コラム
2024-09-26
定量と定性の違いとは?それぞれのメリットとデメリットを知って使い分けよう
定量と定性はビジネスの場面でよく使われる言葉ですが、違いをご存知でしょうか。両者のメリット・デメリットを理解して適切に使い分けられるようになると、分析や調査、目標設定、評価の際に役立ちます。定量と定性について理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
定量と定性の意味の違い
定量と定性は、ビジネスで物事を捉える際の2つの異なるアプローチを意味します。まずは両者の基本的な意味の違いを理解し、さまざまな場面で使えるようにしましょう。
定量とは
定量とは、数値や数量で表現できる要素を意味します。
定量の例
・売上金額
・顧客数
・アンケートの回答率
・クリック数
定量的データは客観的で測定可能であり、共通認識を持ちやすいという特徴があります。
定性とは
定性とは、数値では表現できない質的な要素を意味します。
定性の例
・顧客の感想
・インタビューの内容
・従業員のモチベーション
定性データは主観的であり、数値だけでは表せない部分を補完できるという特徴があります。
定量と定性のメリット・デメリット
定量と定性には、それぞれメリットとデメリットがあります。両者の違いを理解して適切に使い分けることで、ビジネスにおいて効果的な分析や判断を実現できるようになるでしょう。
定量的に表すメリット・デメリット
定量データを用いることでビジネスの成果や進捗を明確に把握できますが、定量的な表現には限界もあります。まずは、定量的に表すことのメリットとデメリットを紹介します。
メリット
定量的に表現するメリットは、客観的で具体的な情報を提供できることです。勘ではなく数値的根拠のある提案は、説得力があります。数値データは比較も容易であり、過去と現在のデータを比べて成長や改善の状況を把握しやすくなります。
また、ビジネスの成果や社員の業績などを明確で公平な基準で評価できることもメリットです。主観に頼らない定量的な判断により、納得のいく評価内容となるでしょう。
デメリット
定量的に示すデメリットとは、数値に依存しすぎることで、プロセスや感情を無視しかねないことです。例えば、社員のモチベーションやコミュニケーションの質といった数値化できない要素を無視すると、重要な情報を見逃す可能性があります。
定性的に表すメリット・デメリット
定性的に表すことで、数値では捉えられない深い洞察を得られますが、デメリットも多くあります。続いて、定性的な表現のメリットとデメリットを比較し、理解を深めましょう。
メリット
定性的に表すメリットとは、情報をより詳しく深堀りできることです。例えば、顧客の満足度をインタビューで詳しく聞くと、製品の改良点や新たなニーズの発見につながることがあります。
また、数字だけでは捉えきれない質的な要素を汲み取り、総合的に見て公正な評価になりやすいのもメリットです。例えば、コミュニケーション能力や仕事へのモチベーションを評価する際は、定性的な判断が向いています。
デメリット
定性的表現は主観的であるため、客観的な評価が難しいというデメリットがあります。また、インタビューの結果分析のように、データの収集と分析に時間がかかることも課題です。さらに、データが偏ることで、リサーチ結果が信頼性に欠けたものになる可能性があります。
定量と定性の使い分け方
定量の強みと定性の強みには違いがあり、状況に応じて適切に使い分けることが重要です。ここでは、定量データが適している場面と定性データが適している場面について、それぞれ詳しく解説します。
定量が適している場面
定量的アプローチは、明確な数値目標の設定や進捗管理に有効です。例えば、売上目標の設定や生産性の測定、品質管理といった具体的な数値が求められる場面で役立ちます。また、財務分析など客観的データに基づいた意思決定が求められる場面にも最適です。
定性が適している場面
定性的アプローチは、顧客の深層心理や社員のモチベーションといった数値化が難しい要素を理解し、問題解決の新しい糸口を獲得したいときに役立ちます。具体的には、新製品開発の初期段階でのアイデア出しなど創造性や洞察が求められる場面です。
定量と定性の分析・調査の種類
定量と定性のアプローチの違いは、分析・調査の種類にも影響を与えます。定量と定性の分析・調査の特徴を理解し、場面に応じて使い分けたり、組み合わせたりして有効活用しましょう。
定量分析・調査の種類
定量分析・調査は、大規模なサンプルを用いて数値データを収集し、統計的手法で分析する方法です。例えば、アンケート調査や販売データの分析などが該当します。
定量調査のメリットは、結果の一般化が可能で、対象の傾向や関係を明確に示せることです。ただし、回答の背景にある理由や感情を深く探るには限界があります。ここからは、定量分析・調査の主な種類を紹介します。
パネル調査
パネル調査とは、特定の対象者グループに対して、長期に渡って繰り返しデータ収集を行う定量的手法です。同一グループを定期的に調査することで、時間の経過に伴う行動や意識の変化を捉えられます。
パネル調査のメリットは、長期的な市場の動向を客観的に把握できることや、対象者が固定されることで効率よくリサーチできることです。一方で、調査が長期に渡ると脱落者が出たり対象者が調査に慣れたりして、データの正確性が損なわれるリスクもあります。
共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営する弊社は、Pontaならではの購買・行動データを活かして企業のリサーチを支援しています。約230万人の単独パネルを保有し、精度の高いアンケートを実現可能です。
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また、弊社のスペシャルパネルは、自動車や不動産、サステナブルなど多様な分野の自主調査結果をデータベース化し、リサーチやプロモーション配信、分析の軸としてご利用いただけます。より効率的でスピーディーなリサーチを実現したい方は、ぜひ下記をご確認ください。
インターネット調査
インターネット調査は、オンラインでアンケートを実施する定量的方法です。例えば、新商品の認知度調査や顧客満足度調査などに活用できます。コスト面で効率がよく、幅広いサンプルにアクセスできる利点がある一方で、ネット環境のない層へのアプローチには限界があります。
弊社のインターネットリサーチは、専任スタッフが調査設計から分析までサポートし、購買・行動データを組み合わせた多角的分析が可能です。画面作成〜納品まで最短10営業日での納品を実現し、スピーディーなリサーチを後押しします。
覆面調査
覆面調査は、調査員が一般客を装って店舗やサービスを利用し、その品質を評価する定量的方法です。接客サービスの質や店舗の清潔さなどを客観的に評価できます。例えば、飲食店のサービス品質や小売店の接客評価などを知りたいときに便利です。
実際の顧客体験に近いデータが得られることがメリットですが、調査員の主観が入る恐れもあり、調査結果が調査員のスキルや経験に左右されてしまうデメリットもあります。
弊社は通常の覆面調査の他に、覆面調査のDX化を実現した「Customer X 」を提供しています。調査員ではなく、自然に来店した顧客がWeb上で店舗を評価するため、調査員を確保するための費用を抑えつつ、スピーディーな調査を実現可能です。
会場調査
会場調査は、特定の場所に回答者を集めて調査を実施する定量的方法です。新商品のテストマーケティングや広告に対するアンケート調査などに活用されています。
対面でコミュニケーションを図れるため複雑な質問も可能であり、対象者から即時のフィードバックを得られることがメリットです。ただし、特定の場所にいる人のみが対象となることでサンプルが偏りやすいデメリットもあります。
弊社は企業の会場調査の支援も行っており、初めての調査でも安心して実施していただけるように、調査設計から分析まできめ細かな対応が可能です。
定性分析・調査の種類
つづいて、定性分析・調査の種類について解説します。定性分析・調査は、少数の対象を深く掘り下げて調査し、質的なデータを収集・分析する方法です。インタビューやグループでのディスカッションなどがこれに当たります。
定性調査のメリットは、対象者の本音や行動の背景への詳細な理解に役立つことです。一方で、結果の一般化が難しく、分析に時間がかかるというデメリットもあります。
グループインタビュー
グループインタビューは、複数の参加者を集めて意見交換をしてもらう定性的調査方法です。例えば、新製品のコンセプト評価や広告案の反応調査などに用いられます。
参加者同士の相互作用により、短時間で新しい意見や多様なアイデアの獲得を期待できることがメリットです。ただし、特定の参加者が他の意見に影響を与え、結果が偏る可能性もあり、調査を成功に導くには進行役に高度な調整能力が求められます。
弊社では、企業のグループインタビューのサポートを行っており、購買データと掛け合わせることでより精度の高い分析も可能です。
デプスインタビュー
デプスインタビューは、1対1で詳細な質問を行い、個別の感情や意見を深く掘り下げる定性的調査手法です。例えば、商品の使用実態調査や顧客の不満要因の探索などに活用されています。
この方法は、回答者の内面や行動の背景を詳しく掘り下げるのに最適です。一方で、個別にインタビューを行うという性質上、調査や分析に手間がかかるデメリットもあります。
弊社のデプスインタビューでは、調査を実施した対象商品に関して購買データと掛け合わせることが可能です。
定量調査と定性調査の組み合わせ
定量調査と定性調査を組み合わせることで、より包括的な理解が得られます。数値的な裏付けと深い洞察の両方から、信頼性の高い分析結果を導き出せるでしょう。例えば、定量的なアンケート調査で全体的な傾向を把握した後、インタビューで深掘りするなどの方法があります。
弊社が実施した「推し活消費に関する調査」も、定量調査と定性調査の組み合わせによるものです。本調査では、10〜60代の推し活経験者879名を対象に、推し活が生活費に与える影響や推し活支出への後悔、推しが関わる広告への反応などを調査しました。
ファン心理や消費行動の詳細な分析を行うために、選択式の定量的なアンケートに加えて、自由回答の定性的なテキストマイニングも実施しています。詳しくは、下記のレポートをご覧ください。
目標における定量と定性の違い
ビジネス上での目標設定において、定量と定性のアプローチはそれぞれ異なる役割を果たします。違いを理解した上で使い分け、両者を組み合わせて適切な目標を設定できるようにしましょう。
定量目標
定量目標は、具体的な数値を用いて設定される目標です。例えば、「月間契約件数5件を達成する」や「顧客満足度を5段階評価で4.5以上にする」などの目標が該当します。
達成度を明確に測定できるため、社員にとって目指すべき内容がわかりやすく、モチベーションの向上につながるでしょう。ただし、定量目標を過度に重視すると、クオリティやプロセスが軽視される可能性があります。
定性目標
定性目標は、数値化が難しい質的な目標を指します。例えば、「メリハリをつけて作業をする」や「チームでのコミュニケーションを活性化する」などの目標です。
定性目標は理想の状態やビジョンを設定するのに適しており、評価時に自らの行動を振り返ることでモチベーションの向上に役立つでしょう。一方で客観的な評価は難しく、定性目標を重視しすぎると評価の透明性が確保できなくなる可能性もあります。
定量目標と定性目標の組み合わせ
効果的な目標設定には、定量目標と定性目標の組み合わせが欠かせません。両者を融合することで、バランスの取れた目標管理が実現できるでしょう。
例えば、「顧客満足度を5段階評価で4.5以上にする(定量)」という目標と「顧客との信頼関係を深める(定性)」という目標を組み合わせて設定することで、数値だけでなく質的な向上も目指せます。
評価における定量と定性の違い
評価プロセスにおいても定量と定性のアプローチには違いがあり、使い分けたり組み合わせたりする必要があります。
定量評価とは
定量評価は、数値化可能な指標を用いる評価方法です。例えば、売上達成率や生産性、出勤率などが定量評価の対象となります。
客観性が高く、評価基準が明確なため、社員の業績を数値で示す際には公平性を保ちやすいことがメリットです。一方で、数値で表せない要素を見落とす可能性もあり、定量的な評価のみに頼るのはおすすめしません。
定性評価とは
定性評価は、数値化が難しい質的な側面を評価する方法です。リーダーシップやチームワーク、創造性などが定性評価の対象となります。
定性評価のメリットは、個人の能力や貢献を多面的に捉えられることです。しかし、評価者の主観に左右されやすく、評価基準の統一が難しいというデメリットもあります。
定量評価と定性評価の組み合わせ
定量的なアプローチと定性的なアプローチを融合した評価基準にすると、数値で測れる成果と数値で測れない価値の両方を適切に評価できるでしょう。実際に、多くの企業は定量評価と定性評価を組み合わせた総合的な評価システムを採用しています。
例えば、売上目標の達成度(定量)と顧客対応の質(定性)を併せて評価することで、社員の総合的な貢献度の判断が可能です。
ロイヤリティ マーケティングは多様な定量・定性データを活用してビジネスをサポートします
定量的データと定性的データには、それぞれ異なる特徴があります。使い分けたり組み合わせたりすることで、顧客のニーズをより深く理解し、効果的なマーケティング戦略を立案できるでしょう。
しかし、データ活用は容易ではなく、リサーチを進めるにあたって何から始めたらよいのか悩む方も少なくありません。そのような場合は、分析や調査の専門家に任せるという方法もあります。
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