コラム
2024-08-26
クロス集計とは?表の見方・分析のやり方・例をわかりやすく解説
クロス集計は、マーケティング活動で不可欠な手法の1つです。クロス集計への理解を深めると、さまざまな場面で役立ちます。本記事では、クロス集計の基本や表の見方、分析のやり方、事例を紹介します。簡単な言葉でわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
クロス集計とは
クロス集計とは、アンケート結果を集計する際に2つ以上の設問項目を組み合わせてデータを整理・集計する手法です。
例えば、性別や年齢層を組み合わせて購買行動を分析する場合、クロス集計を活用すれば性別や年齢層ごとの購買パターンが視覚的に理解しやすくなります。
例:週1回以上〇〇を購入しますか
クロス集計と単純集計の違い
クロス集計とよく比較される手法として、単純集計があります。単純集計とは、1つの質問項目の結果のみを集計する方法です。例えば、下記のように「はい」「いいえ」のみで集計し、複数の項目を掛け合わせません。
例:週1回以上〇〇を購入しますか。
単純集計とクロス集計には、項目が1つか複数かという違いがあります。したがって、シンプルな単純集計はアンケート全体の傾向を読み取るのに適しているのに対し、クロス集計は多角的なデータ分析をするのに向いています。
クロス集計のメリット・デメリット
クロス集計がビジネスのさまざまな場面で広く活用されるのは、大きなメリットがあるためです。一方で、注意すべきデメリットもあります。クロス集計のメリット・デメリットを事前に把握し、マーケティングで役立てましょう。
クロス集計のメリット
クロス集計のメリットは、アンケート結果を可視化し、統計に詳しくない人にも理解しやすいように提示できることです。グラフ化すれば、プレゼンテーションの場でも活用できます。
また、クロス集計は表計算ソフトなどを使うことで、簡単に集計できることもメリットです。例えば、表計算ソフトのピポットテーブル機能を活用すると、設定するだけで自動集計できます。複雑な計算や関数を扱うことなく、効率的に集計作業を進められるでしょう。
クロス集計のデメリット
クロス集計のデメリットは、項目を増やしすぎると集計のやり方が複雑になり、表やグラフでの可視化が難しくなることです。より深い知見を得たいからといって、無計画に項目を増やすのは避けましょう。
また、項目を増やしすぎて細分化を進めると、1項目の人数が極端に少なくなり、統計的に無意味なデータになる可能性があることもデメリットです。クロス集計は、アンケートの目的や調査計画に基づいて進めましょう。
クロス集計の種類
クロス集計には複数の種類があり、マーケティングにおいてさまざまな場面で使い分けられています。ここでは、3種類のクロス集計を紹介しますので、適切に活用できるように特徴を把握しておきましょう。
属性クロス集計
属性クロス集計とは、性別や年齢、地域といった回答者の属性に基づいてデータを集計し、比較する方法です。この方法は属性ごとの差を把握してターゲット市場を絞れるため、効果的なマーケティング戦略を立てるのに役立ちます。
例えば、性別と商品の購入頻度の属性クロス集計を行うと、男性と女性のそれぞれの購買パターンを把握可能です。
設問間クロス集計
設問間クロス集計とは、アンケートの2つの設問を掛け合わせる集計方法です。設問間クロス集計を利用すると、回答者の意見や行動の関連性について理解を深めることができ、顧客満足度の向上や商品の改善方針を検討する際に役立つでしょう。
例えば、商品の満足度と購入回数の設問間クロス集計を行うと、満足度の高い顧客が再購入するかどうかの傾向を確認できます。
多重クロス集計
多重クロス集計とは、3つ以上の項目を掛け合わせてデータを分析する方法です。属性クロス集計や設問間クロス集計よりもさらに掘り下げた分析が可能であり、マーケティング施策や商品開発の詳細を考えるときに役立ちます。
例えば性別・年齢・収入をクロス集計すると、顧客のより詳しい行動パターンが明らかになるでしょう。
クロス集計の表の見方
クロス集計表は便利な集計表ですが、回答結果を適切に把握するためには見方を知る必要があります。ここではクロス集計表を見るときに役立つ用語や見方のポイントを解説しますので、基礎知識として押さえておきましょう。
表頭と表側
クロス集計表は、表の上部の「表頭(ひょうとう)」、表の左側の「表側(ひょうそく)」で構成されます。表頭は表の列ごとのカテゴリーを示し、表側は各行の分類を表すものです。見方は表頭と表側で異なり、表頭は左側から右側、表側は上から下に向かって読みましょう。
例えば、満足度調査の結果を年齢層と回答項目で掛け合わせてクロス集計する場合、「20代」「30代」といった年齢層が表側、「非常に満足している」「満足している」などが表頭となります。
度数と割合
度数と割合は、クロス集計表で使用する値のことです。度数は数値で表し、割合は%で示しますので、混同しないよう見方に気をつけましょう。
例えば、1000人に対する満足度調査の結果を年齢層と回答項目で掛け合わせてクロス集計する場合、年齢層と項目が交差する部分の人数を表すのが度数です。これに対して割合は、交差した部分の人数が全体のどのぐらいの比率になるのかを示します。
横%表と縦%表
クロス集計表には、横%表と縦%表の2種類があり、どちらで作成するかによって見方が変わります。
横%表は横軸の回答項目の合計が100%になり、縦%表は縦軸の回答項目の合計が100%になる集計表のことです。クロス集計表はどちらで作成しても問題ありませんが、一般的に日本では横%表が採用されやすく、海外や外資系企業では縦%表が採用される傾向にあります。
クロス集計を使った分析のやり方
アンケートの大まかな流れは「調査準備」「調査の実施」「集計」「分析」となり、このうちクロス集計を活用する可能性があるのは「集計」の段階です。
アンケートの主な流れ
1.【調査準備】調査目的・調査方法の決定、アンケートの作成
2.【調査の実施】アンケートの実施、アンケートの回収
3.【集計】クロス集計など
4.【分析】クラスター分析や主成分分析など
では、クロス集計されたデータはどのように活用されるのでしょうか。ここでは、クロス集計を使用した分析の簡単なやり方について紹介します。
クラスター分析
クラスター分析とは、似ている特徴を持つデータをグルーピング(クラスタリング)する分析手法です。似たデータを1つの集団(クラスター)として扱い、集団の特性を理解することでデータの傾向が分かるため、多様化する消費者の価値観を理解するのに役立ちます。
例えばセット商品を開発する際、顧客に既存のメニューを「好みである」「まあまあ好みである」「どちらでもない」「あまり好みではない」「好みでない」などと段階別に評価してもらい、結果をクラスター分析すると、メニューの組み合わせを考えるのに便利です。
やり方として、まずクロス集計した各データを1つのクラスターと見なし、各クラスター同士の距離を計算します。距離が近いクラスター同士は統合されて新しいクラスターとなりますので、クロス集計してまとめましょう。
主成分分析
主成分分析とは、膨大なビッグデータを要約し、より少ない次元でデータの本質を説明する分析手法です。大量のデータを分析する場合、アンケートの項目や要素が多いと扱いが難しいため、主成分分析を行うことで元のデータをできるだけ保ちながら理解しやすい形にします。
例えば期末テストの学力を調べる際、科目が10以上あると何を持って学力を判断するかが難しいものです。そこで「総合成績」や「文系・理系」などのシンプルな指標にすると、学力を比較しやすくなります。
主成分分析に使われるのは、統計用ソフトが一般的です。クロス集計したデータを分析しやすいように整理・調整し、統計用ソフトを使って分析を実行したら、結果をグラフ化して解釈を加えます。
主成分分析のやり方や事例について詳しく知りたい方は、下記のコラムをご覧ください。
決定木分析
決定木分析とは、決定木と呼ばれる樹形図を作成し、データを分析する手法です。統計や数学に詳しくなくても、図を示すだけで結果を容易に解釈できることから、さまざまな場面で幅広く活用されます。
例えば、過去の顧客の購買行動から次に購入する商品を予測したり、サービス解約の要因を模索したりする際に活用できます。データから得た分析を可視化し、チーム内の誰が見てもわかりやすくすることが可能です。
決定木分析は、クロス集計を繰り返し活用して樹形図を作成していきます。対象データを分割してクロス集計表を作り、分割されたグループに対してさらにクロス集計を行うというやり方です。
時系列分析
時系列分析とは、時間の経過に伴って変化するデータ(時系列データ)を分析する手法です。時系列に並んだデータを長期的な傾向や周期的変化といった観点で分析し、未来を予測します。時系列分析で活用されるデータは、以下の通りです。
時系列分析で活用されるデータ
・気象データ
・株価データ
・人口統計データ
・販売数データ
また、時系列分析が活用される場面は商品の需要予測や工場での異常検知などです。
実際に時系列分析を行う場合、結果をクロス集計表にまとめて整理し、大まかな傾向(トレンド)を把握します。データを扱いやすくするように変換したら、分析に必要な特徴を抽出し、解釈を加えましょう。
アソシエーション分析
アソシエーション分析とは、仮説を立ててデータ間の関連性やパターンを見つける分析手法です。分析から導き出されたパターンを店舗でのセット販売やECサイトでのレコメンドに活用すると、客単価の向上などが期待できます。
例えば、アソシエーション分析で「商品Aを購入する人は商品Bも一緒に購入する傾向にある」という事象が分かると、商品Aの近くに商品Bを並べるといったマーケティング施策に活用できるでしょう。
やり方としては、データを整理した後にクロス集計を行い、結果から関連ルールを抽出してルールの妥当性を評価するという流れです。ルールを解釈することで、意思決定や問題解決に活用します。
アソシエーション分析の詳しいやり方や事例については、下記のコラムで紹介しています。
クロス集計の活用例
最後に紹介するのは、クロス集計を活用した調査です。
共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営する弊社は、Pontaリサーチ会員(※)を対象としたさまざまな調査を実施しています。Pontaリサーチでは、約230万人に紐づくデータやアンケート結果のクロス集計を行い、精度の高い調査や分析を実現可能です。今回は数ある公開レポートの中から、2つの調査を紹介します。
※Ponta会員で「Pontaリサーチ」への会員登録をしていただいている方
世代別のお金に関する調査
本レポートは、毎月自由に使える額やお金の使い道、使用頻度の高い支払い方法などについてZ・Y・X世代別に調べて紹介したものです。
調査概要
・調査方法:インターネット調査
・調査期間:2024年3月5日~3月9日
・パネル:「Pontaリサーチ」会員
・調査対象:国内在住20~60代の男女
・有効回答数:1,016名
※本リリースでは、Z世代を20歳~27歳、Y世代を28歳~43歳、X世代を44歳~58歳としてまとめています
※Z世代:245名、Y世代:254名、X世代:258名、59~69歳:259名 ※調査結果は小数点第2位を四捨五入しています
同調査によると、毎月自由に使える金額で最も高いのはZ世代の「3万円~5万円未満」です。お金の使い道に関して、全世代で高いのは「旅行/観光」「外食/食事」ですが、若い世代になるほど「貯金」や「投資」の意向が高いことがわかります。
また、普段の買い物で利用される支払い方法は、「クレジットカード」がトップ、次いで「現金」という結果になりました。年代で見ると特徴的なのは59~69歳で、「電子マネー」の利用率が約4割と他の世代と比べて高いことがわかります。
調査に関する詳細やその他の回答結果については、下記をご覧ください。
仕事でのストレスに関する調査
また、弊社では、仕事で感じるストレスの度合いや解消法などを勤続年数別や年代別に調査して紹介しています。
調査概要
・調査方法:インターネット調査
・調査期間: 2024年4月8日~4月11日
・パネル:「Pontaリサーチ」会員
・調査対象:国内在住20~60代の働く男女
・有効回答数:1,000名
※性年代別に各100サンプル回収 ※調査結果は小数点第2位を四捨五入しています
例えば、66.8%が仕事でのストレスを感じており、勤続年数を問わず、「1年未満」から「10年以上」までの全てで60%以上を占めることがわかりました。
また、ストレス対処法に関して、どの年代でも「休暇/休息をとる」や「趣味や運動をする」が上位となっています。特徴的なのは20代の「ネットやSNSで気晴らしする」の24.0%で、他の年代より高い割合を占めていました。
ストレスの原因については、20代と60代が「業務内容」、30代は「業務量の多さ」、40代と50代は「上司や同僚との人間関係」が上位となっています。
調査の詳細は下記でご確認いただけます。
クロス集計を活用して価値ある情報を手に入れるならロイヤリティ マーケティングへ
クロス集計は、データを分析してビジネスに有益な知見を得るための強力なツールだといえます。正確なデータに基づいた集計を行い、分析に活用することでより効果的な意思決定を実現できるでしょう。
弊社は、Pontaならではの購買・行動データをアンケートやインタビューなどのリサーチと掛け合わせてクロス集計を行い、分析を行うことで価値ある情報をお届けします。貴社のアンケートの実施や集計を丁寧にサポートいたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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