コラム

2025-01-25

潜在顧客とは?顕在顧客・見込み顧客との違いやアプローチ方法を解説

「まだ見ぬ顧客」を見つけ出し、ビジネスを飛躍させたいなら、潜在顧客を掘り起こすチャンスです。今回は、潜在顧客の特徴から顕在顧客・見込み顧客との違い、発掘の手順、アプローチ方法までを徹底解説します。本記事を参考に、新たな顧客層を開拓しましょう。

潜在顧客とは

潜在顧客とは、自社の商品やサービスの必要性を認識していない人のことです。適切なアプローチを行うことで将来的に顧客になる可能性がありますが、悩みや課題があっても自分の中のニーズに気づいていないため、購買行動につなげるには時間がかかります。

 

例えば、「最近、肩こりがひどい」と感じていたとしても、まだ「マッサージ器が欲しい」とすら思っていないのが潜在顧客です。マーケティングでは、「まだ見ぬ顧客」にアプローチすることで、新たなビジネスチャンスをつかめます。

顕在顧客や見込み顧客との違い

潜在顧客、顕在顧客、見込み顧客は一見して似た言葉ですが、明確な違いがあります。効果的なマーケティング戦略を進めるために、言葉の違いを把握しましょう。

顕在顧客との違い

顕在顧客は、自分のニーズや課題が顕在化し、解決策を探している人です。例えば、「肩こりがひどいから、マッサージ器が欲しい」と考えている人は顕在顧客に該当します。潜在顧客との違いは、ニーズが顕在化しているかどうかや、商品やサービスへの必要性を感じているかどうかです。

見込み顧客との違い

見込み顧客とは、顕在顧客からさらに一歩進み、自社の製品やサービスに興味関心を示し、将来顧客になる可能性が高い層です。潜在顧客や顕在顧客と違い、既に製品やサービスに対して好意的な態度をとっているため、潜在顧客や顕在顧客よりも早く顧客へと転換する可能性があります。

 

例えば、ホームページでサービスを知って資料請求をした人や、ブランドのSNSアカウントをフォローして「いいね」ボタンを押すなどのアクションを起こしている人は見込み顧客です。

 

なお、見込み顧客は広い意味で捉えられることもあり、将来的に顧客になる可能性がある層を一括して「見込み顧客」と呼ぶことがあります。つまり、潜在顧客や顕在顧客を含めた「広義の見込み顧客」です。

 

狭義の見込み顧客について詳しく知りたい方は、下記のコラムをご覧ください。

 

見込み顧客とは?ビジネス上の意味や潜在顧客との違いを知ってマーケティングを強化しよう

潜在顧客にアプローチするメリット

潜在顧客にアプローチして顕在化させることで、ビジネスへのさまざまなプラス効果が期待できます。潜在顧客にアプローチする代表的なメリットとして3つを紹介しましょう。

顕在顧客よりも競争率が低い

1つめのメリットは、潜在顧客には競合がアプローチしていない可能性が高いことです。既にニーズが明確な顕在顧客や見込み顧客は熾烈な競争になりやすいですが、潜在顧客はまだニーズに気づいていないため、ライバルが多くありません。

 

例えば、業務効率化ツールを販売している企業が、まだ課題を感じていない事業者に向けて「簡単に導入できる業務効率化ツール」という切り口で提案すれば、競合他社よりも先に顧客を獲得できるチャンスがあります。

 

新規顧客の開拓を目指すのであれば、潜在顧客に対して早い段階でアプローチを行いましょう。

顧客ロイヤルティが高まる

2つめのメリットは、潜在顧客にアプローチすることで顧客ロイヤルティが向上することです。顧客ロイヤルティとは、企業やブランドに対する愛着や信頼のことで、潜在顧客の段階からコミュニケーションを続けると、信頼関係が構築され、顧客ロイヤルティが高まります。

 

例えば、食品の宅配サービスを利用する顧客に対し、定期的にレシピや健康に役立つ情報を提供し続ければ、「ずっとサポートしてくれている」という安心感が生まれるでしょう。企業やブランドへの信頼が生まれ、結果としてリピーターやファンを獲得しやすくなります。

販路の拡大につながる

3つめのメリットは、潜在顧客を発掘することで、新たな販路を開拓できることです。これまで気づかなかった層や市場にアプローチする機会が生まれます。

 

例えば、若年層向けのスキンケア製品を販売する企業が、働く30代女性の「時短ケア」の潜在ニーズを掘り起こしたとしましょう。潜在顧客に向けた新しいラインを展開すれば、新たな顧客層を開拓し、収益アップにつなげることも可能です。

潜在顧客を発掘する手順

潜在顧客の発掘には、戦略的な手順が欠かせません。以下の3つのステップで効率的に見つけましょう。

①STP分析を実施する

STP分析は、効果的なマーケティングの立案に欠かせない基本のフレームワークです。自社の潜在顧客を明確にするために、以下の3つのステップで市場を分析します。

 


STPとは

S(セグメンテーション):市場を属性や価値観などで細分化する

T(ターゲティング):細分化した市場から狙う層を絞り込む

P(ポジショニング):競合と差別化するポイントを決める


 

例えば、ホームセンターAがDIY関連商品の販売を強化したい場合、顧客層を「週末にDIYを楽しむお父さん」や「趣味としてDIYに取り組む若年女性」などに分類します。各グループの中から事業目標に合致するターゲット市場を選び、自社の強みを明確化しておきましょう。

②ペルソナを設定する

ペルソナとは、企業が理想とする顧客像のことです。ターゲットは年齢や性別といった大まかな枠組みですが、ペルソナはターゲットに基づいて年齢、職業、趣味、ライフスタイルなどを細かく設定します。

 

ペルソナを設定することで、ターゲットに寄り添ったマーケティング施策を打ち出すことが可能です。潜在顧客のニーズや課題が明確になり、適切なコンテンツや施策を打ち出せるようになります。これにより、潜在顧客を顕在化し、新たな購買層を獲得するチャンスが広がるでしょう。

 

例えば、ホームセンターAが下記のようなペルソナを設定するとします。

 


ホームセンターAが選定するペルソナ

名前:山口◯夫

性別:男性

年齢:45歳

住まい:愛知県◯市

家族:妻・子供2人(2歳、5歳)

住居スタイル:庭付きの一戸建て

趣味:DIY(木工が好き)

願望:もっとさまざまなものを作りたいが、知識と技術と時間がない


ペルソナの設定により、潜在顧客の課題やニーズがわかり、時間がないペルソナに向けてショート動画で「簡単にできるDIYのコツ」を発信するなどの適切な施策を打ち出すことが可能です。

③カスタマージャーニーマップを作成する

カスタマージャーニーマップは、顧客が製品を知り、購入に至るまでの道のりを可視化したものです。潜在顧客が抱える課題や疑問にどのタイミングで気づくのか、どのような情報を求めているのかを把握し、的確なアプローチができるようになります。

 

ホームセンターAのカスタマージャーニーマップ

 

「認知」や「興味・検討」といったフェーズは、作成の仕方によってさまざまです。このようなマップにまとめることで、潜在顧客がどのようなタイミングで課題に気づき、どのような情報を求めているのかを把握でき、最適な施策を打ち出せます。

潜在顧客へのアプローチ方法

潜在顧客に効果的にアプローチするには、インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングを使い分けることが重要です。ここでは、それぞれの方法と具体的な施策を紹介します。

インバウンドマーケティング

インバウンドマーケティングは、潜在顧客が自ら情報を求め、自然に自社へたどり着くよう仕組みを作る手法です。潜在顧客にとって魅力的なコンテンツを用意することで、ユーザーが自ら企業やブランドにたどり着くため、押し売り感がなく、信頼関係が築きやすいメリットがあります。

オウンドメディア

オウンドメディアとは、潜在顧客が興味を持ちそうな情報を発信する自社コンテンツのことを指します。例えば、潜在顧客の悩みに寄り添った自社ブログの記事などです。SEO対策を行い、検索エンジンで上位表示されるようにすることで、潜在顧客に発見されやすくなります。

SNS

InstagramやX(旧Twitter)などのSNSは、自社の商品やサービスに関する情報を発信できる場であり、潜在顧客との接点となる可能性があります。頻繁に投稿することで認知拡大が期待でき、コメントやDMでのやりとりを通して潜在顧客のニーズを収集可能です。

 

例えば、ファッションブランドがSNSを活用する場合、新商品を取り入れたトレンドコーデや着こなし術を投稿すると、情報を発信しつつユーザーにとって役立つコンテンツになります。フォロワー参加型のキャンペーンを実施すれば、ブランドへの親近感も高まるでしょう。

セミナー

オンラインやオフラインでセミナーやウェビナーを開催すると、潜在顧客と直接触れ合う機会になります。役立つ情報を提供することで信頼感が生まれ、商品やサービスへの関心も高まるでしょう。

 

例えば、住宅関連企業なら「初めてのリフォーム計画セミナー」、ITサービス企業なら「業務効率を上げるデジタルツール活用法」などのように、ペルソナやターゲットを意識した企画にすると効果的です。

アウトバウンドマーケティング

アウトバウンドマーケティングとは、企業側が積極的に潜在顧客へアプローチする手法です。短期間で効果を出したい場合に適しています。

リスティング広告

リスティング広告とは、検索エンジンで特定のキーワードを検索した際に、キーワードに連動して表示される広告です。例えば、旅行代理店が学生向けの旅行を宣伝したい場合、「格安ヨーロッパツアー」などの検索ワードに出稿し、興味を持つ潜在顧客を引き寄せます。

展示会

BtoB向けの製品やサービスなら、業界の展示会に出展するのも有効です。来場者は情報収集を目的としているため、潜在顧客との接点を作りやすくなるでしょう。例えば、建材を扱う企業が「住宅建材フェア」に出展すると、工務店や設計事務所との接点ができる可能性があります。

テレマーケティング

テレマーケティングとは、潜在顧客リストに対して電話でアプローチする方法です。例えば、オフィス向け清掃サービスを提供する企業なら、「オフィスの衛生管理でお困りの点はありませんか?」とヒアリングし、ニーズを引き出します。

 

テレマーケティングを実施する際は強引な売り込みではなく、相手の課題に耳を傾け、解決策を提案する姿勢で信頼してもらいましょう。

潜在顧客を顕在化してマーケティングに活用した事例

マーケティング戦略の中に潜在顧客へのアプローチを取り入れる場合、成功事例を知ると参考になります。ここでは、潜在顧客を顕在化する事例として、弊社の取り組みを2つ紹介しましょう。

拡大推計で潜在顧客を特定

共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営する弊社は、データ活用によって企業の潜在顧客を顕在化する支援をしています。自社の顧客データに基づいた拡大推計で潜在顧客を見つけ出し、Pontaのオウンドメディアや提携メディアを活用したアプローチが可能です。

 

例えば、あるクレジットカード会社では「顧客像が不明確」という課題を抱えていたため、弊社はPonta会員へのアンケートと機械学習による拡大推計を実施し、潜在顧客セグメントを作成しました。ペルソナへのプロモーションを行い、新規顧客獲得のための施策も支援しています。

 

顧客分析 × Pontaデータでできること

 

なお、「拡大推計」について詳しく知りたい方は、下記をご覧ください。

 

拡大推計とは?やり方やコツ、活用方法を知ってデータを分析してみよう

購買データ×AIを活用して潜在顧客像を可視化

弊社の「AItem∞(アイテムインフィニティ)」は、AIを活用してPonta会員の購買確率を予測・スコアリングするサービスです。50万種類以上の商品データに基づいて潜在顧客像を可視化し、効果的な広告配信やリサーチを支援します。

 

例えば、ある飲料メーカーでは「購買率の高いセグメントで新規顧客へ広告配信を行いたい」という課題がありました。そこで「AItem∞」を活用し、Ponta会員データに基づく購買セグメントを作成して広告配信をした結果、施策前より購買伸長率が1.6倍に向上しています。

 

「効率的な顧客発掘を行いたい」「新たなターゲットを見つけたい」とお考えの方は、詳細をご覧ください。

 

AIを活用してPontaデータから商品購買を予測し、 スコアリングするサービス「AItem∞」の提供を開始

潜在顧客へアプローチする際の注意点

潜在顧客へのアプローチを成功させるには、焦らず計画的に行うことが大切です。ここでは、アプローチの際に注意すべきポイントを紹介します。

長期的な視点で施策に取り組む

潜在顧客は、企業のアプローチですぐに行動を起こすわけではありません。長期的な視点で施策を計画し、根気強くアプローチすることが重要です。例えば、オウンドメディアで継続的に情報を発信し続け、定期的にSNSでコミュニケーションをとることで信頼関係につながります。

フォローアップを忘れない

潜在顧客が興味を示したら、その後のフォローアップが大切です。例えば、セミナー参加者にはお礼メールを送り、追加情報や特典を提供します。フォローアップによって、「この会社は情報を提供してくれる」「サポートしてくれる」と感じてもらえるでしょう。

潜在顧客へ効果的にアプローチするならロイヤリティ マーケティングへ

潜在顧客を見つけ出し、適切にアプローチすることはビジネスの成長へとつながります。潜在顧客の課題や関心を正確に捉えることで、効果的なプロモーションや新たな販路開拓につながるでしょう。

 

しかし、「どの層にアプローチすればよいのかわからない」「集めたデータの活用方法に困っている」といった悩みを抱える企業も少なくありません。潜在顧客の発掘には膨大なデータ分析や精度の高いターゲティングが必要なため、思うような結果が得られない企業が多いのが現状です。

 

そこで弊社では、大規模会員の属性・行動データやAI技術を活用し、潜在顧客像の可視化や的確なターゲティングの支援を行っています。データに基づいて購買傾向や興味関心を分析することで、精度の高いプロモーション施策をサポート可能です。

 

「データをマーケティングに活かしたい」「新たな顧客層を開拓したい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。経験豊富なアナリストチームが、企業のビジネス拡大をサポートいたします。

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