コラム
2025-01-25
顧客の満足度調査のやり方は?調査結果の活用方法とあわせて紹介

競争の激しい市場でビジネスを加速させるには、顧客の満足度調査が欠かせません。調査指標やメリット、手順を把握し、有意義な調査を行うことで、顧客の心をつかむ具体的な施策が見えてきます。調査結果を活用して効果的なマーケティング施策を実施したい方は、ぜひご覧ください。
目次
顧客の満足度調査とは?
顧客の満足度調査とは、商品やサービスに対する顧客の評価や満足度を数値化し、企業の改善活動に役立てる調査のことです。
ビジネスを成長させるには、顧客の声を正確に把握し、改善に活かすプロセスが欠かせません。顧客の満足度調査を行うことで、企業は顧客が満足している点や不満を抱えている点を特定でき、その情報に基づいて商品やサービスの向上を図ることが可能です。
顧客の満足度を調査する目的
_M.jpg)
顧客の満足度調査は、具体的に何のために実施されるのでしょうか。ここでは、満足度調査を実施する目的を3つ紹介します。
既存の商品やサービスを見直す
顧客の満足度調査を行う目的は、具体的なフィードバックに基づいて商品やサービスを適切に改善することです。商品やサービスのどこに満足し、どの部分に不満があるのかがわかると、ユーザーの意見を取り入れた効果的なマーケティング施策へとつながります。
例えばレストランの満足度調査において、「接客」の満足度が高い一方、「料理の提供時間」に不満があるとわかれば、提供スピードを改善する施策を実施し、顧客満足度をさらに向上させることが可能です。
リピーターを獲得する
満足度調査を実施するもう1つの目的は、リピーターを増やすことです。満足度調査によって、顧客が何に満足し、何が原因でリピートをためらうのかを把握できます。質の高い顧客体験を安定して提供できるようになれば、再び商品やサービスを利用する可能性が高くなるでしょう。
例えば、ユーザーから「アフターフォローが充実している」と評価された場合、強化することでリピーターが増える可能性があります。
新規顧客を獲得する
新規顧客の獲得も満足度調査の目的の1つです。サービスや商品に満足した顧客は、家族や友人に自分の体験をシェアしたり口コミサイトに投稿したりします。評判が広まると新規顧客が次々と集まり、企業の成長を促進するのです。
特に昨今では、SNSの普及により、口コミやレビューの影響力がこれまで以上に強力になりつつあります。SNSで商品やサービスに関するポジティブな投稿が拡散されると、企業のプロモーション活動の一環となり、短期間で多くの新規ユーザーを引き寄せることも可能です。
顧客の満足度調査に有効な指標と評価項目

顧客の満足度調査にはさまざまな指標があり、調査結果を有意義に活用するには目的に応じた使い分けが重要です。ここでは、満足度調査の4つの代表的な指標と評価項目について解説します。
CSI
CSI(Customer Satisfaction Index)とは、顧客へ商品やサービスに関連する複数の質問を投げかけ、平均を出して満足度を評価する指標のことです。下記の評価項目に基づいて顧客に0~100点で評価してもらい、調査結果の点数の平均を算出します。
CSIの評価項目
● 顧客期待値:購入前の商品やサービスへの期待値
● 顧客忠実度:商品やサービスへ愛着度
● 顧客不満度:商品やサービスへの不満度
● 知覚品質:商品やサービスに対する主観的な評価
● 知覚値:商品やサービスの価格に対する満足度
例えば、顧客期待値について聞きたいときは「新商品に対する期待値を0~100点で評価すると何点ですか」などと質問します。
CSIはデータ量が十分であるほど、結果の信頼性が高くなる指標です。したがって、政府や大手企業の調査で広く活用される傾向があります。
JCSI
JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)とは、日本版CSIです。
時代の変化に伴い、消費者の欲求が「所有」から「体験」に変化し、サービスの質や顧客体験が重視されるようになりました。そこで、サービス産業の競争力向上を目的に開発されたのがJCSIです。
JCSIの評価項目
● 顧客期待値
● 顧客忠実度
● 顧客不満度
● 知覚品質
● 知覚値
● 推奨意向:商品やサービスを他の人にどの程度すすめたいか
CSIとの違いは、評価項目に「推奨意向」があることです。例えば、「友人や家族にこの商品をすすめたいと思うか?」といった質問が含まれます。顧客のリアルな声を反映しやすく、業界ごとの比較にも活用できます。
NPS®
NPS®(ネット・プロモーター・スコア)は、商品や企業への愛着度や忠誠心、つまり顧客ロイヤルティを測る指標です。
「この商品を他人にどれくらいすすめたいか」という質問に対し、0〜10点で回答してもらい、調査結果から推奨者・中立者・批判者に分類し、推奨者と批判者の割合からスコアを算出します。施策前後でNPS®を測定し、推奨者の割合を増やして新規顧客獲得に結びつけましょう。
NPS®の評価項目は基本的に「推奨度」ですが、アンケートには「点数の理由」や「商品やサービスのどの部分に満足しているのか」などの項目を入れておくと、ユーザーの具体的な感想や不満点を明確に把握できます。
NPS®について詳しく知りたい方は、下記コラムをご覧ください。
NPS®/推奨度調査とは?メリット・デメリットや調査方法などをわかりやすく解説
注:ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、ネット・プロモーター・スコア、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。
CES
CES(Customer Effort Score)は、商品やサービスを利用する際の顧客の「手間」や「努力」を測る指標です。つまり「ストレスなく利用できたかどうか」を評価します。CESが低いほど顧客の負担が少ない評価になり、満足度の向上が期待できるでしょう。
評価項目は、「商品やサービスの利用に際してストレスがあったかどうか」で、「まったくストレスを感じなかった」や「どちらともいえない」「ストレスを感じた」などの段階的評価で答えてもらいます。具体的にどのような場面でストレスを感じたのかを聞いておくとよいでしょう。
顧客の満足度調査の手順
顧客の満足度調査を成功させ、マーケティング施策に役立てるには、調査の手順を把握しましょう。ここでは、満足度調査の準備から結果の分析まで、基本的な手順について解説します。
①調査目的を明確にする

満足度調査の目的によって、調査指標や対象者が変わってきます。目的が曖昧だと、せっかく集めたデータも活用できません。まずは、何を知りたいのか、どの課題を解決したいのかを明確にしましょう。
例えば、「新商品が顧客に受け入れられているかどうかを知りたい」や「接客に関する不満を把握したい」など満足度調査の目的を具体的に決定し、チームで共有します。
②仮説を立てる

満足度調査の前に仮説を立てておくと、調査の焦点を絞れます。顧客が感じているであろう満足・不満ポイントを予想しましょう。仮説を立てるときの注意点は、抽象的ではなく、具体的な内容にすることです。
例えば、「定番商品のリピート率が下がっている」という課題がある場合、「競合の新商品の利便性が評価されている」などと仮説を立てて調査を行うと、調査の方向性がはっきりします。検証の結果、仮説が外れていた場合は、ズレを改善ポイントとして活用することも可能です。
③調査対象者を決める

誰に調査するのかを明確にすることで、満足度調査の精度が高まります。性別・年齢・購買頻度などを検討し、満足度調査のターゲット層を明確にしましょう。注意点は、満足度調査の目的や仮説を踏まえて対象者を決めることです。
例えば「自社のECサイトで購入したユーザーが、なぜ再度購入しなかったのか」を知りたい場合、自社サイトの利用者だけでなく、他のECサイトの利用者も満足度調査の対象者にする必要があります。
④設問内容を決める

満足度調査の目的に沿って、対象者への設問内容を決めていきましょう。質問項目は満足度調査の指標によって変わりますが、基本的には「満足度を尋ねる質問」に加え、「回答した理由」や「顧客の属性」についても質問します。
⑤調査を実施する

満足度調査を設計し、日程や調査方法が決まったら、調査を実施します。オンラインアンケートやインタビューなど、目的に合った方法で行いましょう。
⑥調査結果を集計・分析する
_M.jpg)
満足度調査終了後は、調査結果を集計し、傾向や課題を分析します。調査結果を有効活用するにはできるだけ多くのデータを集め、回収したサンプルを適切に分析することが大切です。効率的な集計方法を取り入れてデータを迅速に整理し、傾向や課題を明確にしましょう。
顧客満足度調査の実施者
満足度調査を誰が行うかという点に着目すると、大きく分けて2つの方法があります。それぞれの特徴や注意点を理解して、最適な方法を選びましょう。
自社で実施する

自社で満足度調査を行うと、低コストでスピーディーに進められます。チーム内で、調査目的の細かなニュアンスまでシェアできることもメリットです。ただし、専門知識やリソースが不足すると、調査が不十分になる注意点もあります。
リサーチ会社へ依頼する

リサーチ会社に依頼するメリットは、専門的なノウハウを活用できることや、大規模な満足度調査を実施できることです。統計的に信頼性の高いデータを得られるという利点もあります。ただし、自社での実施に比べてリサーチコストが高くなりやすいことがデメリットです。
共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営する弊社は、約240万人のPontaリサーチ会員を対象とした大規模な満足度調査を実施できるサービス「Pontaリサーチ」を提供しています。
Pontaの豊富な購買・行動データに加え、インターネットリサーチや覆面調査など多様な調査手法を駆使することで、貴社のニーズに最適な価値あるインサイトを引き出すことが可能です。詳しくは、下記をご覧ください。
外部機関の調査を利用する

政府や業界団体、マスコミといった外部機関が実施している調査結果を活用することで、自社だけでは得られない客観的なデータが手に入ります。例えば、業界全体の動向の把握や競合他社との比較が必要な場合、外部機関のレポートがあると便利です。
弊社でも、Ponta会員基盤を活かし、消費者の行動や意識に関する豊富なデータを収集して業界のトレンドや消費者のリアルな声を反映した満足度調査のレポートを作成しています。
例えば、「15万人のPonta会員に聴いた観光地満足度調査」では、観光客のリアルな声を反映したデータを収集することで、満足度の高い日本の観光地やおすすめしたい要素が明らかになりました。このようなデータは観光業界のトレンドや顧客ニーズの把握に役立ちます。
こちらの満足度調査のレポートの詳細は、下記をご覧ください。
顧客満足度調査の実施方法
満足度調査にはさまざまな方法があります。目的や対象者に合った方法を選び、顧客の声を的確に把握しましょう。満足度調査の具体的な実施方法は多岐にわたるため、今回は大きく3つの方法に分類して紹介します。
ヒアリング

ヒアリングは、直接顧客の声を聞き取る方法です。顧客と接する営業担当者やカスタマサポートのスタッフによって実施されることが多く、対面や電話でのやり取りの中で顧客の満足度に関する質問を行い、リアルな意見を引き出します。
例えば、リピーターに対して接客やサービスに関する質問をすると、改善すべき具体的なポイントが見えてくるでしょう。ヒアリングは時間や手間がかかりますが、顧客の本音に迫るという点で非常に有効です。
アンケート

アンケートは、手軽に大規模なデータを収集できる代表的な方法です。オンラインや紙媒体などで実施され、選択式や自由記述などを組み合わせて回答してもらいます。アンケートを実施する場合、顧客にとって自然なタイミングや方法で負担なく答えてもらえるように工夫しましょう。
例えば、商品にアンケートカードを同封して回答してもらう方法や、メンバーシップ登録時に回答を促す方法などがあります。短時間で答えられる工夫をすれば、回答率も向上するでしょう。
インタビュー

インタビューは、特定の顧客に詳しく意見を聞く方法です。1対1のデプスインタビューや、複数人で行うグループインタビューなどがあります。ヒアリングやアンケートでは得られない詳細な情報や深掘りが可能で、顧客に対してより深い理解を得ることが可能です。
例えば、顧客を集めて新商品の感想をグループインタビューすることで、商品に対する自由な意見が飛び交い、これまでわからなかった具体的な改善点が浮き彫りになることがあります。
顧客満足度の調査結果を活用する方法
満足度調査で得られた結果を分析し、具体的な施策に活用することでビジネスの成長につながります。ここでは、具体的にどのように活用するかについて効果的な方法を紹介しましょう。
モニタリングして顧客満足度の変化をつかむ

定期的に満足度調査を行い、変化をモニタリングすることで、施策の効果や改善の必要性が見えてきます。サービスや商品の改善が、どのように顧客の満足度に影響を与えているのかを追跡し、施策のブラッシュアップに役立てましょう。
例えば、新サービスを導入した後に定期的にアンケートを実施すると、満足度の推移がわかります。満足度が下がったタイミングで迅速に対応すれば、顧客離れを防ぐことも可能です。
顧客属性ごとの傾向をつかむ

満足度調査の結果を、顧客の性別や年齢、購入頻度などの属性と関連付けて分析すると、属性ごとの傾向がわかり、施策の精度が高まります。
例えば、満足度調査から「北海道の男性は価格に満足している」「東京の女性はサービス内容に不満を感じている」などの結果が得られた場合、ターゲットに応じた施策によって顧客満足度を高めることが可能です。
弊社の「Customer X mono」では、自社と競合を比較しながら、属性ごとの満足度や購買行動を迅速に把握できます。自社の強みや弱みをすぐに把握でき、設問をカタログ化することで仮説がなくてもすぐに調査開始が可能です。
満足度調査を実施する際の注意点
満足度調査を成功させるには、慎重さも必要です。信頼性を欠いたデータを集めないためにも、調査時に気をつけるべき3つの注意点を押さえておきましょう。
個人情報の取り扱いに気をつける

満足度調査で収集する個人情報は、適切に管理し、プライバシーポリシーを明記しましょう。例えば、アンケートの冒頭に「個人情報は調査目的以外には使用しません」と記載すると、顧客も安心して回答できます。信頼を失わないためにも、情報管理には細心の注意が必要です。
質問数を絞る

満足度調査の質問が多すぎると、回答者の負担が増え、途中で離脱する可能性があります。顧客が負担なく回答できるボリュームの目安は、5〜10分程度です。重要な項目を絞り込んでシンプルなアンケートに落とし込み、最後まで回答してもらえるようにしましょう。
表現に注意する

質問の表現が曖昧だと、正確な回答が得られません。具体的でわかりやすい言葉を使いましょう。例えば、「サービスはいかがでしたか」ではなく、「提供のスピードに満足していますか」と具体的に聞くことで、明確な回答が得られます。
ロイヤリティ マーケティングは大規模パネルを活用して企業の満足度調査をサポートします
顧客満足度調査は、既存サービスの改善やリピーター獲得、新規顧客の開拓に欠かせません。さまざまな指標や適切な調査方法を調査の目的に応じて活用することで、顧客のニーズや不満点を正確に把握できます。
しかし、調査設計や分析には時間や専門知識が必要です。何の準備もないまま満足度調査を実施すると、「適切な質問設計ができない」「仮説を立てられない」「データの傾向が読み取れない」といった課題が生じることもあります。
弊社は、Pontaの大規模パネルを活用し、「Pontaリサーチ」や「Customer X mono」などのサービスを通じて効率的で精度の高い顧客満足度調査をサポート可能です。調査の進め方やデータの活用、分析にお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。
お気軽にお問い合わせください
詳しくお知りになりたい方はお問い合わせ