握できる構成です。
特定の職業に向けた商品・サービスを展開する企業のマーケティングご担当者が、ターゲット像を明確にする際などにご活用いただけます。ダッシュボードはTableau Public上で誰でも無料で閲覧可能です。
【企業活用】企業の保有データを可視化するダッシュボード構築サービス「COM-BI」

「COM-BI(コンビ)」は、企業の保有データを整形・分析し、可視化するマーケティングサービスです。弊社データアナリストがデータを整形し、Tableau上にダッシュボードを構築します。社内データはもちろん、必要に応じてPontaデータや政府統計も活用可能です。
例えば、POSデータの活用に悩むペットショップでは、ダッシュボードの構築により、売れ筋商品や併売されやすい商品の組み合わせを店舗ごとにチェックできる仕組みを実現しました。
【行政活用】家計調査データをビジュアル化した消費支出ダッシュボード

弊社は、総務省の「家計調査」をもとに、地域別・品目別の消費傾向を把握できるダッシュボードを公開しています。例えば「ぎょうざ」の都市別年間消費額など、注目される品目の消費動向もランキング形式で確認可能です。行政や地域分析を行う企業の皆様にもご活用いただけます。
ダッシュボードの設計・活用に迷ったらロイヤリティ マーケティングへ
ダッシュボードを効果的に活用するには、目的に合った指標の設計と、データの整理・可視化における工夫が不可欠です。とはいえ、「何をどう見せればいいのか」「そもそも自社データだけで十分なのか」など、設計段階でつまずくケースは少なくありません。
弊社は、約1億IDのPontaデータや可視化支援サービス「COM-BI(コンビ)」の知見に基づき、企業ごとの課題に応じた分析・設計を支援しています。マーケティング実務を理解したデータアナリストが対応し、実用的な視点で、現場に根差したデータ活用が可能です。
まずは無料公開中のデータをご覧いただき、お気軽にご相談ください。
お気軽にお問い合わせください
詳しくお知りになりたい方はお問い合わせ