コラム
2024-10-24
市場調査のやり方とは?調査の種類や方法、実施メリットを解説
市場調査は、現代社会でビジネスの成功に欠かせないものです。本記事では、市場調査のやり方や種類、実施するメリットを詳しく解説し、基本的な手順や事例も紹介します。市場調査を通して市場動向を把握し、ビジネスの競争力を高めるための基盤を整えましょう。
目次
市場調査とは
市場調査(マーケットリサーチ)とは、市場の動向や業界全体のトレンド、競合他社の状況などを把握するために情報収集を行うプロセスのことです。市場調査の実施により、企業はより精度の高いマーケティング戦略を立てて、リスクを最小限に抑えながら意思決定を行えます。
市場調査の目的や、市場調査と混同しやすい「マーケティングリサーチ」との違いなど、基本的な内容についてさらに詳しく知りたい方は、下記のコラムも合わせてご覧ください。
市場調査を実施するメリット
企業が市場調査を実施することによって、さまざまなメリットが得られます。ここでは、市場調査の主なメリットとして下記の3つを紹介します。
市場への理解が深まる
市場調査を行うことで、市場の規模や顧客のニーズ、業界のトレンドなど、市場の状態への理解が進むというメリットがあります。例えば、アンケートやインタビューなどを活用して直接顧客の声を収集することで、製品やサービスの見直しにつながるでしょう。
競合他社との差別化につながる
競合調査を含む市場調査のやり方を学ぶことで、競合他社が提供していない新しい価値を顧客に提供できることもメリットです。競合他社との違いを明確にすることで、企業は市場での独自のポジションを確立でき、持続的な成長につながるでしょう。
事業のリスクマネジメントを強化できる
市場調査のやり方を適切に選択し、データに基づいた意思決定を行うことで、事業リスクを軽減できるメリットもあります。潜在的なリスクを早期に特定し、適切な対策を講じることで、事業の安定性と持続可能性を高められるでしょう。
市場調査の種類と方法
市場調査のやり方には、定量調査と定性調査があり、それぞれ異なる特徴のデータを得られます。マーケティング戦略の立案や意思決定に役立つデータを手に入れるために、市場調査のやり方の種類や具体的な方法について理解を深めましょう。
定量調査
定量調査とは、数値データに基づいて市場を分析する市場調査のやり方です。顧客の意見や行動を数値化し、統計的に分析することで、市場の全体像や傾向を把握します。
定量調査の特徴
・大規模なサンプル数を扱える
・結果を数値化し、統計的に分析できる
・客観的なデータを得られる
インターネット調査
定量調査の代表的なやり方は、インターネット調査です。オンライン上でアンケートを実施し、大量のデータをスピーディーに収集できます。
・インターネット調査の特徴
・短期間で大量のデータを収集できる
・低コストで実施できる
・地理的制約がない
定性調査
定性調査とは、顧客の感情や意見、行動の背景にある心理を深く理解する市場調査のやり方です。感情や意見といった数値化が難しい情報を収集し、質的に分析することで、消費者の本音や行動の背景を理解します。
定性調査について詳細を知りたい方は、下記のコラムも併せてご覧ください。
定量と定性の違いとは?それぞれのメリットとデメリットを知って使い分けよう
定性調査の特徴
・少数の対象者から詳細な情報を獲得できる
・新しい発見や洞察を得られる可能性がある
・消費者の感情や行動の理由を深掘りできる
グループインタビュー
グループインタビューとは、複数の対象者を集めて意見を聞く市場調査のやり方です。参加者を1つの場所に集め、特定のテーマについて自由に議論してもらいます。
グループインタビューの特徴
・参加者同士の相互作用により、新しい意見が生まれやすい
・短時間で多様な意見を収集できる
・参加者の反応を直接観察できる
デプスインタビュー
デプスインタビューとは、1人の対象者に対してじっくりとインタビューを行い、詳細な意見や感情を聞き出す市場調査のやり方です。対象者とインタビュアーが1対1で向き合い、特定のテーマについて深く掘り下げた質問を行います。
デプスインタビューの特徴
・個人の経験や感情を詳しく聞き取れる
・健康やお金といったセンシティブな話題にも触れやすい
・対象者のペースに合わせて質問できる
覆面調査
覆面調査とは、調査員が顧客としてサービスを体験し、そのフィードバックを収集する市場調査のやり方です。サービスを実際に体験することで、品質を客観的に評価できます。
覆面調査の特徴
・実際の顧客体験を客観的に評価できる
・スタッフの通常の対応を観察できる
・サービスの一貫性を確認できる
訪問調査
訪問調査とは、調査員が対象者の家や職場を訪問し、対象者が自然に振る舞える環境で情報を収集する市場調査のやり方です。より自然な状態での反応がわかるため、信頼性の高いデータを得られます。
訪問調査の特徴
・対象者の実際の生活環境を観察できる
・製品やサービスの使用状況を間近で直接確認できる
・対面でのコミュニケーションによる詳細な情報を得やすい
エスノグラフィー
エスノグラフィーとは、調査員が観察対象者の生活に入り込み、行動やその背景を把握する市場調査のやり方です。調査員が対象者の日常生活に長期間参加し、観察や対話を通じて詳細な情報を収集します。
訪問調査とエスノグラフィーの違いは、調査員と対象者の関わり方です。訪問調査はあくまで「客観的な観察」であり、調査員はなるべく自分の存在を消して観察します。一方、エスノグラフィーは調査員が対象者のコミュニティに参加し、信頼関係を築きながら進めるやり方です。
エスノグラフィーの特徴
・対象者の行動や習慣を自然な状態で観察できる
・本音や先入観に捉われない情報を得やすい
・潜在的なニーズや問題点を発見しやすい
デスクリサーチ
デスクリサーチとは、既存のデータを活用して情報を収集する市場調査のやり方です。インターネットや書籍、報告書などの公開されている情報を調査・分析することで、効率的に市場動向や競合情報を把握できます
官公庁のデータを活用する
官公庁のデータは、信頼性の高い情報源です。政府統計や白書などを活用することで、マクロな市場動向や社会トレンドなどを把握できます。
官公庁のデータを使った市場調査の特徴
・信頼性が高い
・長期的なトレンドを把握できる
・基本的に無料で利用できる
業界団体のデータを参照する
特定の業界に関する調査データは、業界団体が発表していることが多く、市場調査に役立ちます。各業界の専門的な統計や市場動向レポートは、より具体的な情報が欲しいときに便利です。
業界団体のデータを使った市場調査の特徴
・業界特有の詳細な情報が得られる
・最新の業界動向を把握できる
・専門家の分析や見解を参考にできる
民間企業のデータを利用する
官公庁や業界団体のデータに欲しい情報がない場合は、民間企業による有料の調査レポートやデータベースが役立ちます。特定のテーマに特化した詳細なデータが手に入りやすく、競合分析や消費者動向の把握に活用できるでしょう。
民間企業のデータを活用した市場調査の特徴
・特定の製品やサービスに関する詳細な情報を得られる
・競合他社の動向を把握しやすい
・専門的な分析や予測を参考にできる
市場調査の基本的なやり方
市場調査のやり方には、基本的なステップがあります。手順を踏んで適切に実行し、効果的な市場調査にしましょう。
①市場調査の目的を決める
まずは、明確な目的を設定することから始めましょう。目的によって、市場調査のやり方や規模、予算などが変わります。なぜ市場調査を行うのか、何を知りたいのかを具体的に定義することが大切です。
②調査内容を設計する
次に、市場調査の内容を具体的に設計します。予算を決め、仮説を立て、デスクリサーチを行いながら市場調査の種類や方法を選んでいきましょう。
予算を決める
最適な市場調査のやり方を選べるように、調査に使える費用を明確にします。市場調査の内容や規模を考えて設定しましょう。コストと手間を考えて、外部委託と自社実施の比較をおすすめします。
仮説を立てる
市場調査を始める前に、どのような結果が得られるかを仮定しましょう。調査の方向性が決まり、効果的に質問を設定できます。迷ったら複数の仮説を検討し、優先順位をつけるやり方がおすすめです。
デスクリサーチを行う
予め既存のデータをリサーチすることで、市場調査の方向性を絞り込むことが可能です。コストを抑えながら情報収集でき、適切な市場調査の種類を効率よく決めるのに役立ちます。
市場調査の種類や方法を決める
目的や予算、リサーチを踏まえて、インターネット調査や訪問調査などの中から最適な市場調査のやり方を決定しましょう。また、市場調査の対象者や実施期間、場所、アンケートの質問内容、質問形式なども細かく決めていきます。
③調査を実施する
市場調査のやり方を決めたら、実際に調査を行います。調査計画に従って実施し、データを収集したら適切に管理しましょう。
④調査結果を分析する
集めたデータを分析し、仮説との照らし合わせを行います。正確に分析できるように、分析前にデータの重複や誤りを修正するデータクレンジングを実施しましょう。
⑤意思決定に活用する
分析後は結果をレポートにまとめ、意思決定に活用します。レポートはわかりやすく要約してチームや社内で共有し、市場調査の結果をマーケティング施策の立案や修正に役立てましょう。
市場調査の事例
最後に、実際の市場調査の事例をいくつか紹介します。今回紹介するのは、共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営する弊社が、Pontaリサーチで調査した3つのレポートです。
スキマバイトに関する調査
弊社は「スキマバイトに関する調査」を実施して時間労働に関する実態を調べ、変化する労働市場の新たな傾向を明らかにしました。
調査概要
・調査方法:インターネット調査
・パネル:「Pontaリサーチ」会員
・対象者:1都3県在住のスキマバイトに興味がある20〜60代
・有効回答数:1,028名
本調査によると、スキマバイトを行う理由を「自分の都合に合わせて働ける」としたのが約7割で、スキマバイトに登録歴がある20代は約4割です。
また、スキマバイトで働きたい人の現在の職業は「会社員」が約半数を占めています。スキマバイトで働きたい仕事としては、「オフィスワーク(42.7%)」、「倉庫作業(38.1%)」、「スーパー・コンビニ(29.3%)」という結果になりました。
この調査では、多様化する働き方と企業のニーズの変化を反映しており、今後のスキマバイト市場の成長可能性を示唆しています。
魚介類の嗜好・喫食実態に関する調査
本調査は、日本人の魚介類の嗜好や喫食実態に関するものです。
調査の概要
・調査方法 : インターネット調査
・パネル : 「Pontaリサーチ」会員
・対象者:国内在住15~79歳
・有効回答数 : 1,400名
同調査によると、最も好まれているのは「シャケ」「エビ」「マグロ」などであり、最も嫌われているのは「カキ」「イクラ」「イワシ」などであるとわかりました。また、「サンマ」は「旬の時期だけ食べる」、「マグロ」は「生で食べる」など、魚によって食され方はさまざまです。
この調査は、日本人の魚介類に対する嗜好や食習慣を詳細に示しており、食品業界や栄養学の分野での活用が期待できます。
「キリンビール 晴れ風」に関する調査
発売直後から大ヒットとなった「キリンビール 晴れ風」について、市場での立ち位置や他のブランドとの違いをID-POSデータで分析しました。
また、性格や消費など価値観に関するデータに基づいて、生活者をプロファイリングする弊社のサービス「PERSONA+」や、複雑なデータをマッピングして視覚的にわかりやすくする「コレスポンデンス分析」も使用しています。
調査の概要
・調査方法 : ID-POSデータの分析、PERSONA+、コレスポンデンス分析
・抽出元: 地方スーパーマーケットでのビールカテゴリの購買
・対象者:20歳以上のPonta会員
同商品は、発売後にビールカテゴリ売上ランキングで2位を獲得し、定番商品と同等のポジションについています。購入者の割合を見ると、定番商品と比較して女性ニーズが高いです。
「PERSONA+」を使用してビール購入者の外向度を調べると、限定商品>「晴れ風」>定番商品であり、同ブランドの購入者は「周囲の影響を受ける中庸的なフォロワータイプ」だとわかりました。
最後にコレスポンデンス分析でビール市場全体を把握すると、他の商品と比較してビールらしさが平均以下に位置しており、よい意味でビールらしくないポジションを確立していることが見て取れます。
ID-POS市場分析 vol.1 「キリンビール 晴れ風」を徹底分析!今後の“ニュースタンダード”になるか? | 株式会社 ロイヤリティ マーケティング
ロイヤリティ マーケティングは豊富な市場調査メニューでビジネスを支援します
市場調査のやり方は多岐にわたり、それぞれの手法には異なる特徴があります。競争力のあるビジネスを構築するには、市場調査の目的に応じて最適な方法を選び、継続的に実施していくことが大切です。
弊社は、インターネット調査やグループインタビュー、デプスインタビューなど多彩な市場調査メニューで事業をサポートしています。Pontaリサーチ会員のリアルな購買行動を、定量・定性データの両面から深く分析することで、効果的なマーケティング戦略の提案が可能です。
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