コラム
2026-04-20
生成AIでは見抜けない仮説のズレ、どう可視化する?購買データが映す本当の顧客像
~Business Insider取材記事~
ロイヤリティマーケティングは、1億人超の会員基盤で蓄積する、属性・購買・意識など多様かつ膨大なPontaデータを用いて、企業のマーケティングを支援しています。効果的なプロモーション施策において重要となる「顧客像の明確化」について、LMのアナリストが紹介します。
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※この記事は2026年3月12日時点のものです。
目次
「データ分析は、もうAIで十分ではないか?」
昨今の生成AIの進化によって、そんな感覚を抱いたビジネスパーソンは少なくないはずだ。かつては専門家の領域だったデータ分析が、今ではぐっと身近になった。しかし、AIを使って事業成果を生むための仮の答えを得たとしても、実際に使える根拠になるにはまだ課題がある。
今回は、共通ポイントサービス「Ponta」を運営するロイヤリティマーケティング(以下、LM)で、アナリストを務める柴田祐大と望月愛子に話を聞き、生成AI時代においてもなお、“分析のプロ”が企業に求められる理由を探った。
AI時代であっても分析が上手くいかない理由
かつては、データ分析を担う人材が不足していることが大きなボトルネックとなり、「データは保有しているが、どう分析しどう活用すればよいかわからない」という声が多かった。しかし、生成AIの登場によってその状況は変わりつつある。専門的なスキルがなくとも、一定の分析アウトプットが誰でも得られる環境が整ったのだ。
では、実際に生成AIを使った分析は、企業の意思決定に十分に貢献しているのだろうか?LMでデータイノベーション本部データビジネス推進部のチームリーダーを務める柴田祐大は、多くの企業の分析を行なってきたアナリストとしての視点から、こう語る。
データの整理ができていなかったり、その性質を十分に把握していなかったりすると、生成AIに入力しても意図しない結果が出てしまいます。そうすると、生成AIの回答をいまいち理解できず、「求めている答えが出ない」と感じてしまうケースが多いのではないでしょうか(柴田)

▲ビジネスソリューショングループデータイノベーション本部データビジネス推進部でチームリーダーを務める柴田祐大(撮影:合田和弘氏)
確かに、生成AIが分析結果を出してくれたところで、分析のための素材が不十分であれば、偏った結果や思慮の浅い結果が出てしまう。つまり、データ活用には「データの質の低さ」と「データへの理解不足」が、依然として課題としてあるのだ。
柴田は、「重要なのは、そのデータで何を実現したいのかを設計する視点だ」と続ける。
多くの企業では日常業務のなかでデータが自然に蓄積されているが、それはあくまで業務の副産物であり、分析を前提に収集されているわけではない。”分析する目的を描き、活用する”という視点がなければ、いざデータを利用しようとした際に「どう使えばよいかわからない」という状態に陥るのだ。
購買データというファクトを持つデータパートナー
そうした課題意識のもとで注目されるのが、豊富なデータを保有するデータパートナーとアナリストの存在だ。
LMは、共通ポイントサービス「Ponta」を運営する企業であり、会員の属性データや購買データを活用して企業のマーケティングを支援するアナリスト集団でもある。
性別や年代といった基本的な属性情報に加え、POSデータや購買履歴を通じて「どの店舗で、何を購入したのか」といった具体的な行動まで把握。大きな強みは、こうしたオフラインの購買履歴を継続的に追える点だ。
オンラインデータを保有する企業は多くありますが、実店舗での購買行動まで横断的に捉えられるケースは限られています。さらに、LMはアンケートを通じて趣味や価値観といった定性情報も取得しており、多面的なデータを掛け合わせられる体制を整えています(柴田)
このオンラインとオフラインを横断できる強みは、広告と購買を結びつけられる点にも現れる。
通勤中にスマートフォンでオンライン上の広告を目にし、帰宅途中に実店舗で商品を購入する――。そうした一連の行動を横断的に観測できることは、インターネット社会が高度化した現在において、より大きな意味を持つと感じています(柴田)
明確なマーケティングプランを設計するためには
では、LMのアナリストたちは、クライアントから持ち込まれた課題をどのように分析しているのか?
データイノベーション本部データビジネス推進部のアナリストである望月愛子によれば、分析の第一歩は、顧客像の特定にあるという。
最初に確認するのは、性別や年代といった基本属性である。たとえば飲料であれば、購入者は男性か女性か、中心となる年代はどこかを把握する。そのうえで、実際の購買者像がクライアントの想定ターゲットと一致しているかどうかを検証する。
さらに、アンケートデータを組み合わせることで、意識や価値観の側面まで掘り下げていく。「30〜40代女性が購入している」とわかった場合、その層は健康意識が高いのか、あるいは生活環境に変化があった層なのか、といった視点を加味。定量データと定性データを掛け合わせることで、「実際にこの商品を買っているのはこういう人だ」という具体的な顧客像を描き出し、課題解決の糸口を探るのだ。
重要な視点として、どのタイミングで購入しているのかという「行動シーン」を考えなければいけません。仕事帰りの夜なのか、朝の通勤前なのか。生活のワンシーンが見えてくると、顧客理解は一段と具体性を帯びます(望月)

▲ビジネスソリューショングループデータイノベーション本部データビジネス推進部でアナリストを務める望月愛子(撮影:合田和弘氏)
もちろん、分析の切り口は顧客属性や行動シーンだけにとどまらない。望月は「買い方」に注目するアプローチも挙げる。競合商品と併用している層なのか、特定の商品だけを継続的に購入するファン層なのか、あるいはブランドにこだわらずジャンルで選んでいる層なのか。購買スタイルの違いを把握することで、「熱量の高いファンはどのセグメントか」「ブランド非依存層はどのような行動をしているか」といった示唆が導き出せるという。
クライアントは、LMに依頼する前から自社なりの顧客像を持っていることが多い。データによってその顧客像がどれだけ実態に近いのかを検証し、さらに新たな視点を付け加えることができれば、真に解像度の高い顧客像を得られる。これによって、不明瞭なままのマーケティングプランを設計することを防げるのだ。
データで可視化された「意思決定への後押し」と「もうひとつの顧客像」
解像度を高めるということは、裏を返せば“ズレ”を可視化することでもある。クライアントが想定していた顧客像と、購買データに基づく分析結果はどの程度合致するのだろうか。
柴田は、「実は、180度変わるようなケースは少ない」と語る。クライアント側も、既にアンケートなどの一定の調査に基づいて顧客像を構築しているからだ。その仮説を裏付け、ズレを可視化するために、Pontaデータが持つ実際の購買データを分析するのだ。
柴田は、印象に残った事例として、2019年に日本で開催されたラグビーワールドカップの際に「ラグビー好き×ビール」について分析したことを振り返る。競技への注目が高まるなかで「ラグビー好きはビールを好む」という感覚的な仮説を明らかにすることを試みたという。
そこで活用されたのが、LMの購買データ分析だった。アナリストの分析によって、ラグビー好きのセグメントは50〜70代男性が中心で、年収800万円以上の割合が高く、品質やブランド価値を重視する傾向が強いこと、ラグビー好きは一般会員と比べてお酒全体の購買率が2.6倍、プレミアムビールでは4.5倍に達していたことなどがわかった。
この結果を社外に発信したところ、メーカー企業から多数の問い合わせがあったという。感覚的な仮説を実際の購買データによって裏付けることが、企業のマーケティングにおいて求められている支援の一つだと分かる反響だ。

▲親しみやすいキャラクターとして人気のPonta(撮影:合田和弘氏)
一方で、分析結果として実は多いのが、既存の仮説を検証したうえで新たな顧客者の利用シーンを付け加えるケースだと望月は語る。一例として、エナジードリンクの購買者分析の事例がある。同分析では「眠気覚ましに買う若年層」という仮説に対し、実際には男性20~30代を中心に「コアなゲームファン」が多いことがわかった。さらに購買時間帯別では、利用者の違いが見えたという。
早朝は運輸業などの早朝勤務者、朝は会社員、日中は小売業や医療従事者などのシフト勤務層、夜は10代学生が多い傾向でした。そこから、出勤前の眠気覚ましに買う会社員、夜に学業や趣味に集中するために買う学生など、利用シーンが推察できます(望月)
この事例では「エナジードリンク」というカテゴリ単位だが、実際には商品単位での分析も可能だ。LMのデータ分析によって、”もうひとつの有力な顧客像”の示唆を得られる。
データに基づく仮説検証で顧客像が明確になれば、そのセグメントに向けた適切なアプローチが可能になる。LMには、分析後のプロモーション実行をサポートする体制がある。特定した顧客像に合わせて、オウンドメディア・コネクティッドメディアでのアプローチ、さらに効果検証まで一気通貫して伴走している。
▲オンラインからオフラインまで幅広いメディアを用いて、最適な手段でプロモーションができる。
データ活用の次のフェーズへ
こうした事例は、現在のマーケティング支援モデルの一端に過ぎないと、柴田は語る。今後、Pontaデータを活用した支援はどのように進化していくのか? LMのアナリストたちの視線は、現在の支援を超えた領域に向けられている。
現在の支援内容は広告施策に向けたデータ活用の分析が中心ですが、今後は商品開発など、より上流工程への波及をめざしています。購買データから顧客像を描くだけでなく、「どのような商品が求められているのか」「どのような機能やベネフィットが支持されているのか」といった示唆を導き出すところまで踏み込むことが、新たな方向性です(柴田)
また、もうひとつの新たな展開として、分析の“型”の提供も検討しているという。同社が蓄積してきた分析フォーマットや視点をパッケージ化し、クライアント自身が一次分析を行えるようにするモデルの設計である。クライアント側で顧客像の基本的な可視化や仮説整理を行い、より高度なセグメント設計や戦略立案については、LMが伴走する形が想定される。
現状では、顧客像の分析から示唆出しまでをアナリストが担っているため、どうしても時間を要する部分があります。まずは標準化された分析フォーマットを活用していただくことで、意思決定や広告配信までのリードタイムを短縮させ、クライアントのマーケティングにおける機動力の向上を支援できると考えます(望月)
あらゆるビジネスの意思決定は、仮説から始まる。重要なのは、どのように顧客像を分析し、どういったプランを構築するかだ。
経験や勘に頼るのではなく、「こうしたファクトに基づいてこう進める」という裏付けを持った意思決定を支援することがLMの役割だと、柴田はまとめる。
また望月は、課題が明確でない段階からでも伴走できることを強調する。売上が伸び悩んでいるが原因が見えない、顧客像そのものが描けない——。そうした局面でも、Pontaの購買データという事実は出発点となれる。

AIによって表面的な分析は簡単にできるようになったが、AIは意思決定の責任までは肩代わりしない。購買データに基づき、仮説を事実に変えていく。分析が身近になった時代だからこそ、今その価値がむしろ浮き彫りになっている。
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※この記事は2026年3月12日時点のものです。
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ロイヤリティマーケティングは、Pontaにひもづく膨大な購買・行動データを活用したプロモーションサービス「Ponta Ads」を提供しています。ターゲット設計から広告配信、効果検証、さらには次の施策改善まで、マーケティングプロセス全体を一貫して支援。PDCAサイクルを継続的に回すことで、施策の精度を向上させることが可能です。
例えば、広告接触後の購買行動を可視化し、想定していた顧客像と実態にズレはなかったかをファクトベースで検証。その結果を次の施策に反映することで、施策の再現性と意思決定の妥当性を高められます。
「顧客理解をデータに基づいて見直したい」「施策の効果を購買行動まで含めて検証したい」
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