コラム
2023-08-25
「マーケティング分析」とは?押さえたい3つの手法やフレームワークを徹底解説
企業が所有するデータを活用し、市場での優位性を確立するためには、リサーチとマーケティング分析が欠かせません。本記事ではマーケティング分析の意味や、3種類の調査手法、分析に役立つフレームワークを詳しく解説していきます。
目次
市場分析との比較で理解する「マーケティング分析」
マーケティングとは、商品やサービスが売れる仕組みを作る活動のことですが、マーケティング分析は具体的にどのような意味なのでしょうか。そのヒントになるのが、似た言葉である「市場分析」との比較です。
市場分析とは
市場分析とは、市場の現状や業界の動向、事業環境を明らかにする分析です。マーケティング活動を進めるには客観的な根拠が必要となりますが、その根拠は現状を正確に把握できる市場分析によって得られます。つまり、市場分析はマーケティング活動にとって重要性の高い施策です。
マーケティング分析とは
マーケティング分析とは、市場分析で得たデータをもとにビジネスの課題や消費者ニーズなどを分析することです。 近年はコンピュータの高度化やインターネットの普及でデジタルマーケティングが主流になりつつあるため、扱うデータの種類や量が飛躍的に増大しています。
市場分析とマーケティング分析の違い
市場分析はマーケティング分析の一部として存在しているため、市場分析とマーケティング分析の調査方法には共通部分がありますが、目的の規模や調査結果の活用方法は異なります。では、市場分析とマーケティング分析には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
目的の規模の違い
マーケティング分析は市場分析・製品分析・広告分析を含む大きなカテゴリーのため、事業全体やマーケティング全体を見据えた目的になります。一方、市場分析はマーケティング活動の一環ですので、マーケティング分析よりも目的が限定的です。
リサーチ結果の活用方法の違い
市場分析で得られた客観的データは過去から現在の市場動向の把握に活用されますが、マーケティング分析で得られたデータは事業全体を見据えた将来の市場動向の予測に使われます。つまり、市場分析の軸は「現在・過去」ですが、マーケティング分析は「未来」へ向けての探索です。
市場分析とマーケティング分析の活用例
●【市場分析】過去にヒットした商品の売上を調査する
●【マーケティング分析】市場分析をもとにこれから売れる商品を予測する
マーケティング分析におけるリサーチ手法の種類①市場調査
市場調査では、現在の市場の状況や消費者のニーズなどをリサーチしていきます。市場調査は定量調査と定性調査に分けられますので、それぞれの一覧で具体的な内容を把握していきましょう。なお、市場調査と市場分析は厳密に言えば違いがありますが、広義では同義に使われています。
定量調査
定量調査とは、決まった選択肢から選べるようにするなど、明確な数値や客観的指標でデータが得られるように設計するリサーチ調査手法のことです。誰が見ても理解しやすいのがメリットで、結果は統計学的に分析されます。定量調査の代表的な種類は以下の一覧の通りです。
インターネット調査
インターネット調査は、Web上でアンケートを発信し、対象者に回答をしてもらうリサーチ手法です。従来主流だった電話調査や郵送調査と比べ、短時間かつ低コストで大量のデータを収集できるメリットがあります。効率のよさから、定量調査の一覧の中でも特に利用者が増えている手法です。
覆面調査
覆面調査は、調査員が自社の店舗などに顧客として訪問し、サービス内容を顧客目線で調査するリサーチ手法です。顧客としてサービスを体験することで、マーケティングにおける具体的な改善案を立てやすくなり、品質向上や顧客満足度の向上につながるのがメリットです。
郵送調査
郵送調査は、調査票を対象者に郵送し、返送してもらう調査です。代表的な利用者は官公庁で、インターネットを利用しない高齢層のデータを得られるメリットがあります。幅広い層のデータを収集できるという意味で、デジタルマーケティングが主流の現代でも存在価値のある手法です。
電話調査
電話調査は、調査員がランダムで電話をかけ、その場で質問に答えてもらうリサーチ手法です。即座に回答を得られるのがメリットですが、インターネット調査の存在が大きくなった現代では、高齢者が対象の調査など以前よりも限定的なマーケティングで使われています。
定性調査
定性調査とは、対象者に対面で質問し、生の言葉や観察から得られる印象などの数値化できないデータを収集するリサーチ手法です。データ化しにくい内容を汲み取ることで、認識していないマーケティングの課題に気付く可能性があります。定性調査の代表的な種類は以下の一覧の通りです。
グループインタビュー
グループインタビューは、座談会で自由に話し合ってもらい、消費者の意見や本音、アイデアを収集する手法です。多様な意見が一度に得られ、参加者同士の意見交換によってマーケティング施策に役立つ潜在的なアイデアが見つかる可能性があります。
デプスインタビュー
デプスインタビューとは、対象者とインタビュアーが1対1で向き合う面談式の調査手法です。対象者と距離が近くなり、集団の中では話しにくい内容も聞ける可能性があります。ただし、面談式ゆえに効率が悪く、多くのサンプルが必要なマーケティング施策には不向きです。
観察調査
観察調査とは、対象者の行動や反応をできるだけ客観的に観察し、事実を把握する調査手法です。例えば、来店客数のカウントや利用者の行動観察などの方法があります。現状への理解が深まり、マーケティングにおいて重要性の高い発見につながる可能性もある手法です。
マーケティング分析におけるリサーチ手法の種類②製品調査
製品調査とは、商品に対する顧客の評価を調べる調査のことです。例えば、サンプルを試したモニターにアンケートを実施したり、パッケージの印象を聞いたりすると、改善点が明確になってマーケティング活動に役立ちます。
製品調査のメリット
まず、モニターの評価から商品の不具合を事前に発見できることがメリットです。発売直後の商品のリコールを防ぐ意味でも重要性の高い調査と言えるでしょう。また、商品の改善点を把握することで、後継の商品開発を開発する際のマーケティングにも役立ちます。
製品調査の具体的な方法
製品調査の代表的な方法を以下の一覧で解説していきます。
ホームユーステスト(HUT)
ホームユーステストとは、一定期間、モニターの自宅で商品をテストしてもらい、アンケートで評価を得る手法です。実際の暮らしの中で試用するため、マーケティングでアプローチするターゲットが求めるものを、具体的にイメージできるようになります。
会場調査
会場調査とは、対象者を指定会場へ集めて商品をテストしてもらい、アンケートで評価する手法のことです。対象者が目の前で商品を使うと、リアルな表情を観察できます。また、試作段階の商品や重要性の高い資料をその場で回収できるため、機密性が保たれるのもメリットです。
マーケティング分析におけるリサーチ手法の種類③広告調査
広告調査とは、マーケティングで利用した広告がターゲットに認知をされているかどうかなどを把握する調査です。広告を出す前と後を比較したり、動画広告や画像広告など異なる媒体の広告を比べたりします。
広告調査のメリット
ターゲットが広告に接触した経路や購入経路がわかり、さらに深堀りすると広告の成功理由や失敗理由まで把握できます。効果的な広告を出稿する指標になるという意味で、マーケティングにおいて重要性の高い調査です。
広告調査の具体的な方法
代表的な方法はアンケート調査で、例えば動画の視聴中に回答するWebアンケートなどがあります。アンケートに答えるユーザーは属性や趣味などがデータベース化された中から抽出されるため、自社のターゲットに近いユーザーに答えてもらえる可能性があります。
マーケティング分析に役立つフレームワーク
フレームワークとは、考え方をパターン化した枠組みのことです。市場分析で収集したデータを枠組みに当てはめることで、マーケティング施策の課題を素早く合理的に理解できるようにします。ここでは、マーケティング分析に役立つ代表的なフレームワークを一覧で解説していきます。
現状分析が目的のフレームワーク
3C分析
3CはCustomer(顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)の頭文字をとったもので、これら3つの環境要因を分析して事業を評価するのが3C分析です。市場規模や顧客ニーズ、自社と他社の強みなどを分析し、自社の立ち位置を把握します。
3Cの具体的な内容
●【Customer(顧客)】購買人口、購入決定者、市場規模など
●【Competitor(競合)】競合他社の強み・弱み、競合の業界ポジションなど
●【Company(自社)】自社の強み・弱み、自社のビジネスの特徴など
SWOT分析
SWOTはStrength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)のことで、4つの観点を内部環境と外部環境に分けて対比しながら分析します。現在の事業の課題が明らかになり、事業の戦略立案に役立つのがメリットです。
競合分析が目的のフレームワーク
PEST分析
PESTは政治・経済・社会・技術といった自社で制御できない4つの外部要因のことで、これらの要因を把握するのがPEST分析です。客観的分析によって脅威を予測すれば、潜在的ニーズの発見や市場優位性の確立につながります。
PESTの具体的な内容
●【Politics(政治的要因)】政治の動向やビジネスを規制する法律など
●【Economy(経済的要因)】金利や経済水準など
●【Society(社会的要因)】人口動態やトレンドなど
●【Technology(技術的要因)】ビジネスに関わる技術革新など
ファイブフォース
ファイブフォース分析は、自社の脅威となる以下の5つの力(フォース)を分析するフレームワークです。5つの脅威をそれぞれを分析することで、競合の影響力や業界の構造を明らかにし、自社の競争優位性も模索できます。
5つのフォースの内容
●競合他社
●買い手の交渉力
●売り手の交渉力
●代替品の脅威
●新規参入の脅威
顧客分析が目的のフレームワーク
4P分析
4P分析は、以下の4つの観点を上から順番に分析してマーケティング戦略に役立てる方法です。調査で得た客観的な数値や顧客からの意見をもとに、最適な価格や顧客に商品が届くまでの流通経路などを分析し、顧客ニーズに合った製品を提供できるようにします。
4つの観点で分析する内容の具体例
●Product(製品):製品の品質や特徴を分析する
●Price(価格):相場を分析する
●Place(流通):顧客が商品を購入できる場所や商品が顧客に届くまでの流通経路を分析する
●Promotion(プロモーション):販売促進のために、ターゲットにアプローチできるキャッチコピーや宣伝媒体を分析する
AIDMA(アイドマ)
AIDMAとは、顧客の購買行動プロセスを以下の5段階に分類し、顧客がどの段階にいるのかを当てはめて把握することで、プロセスに応じたマーケティング施策に役立てるフレームワークです。例えば商品を認知する段階と欲しいと思う段階では、アプローチ方法が変わります。
AIDMAの具体的な内容
●Attention(注目):商品のことを知る段階
●Interest(興味):認知した商品に興味や関心を持つ段階
●Desire(欲求):商品を使ってみたいと考える段階
●Memory(記憶):繰り返し商品を見せて欲しいと思った気持ちを思い出させる段階
●Action(行動):商品を購入する最終段階
商品開発が目的のフレームワーク
STP分析
STP分析とは、以下の3つ観点からマーケティングの基本的な方向性を明らかにしていくフレームワークです。マーケティングの中でも特に重要性の高い市場や顧客、競合他社について分析し、理解を深めることで商品開発に役立てます。
STPの具体的な内容
●Segmentation:市場の細分化
●Targeting:ターゲット市場の決定
●Positioning:競合他社との関係性
5W1H
5W1Hはコミュニケーションのフレームワークとして知られていますが、実はマーケティング戦略においても有用です。例えば、商品開発の際に5W1Hに当てはめてマーケティングを進めていくと、商品のコンセプトが明確になっていきます。
マーケティング視点での5W1H
●When:顧客が商品を使う時間帯や季節を考える
●Where:商品を使う場所をイメージする
●Who:ペルソナを設定する
●What:製品の特徴を考える
●Why:商品が顧客にとってなぜ必要なのかを判断する
●How:商品の使い方をイメージして使い勝手をよくする
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今回ご紹介してきたようなマーケティング分析は、個人で実施できるようなものもあれば、大掛かりに実施をする必要があるものもあります。またデータのサンプル数は多ければ多いほど、分析の信頼性や正確性につながります。
そのため、社内や部内のリソースだけでは足りない場合や正確な分析ができない可能性も考えられます。そんな時には分析に専門のサービスを活用することも可能です。
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