コラム

2024-05-22

アソシエーション分析とは?具体的なやり方や活用事例を理解して戦略に役立てよう

アソシエーション分析とはどのようなものかご存知でしょうか?例えばアソシエーション分析によって商品の陳列が最適化されると、セット買いが増え、売上の拡大が期待できます。本記事では、アソシエーション分析の意味や活用事例、注意点まで詳しく解説します。

アソシエーション分析とは

アソシエーション分析とは、購買データやPOSデータなどのビッグデータを分析し、事象の関連性やパターンを見つける分析の手法です。例えば「手帳を買う人はペンも買う」というパターンを抽出し、商品の配置を工夫するなどの場面で活用されています。

アソシエーション分析はデータマイニングの1つ

アソシエーション分析は、データマイニングの1つです。

 

データマイニング(date mining)とは、統計学やAIなどの技術を駆使して大量のデータを分析し、知見を得る手法のことです。”mining”は「採掘」を意味し、鉱山から貴重な鉱物を掘り出すように、蓄積されたビッグデータから有益な知識を見つけ出します。

アソシエーションルールとは

アソシエーションルールは、「Aが発生すると、Bが起こる傾向がある」というように、事象同士の関連性を示す規則のことです。アソシエーションルールは「条件部」と「帰結部」と呼ばれる部分で構成されます。


アソシエーションルールの例

 ● 条件部(もし~なら):手帳とペンを購入した人は

 ● 帰結部(〜になる可能性が高い):同時にブックマーカーも購入する


ただし、アソシエーションルールは関連性を指摘しているにすぎません。正確な因果関係や顧客の行動にある背景をきちんと理解したいときは、さらなるリサーチや売り場での検証が必要です。

バスケット分析との違い

アソシエーション分析とよく似た手法として、バスケット分析があります。「バスケット」は買い物かごを意味し、小売業における顧客の購買行動を分析する手法です。POSデータやECデータから誰がどのような商品を買ったのかを分析し、あわせ買いの商品などを見つけます。

 

バスケット分析は主に小売業のマーケティング施策に用いられるのに対し、アソシエーション分析は小売以外のマーケティングでも活用されるという点が異なります。つまり、アソシエーションはバスケット分析を内包していると考えるとよいでしょう。

アソシエーション分析を活用するメリット

アソシエーション分析を実施してパターンを見つけ、アソシエーションルールを生成すると、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。期待できる効果を1つずつ見ていきましょう。

データに基づいた精度の高い意思決定につながる

具体的な根拠がないまま経験や勘だけで意思決定を行ってしまうと、期待していたマーケティングの成果が得られない可能性があります。アソシエーション分析を行うことで、自社の状況が数値で可視化され、データが裏付けされた精度の高い意思決定につながるでしょう。

 

また、データに基づくマーケティングにより、施策実施後に効果測定や戦略の見直しを行いやすくなるメリットもあります。

アップセル・クロスセルによる売上向上が期待できる

アップセルとは、顧客が購入した商品あるいは購入を検討している商品よりも、上位の商品を提案して購入を促進することです。クロスセルとは、顧客が購入した商品あるいは購入を検討している商品と関連性が高い商品を提案して購入を促進することを意味します。


アップセルとクロスセルの例

 ● アップセル:8万円のパソコンを検討中の顧客に、10万円パソコンを提案する

 ● クロスセル:飲食店でお得なセットメニューを提案する


アップセル施策・クロスセル施策でアソシエーション分析を実施すると、商品同士の関連性を把握することができるので、顧客が興味を持つ商品を勧めやすくなるでしょう。上位商品の選択や関連商品のセット買いで客単価が上がると、ビジネス全体の売上向上が期待できます。

商品の在庫管理を最適化できる

アソシエーション分析によって同時に売れる商品の傾向がわかると、仕入れ予測が容易になり、過剰在庫にかかるコスト発生や、欠品による機会損失を防ぐことができます。また、複数の売れ筋商品の保管場所を近接させることで、ピッキングが円滑になり、作業の効率化も期待できるでしょう。

アソシエーション分析で活用する指標3つ

アソシエーション分析を実施する際は、指標を用いることでより正確な分析につながります。ここでは、アソシエーション分析で使われる3つの指標について解説します。

支持度(Support)

支持度とは、全てのデータの中で複数の商品が同時に購入される割合を示す指標です。数値が大きくなるほど同時購入の確率が高くなります。


支持度の計算方法

 ● 支持度=商品Aと商品Bを購入した顧客数÷全顧客数


例えば全顧客数が100人で、AとBを同時購入した顧客数が70人、AとCを同時購入した顧客数が20人の場合、支持度はそれぞれ0.7と0.2です。AとBは70%の確率、AとCは20%の確率で同時購入されるため、AとBを近くに陳列した方がよいといった判断ができます。

信頼度(Confidence)

信頼度は、ある商品を購入した顧客の中で、別の商品が同時購入された割合を表す指標です。信頼度は、数値が大きくなるほど該当商品と同時購入される傾向が強くなるといえます。


信頼度の計算方法

 ● 信頼度=商品Aと商品Bを同時購入した顧客数÷Aを購入した顧客数


例えば商品Aの購入者が100人で、そのうち商品Bも購入した人が50人の場合、信頼度は0.5となり、Aの購入者の50%がBも購入するという解釈が可能です。ただし、下記のように信頼度が高くても支持度が低くなる場合もあるため、信頼度は支持度とともに判断しましょう。

 


全顧客数100人に対し、Aの購入者が1人、AとBの同時購入者が1人の場合

 ● 信頼度=1÷1=1.0

 ● 支持度=1÷100= 0.01


 

リフト値(Lift)

リフト値は、全てのデータの中で「商品Aの購入者のうち、商品Bも購入した人の割合」が「商品Bのみの購入者の割合」と比較してどれほど多いかを示す指標です。リフト値は、数値が大きくなるほど、Aの影響でBを同時購入する傾向が強くなるといえます。


リフト値の計算方法

 ● リフト値=商品Aの信頼度÷(商品Bの購入者数÷全顧客数)


例えば全顧客数が100人で、商品Aの購入者が80人、商品Bの購入者が20人、AとBの同時購入者が40人の場合、Aの信頼度は0.5、全顧客数に占めるBの購入者の割合は0.2となるため、リフト値は2.5です。一般的にリフト値が1を超えると強い関連性があるといえます。

アソシエーション分析の活用場面と事例

アソシエーション分析は、社会の中でどのように活用されているのでしょうか。ここでは、身近なアソシエーションの活用事例として4つのケースをご紹介します。

小売店の商品陳列

アソシエーション分析の代表的な活用例は、小売店におけるセット買いを促進するための商品陳列です。POSデータから商品の傾向やアソシエーションルールを見つけ出し、セット買いされる商品を近くに陳列するなどして売上アップにつなげます。

 

アソシエーション分析を行うと、「牛肉」と「焼肉のたれ」のような予測できるセット買いだけでなく、意外な組み合わせを発見して商品陳列に反映させることも可能です。また、「春になると、マスクと花粉症の薬が売れる」など、天気や季節の変化に応じた陳列変更にも活用できます。

ECサイトのレコメンド

ECサイトにおいて、アソシエーション分析はレコメンドに活用されています。レコメンドとは顧客に商品を勧める機能のことです。アソシエーションルールに基づき同時購入される可能性がある商品を表示し、関連商品も購入してもらうことで売上アップにつなげます。

 

また、アソシエーションルールに基づいたレコメンドは、ECサイトの信頼性を高めるのにも有効です。顧客が欲しい情報を適切なタイミングで提供すると買い物の満足度が高まり、ECサイトに対して好印象を抱いてリピーターに変わる可能性があります。

地域の周遊行動の分析

GPSによる位置情報もアソシエーション分析の対象であり、旅行の目的地や滞在時間、周遊行動などがアソシエーションルールとして抽出され、地域における旅行者の傾向の分析に活用されています。例えば「Aを訪れた旅行者はBも訪れる傾向がある」といったパターンです。

 

アソシエーション分析から得られた知見は、旅行者への情報提供や観光地のマーケティングに使われています。旅行関連の企業だけでなく、自治体や観光協会に利用されることもあり、アソシエーション分析を取り入れた地域活性化のための施策は今後も増えていくことでしょう。

Ponta×ID-POSで購買データを分析

会員数1億を超える共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営する弊社は、アソシエーション分析に欠かせないリアル購買データを保有し、企業のID-POSを活用したデータ分析をサポートしています。

 

例えば食品メーカー様の購買データを利用した事例では、Pontaと連携するID-POSデータを使用して「自社同一商品」「同一カテゴリー商品」「併売カテゴリー商品」のセグメントに分け、SNSで広告配信を行って実店舗での購買効果を測定しました。

 

オーソドックスなターゲティング配信を行った、食品メーカーの広告事例

広告配信の目的

 1. 自社商品における既存購買者の購買数を増やし、休眠顧客の復活を促進する

 2. 自社商品と同一カテゴリーに含まれる競合商品の顕在層も獲得する

 3. 自社商品と一緒に併売商品を購入する可能性が高い潜在層を獲得する


この事例では、過去に自社の同じ商品を買った人に加え、「同一カテゴリー商品」や「併売カテゴリー商品」でも販売促進効果が得られることが明らかになりました。

購買データを活用した最新マーケティング事例についてさらに詳しく知りたい方は、以下のコラムをご覧ください。

ここまで来た!購買データを活用した最新マーケティング事例2023【Pontaマーケティングラボ】 | 株式会社 ロイヤリティ マーケティング

 

アソシエーション分析を行うときの注意点

アソシエーション分析を実施する際、注意すべきことがいくつかあります。アソシエーション分析で得られる知見の信頼性を高めるために、下記の内容に配慮しましょう。

分析目的を明確にする

明確な目的を決めないままアソシエーション分析を始めると、関係性の薄いデータまで収集したり、有益ではないアソシエーションルールを生成してしまったりする可能性があり、大きな損失につながりかねません。目的を明確にして、円滑に分析を進められるようにしましょう。

データクレンジングで精度を高める

データクレンジングとは、データを整理・修正・最適化して正確性を高める作業です。企業内にあるデータは、担当者や部署によってデータ入力の方法や保管場所がバラバラな場合も多く、誤登録・表記ゆれ・データの重複などにより、適切なデータとして使えない可能性があります。

 

データクレンジングを行うことでデータの品質や信頼性が向上し、不備のあるアソシエーション分析による的外れなマーケティング戦略の立案やビジネス上の損失を避けられるでしょう。

データの順番に注意する

アソシエーションルールでは「条件部→帰結部」という方向性が重要で、条件部と帰結部に入るデータを逆にすると意味が変わってしまいます。つまり「商品Aの購入者の50%は、商品Bも購入する」が正であっても、「商品Bの購入者の50%は、商品Aを購入する」が正とは限らないということです。

 

例えば「タブレット購入者はケースも同時購入する傾向がある」と判明した場合、タブレット購入者にケースを勧めると売上向上が期待できますが、ケース購入者にタブレットを勧めても売れない可能性があります。ケース購入者は既にタブレットを所有している可能性があるためです。

 

このように、生成したアソシエーションルールの順番を無視すると、マーケティング施策の失敗につながる可能性が高くなります。アソシエーションルールの条件部を変更する場合は、改めて分析をし直しましょう。

売上が極端に多い商品や少ない商品は除外する

アソシエーション分析を実施する際は、売上全体を考慮して極端に売れている商品や、ほとんど売れていない商品は除外しましょう。

 

例えば100人のうち1人が商品Aと商品Bを同時購入した場合、たまたま購入しただけの可能性が高いです。Aの単独購入とA・Bの同時購入との差がほぼなくなり、アソシエーション分析で信頼度やリフト値を計算しても適切な指標として活用できないでしょう。

 

また、売上個数が極端に多い商品は必要だからという理由で購入しているだけで、セット買いを勧めても期待した効果を得られない可能性があります。普段から売れている商品と他の商品が買われるのは当然のことで、アソシエーション分析の対象にしても傾向を読み取りにくいためです。

 

つまり、アソシエーション分析では適切にアソシエーションルールを生成するために対象商品の選び方が重要となります。自社商品の全てをアソシエーション分析の対象としないように、除外すべき商品を把握しておきましょう。

データ分析を活用した精度の高いマーケティング施策を目指すならロイヤリティ マーケティングへ

アソシエーション分析で大量のデータを分析して、勘や経験では把握しづらい事象間の関連性を可視化できると、精度の高いマーケティング施策の実現に役立ちます。ただ、大量のデータを分析・活用するのは容易ではないため、マーケティングでお困りの方も多いのではないでしょうか。

 

弊社は、ビッグデータ分析で培ったノウハウや最新テクノロジーを駆使し、貴社をサポートいたします。データ分析の方法やアソシエーション分析で得た知見の活用法がわからない方は、お気軽にご相談ください。

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