コラム
2023-11-22
ビッグデータ・AI、それぞれの違いや関係性とは?活用事例とともにわかりやすく解説!
近年、ビッグデータとAIはさまざまなシーンで利用が進んでいますが、具体的にどのような違いがあるのかご存知でしょうか?本記事では、ビッグデータとAIの関係性や課題、今後の展望を活用事例とともに紹介します。
目次
ビッグデータとAIの違い
ビッグデータとAIについておおよそは知っていても、具体的な違いを説明するのは簡単ではありません。まずはそれぞれの定義や歴史を解説しますので、違いを比較してみます。また、それぞれの活用事例として弊社の取り組みもご紹介していきます。
ビッグデータの定義
ビッグデータとは文字通り膨大なデータの塊のことで、人間が把握できないほど巨大なデータを意味します。ただ、はっきりとした定義は決まっておらず、説明の仕方はさまざまです。例えば、ビッグデータの特徴の説明として、以下の「5V」がよく使われます。
ビッグデータを表す5V
●【Volume】データ量:データが膨大な量である
●【Velocity】速さ:データをリアルタイムで高速処理する
●【Variety】多様性:データの形式が多様である
●【Value】価値:データ活用によって新しい価値を創造する
●【Veracity】正確性:扱うデータそのものが正確でなくてはならない
ビッグデータの歴史
膨大なデータを集めて分析する国勢調査などは昔から世界中で行われていましたが、1960年代頃まで集計は手作業でした。次第にコンピュータを用いて効率よくデータ収集やデータ分析ができるようになり、2000年代になるとビッグデータの活用が本格的に進み始めたのです。
なお、ビッグデータについて詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考になさってください。
AIの定義
AIは「Artificial Intelligence」いわゆる人工知能のことです。総務省HPでは、「人間の思考プロセスと同じような形で動作するプログラム」と説明されています。ただし、ビッグデータのように明確な定義はなく、研究者によって解釈の仕方はさまざまです。
AIの歴史
1956年のダートマス会議でAIという言葉が初めて使われた後、1950年代に第一次AIブーム、1980年代に第二次AIブームが訪れました。当時は本格的な普及に至りませんでしたが、2011年頃の第三次AIブームは従来と異なり、技術の進歩で普及が加速しています。
弊社のAI活用事例:AIによる顧客セグメント分析
AIを使ってクライアントのコンバージョンデータを分析し、効果的なプロモーションの実施を支援しています。最適なターゲットの特定を、実施やコンテンツ内容のABテストの実施によりコンバージョン率が改善を実現しています。
ビッグデータとAIの関係性
AIとビッグデータは、お互いを補い合う関係性で成り立っています。AIはデータ分析の精度を上げるために膨大なデータを必要とし、ビッグデータは手作業で処理しきれないためAIによるデータ分析が必要です。この関係性により、予測分析などの高度な分析を実現しています。
ビッグデータが第三次AIブームを支援
実は、ビッグデータこそ第三次AIブームの立役者といわれています。というのも、画像認識AIや翻訳AIなどを研究・開発するには膨大なデータが必要だからです。技術の進歩で以前よりも簡単にビッグデータを蓄積・管理できるようになり、AIの研究・開発を後押ししています。
ビッグデータ×AIの関係性がもたらしたこと
ビッグデータとAIの関係性をによって効率的かつ正確なデータ分析が実現し、さまざまなメリットが生まれています。具体的には以下の通りです。
データ分析のスピードアップと精度向上
企業が保有するビッグデータにはビジネスの成功に必要な情報が含まれていますが、あまりにも膨大で解析には時間がかかり有効活用するのが困難でした。AIの進化でデータ解析技術が発達し、これまでより短時間かつ正確に分析作業をこなせるようになってきています。
人間が思いつかない予測を立てられる
優秀な人間でも製品や顧客に関するあらゆるデータを覚えて分析することは困難で、思いつくアイデアには限界があります。しかし、ビッグデータをAIが扱えるようになったことで以前よりデータ分析が簡単になり、人間には導き出せない仮説も立てられるようになりました。
客観的データに基づいた意思決定
AIを活用したビッグデータ分析は、ビジネスでの意思決定にも変革をもたらしています。勘や経験値に基づいた従来の意思決定とは異なり、客観的データに基づく現状把握・予測が可能です。これによって意思決定の精度が高まり、決定までの時間も短縮されます。
なお、ビッグデータに基づいて意思決定を行うことを「データドリブン」といいます。詳しく知りたい場合は、以下のコラムを参考になさってください。
ビッグデータ×AIの活用事例
ビッグデータとAIの関係性を応用することで、社会の仕組みやビジネスは日々進化しています。ここでは、ビッグデータとAIを活用した身近な例をいくつかご紹介します。
活用事例①:Life Actionセグメント
共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営する弊社は、1億人超のPontaデータを活用した効率的なプロモーションを支援するサービス「Life Actionセグメント」を提供しています。構築したセグメントから潜在顧客像が可視化され、顧客増加につなげます。
活用事例②研究開発のコストダウン
AIによるビッグデータの分析は、新製品の研究開発の効率化に役立ちます。新製品に使用する材料を研究する際、従来は時間をかけてさまざまな実験を繰り返していました。AIが新製品に最適な材料の特性を予測できるようになったことで、研究費のコストダウンにつながっています。
活用事例③製品の不良品予測
製造業の現場に蓄積された製品に関するビッグデータは、製品の故障予測に応用されています。目視など人の作業による検品は、検査速度・精度に課題がありました。AIの活用で過去の故障履歴を解析できるようになり、故障パターンを導き出して不良品の未然防止に利用されています。
活用事例④防犯システムの向上
ビッグデータとAIは、道端や店舗、交差点などの防犯にも応用可能です。例えば、ビッグデータを使ってAIに不審者や万引き犯の動きを学習させると、簡単に一般人と区別できるようになります。また、服装や車種などを学習させて交差点を監視し、捜査に役立てる動きもあります。
活用事例⑤SNSのビッグデータを活用したトラブル対策
SNSに投稿された文字や画像のビッグデータは、イベントのトラブル防止に応用可能です。例えば、AIがイベントに関するSNS上の投稿を抽出し、会場周辺の事故やイベントの混雑具合、交通渋滞を把握して警備に役立てる取り組みが実現しています。
活用事例⑥求職者と企業のマッチング
Human Resource(人事)とTechnologyから成るHRTechという技術がありますが、そこでもAIとビッグデータが使われています。例えば、人材サービスに登録した学生のビッグデータをAIで解析し、企業と学生をマッチングする仕組みが登場しています。
活用事例⑦スポーツの試合における戦略の最適化
スポーツの世界では、試合の画像・動画・記録をビッグデータとして収集し、分析・可視化して戦略に役立てることが可能です。例えば、バレーボールやバスケットボールなどの対戦型スポーツでは、相手チームの試合データをAIで解析し、相手を封じ込める戦術に活用されています。
活用事例⑧救急車の出動予測
医療現場におけるAI・ビッグデータの活用事例として、救急車の出動増加を予測する実証実験が挙げられます。これは、過去に救急車が出動した日の天気・場所・搬送された人の年齢・性別といったビックデータを取得し、救急車の最適な配置を予測するという取り組みです。
気象情報やニュースを読み上げるAIアナウンサーは、既に世界中のさまざまな言語で活用されています。人の話し方をビッグデータとして収集し、違和感がないほど滑らかに文章を読み上げることも可能です。
ビッグデータ×AIに関する課題
AIによるビッグデータの活用をビジネスに応用すると、作業の効率化や価値の創造などさまざまなメリットを生み出します。しかし、AIやビッグデータが一般的でなかったこれまでとは違い、新たな課題が出てきているのも事実です。
ここからはビッグデータ×AIの課題に関してご紹介します。
人材不足
ビッグデータを分析するには、統計学やプログラミングに関するスキルを持ったデータサイエンティストが必要です。日本はもちろん、世界的にこの人材への需要が高まっています。しかし、データ分析に関する教育・研究機関が少ない日本では、人材不足が続いているのが現状です。
セキュリティ問題
ビッグデータには個人情報が含まれており、扱い方次第では情報漏えいやプライバシー侵害を引き起こす可能性があります。ビッグデータとAIをビジネスに応用すると生産性の向上につながりますが、誤った使い方をすれば簡単に悪影響を与えることを忘れてはなりません。
ビッグデータの整理・最適化に時間を要する
ビッグデータの分析そのものに関しては、AIによる大幅な時間短縮が進んでいます。しかし、AIで分析するためには取得した元のデータを最適化・整理しなければならず、準備には多大な労力と時間が必要です。
ビッグデータ×AIの活用にあたって必要なこと
AIによるビッグデータ分析にはさまざまな課題がありますが、課題を克服すればビッグデータ活用の成功につながります。ここからは、ビッグデータ×AIの活用にあたって必要なことを具体的にご紹介します。
分析目的の明確化
AIを使ったビッグデータの分析結果を有効活用するためには、分析目的の明確化が不可欠です。解決すべき課題がはっきりしなければ、膨大なデータから適切な情報を選別できません。準備作業をできるだけ簡単に済ませてスムーズに進めるためにも、目的をはっきりとさせる必要があります。
人材の確保
ビッグデータの活用にはデータ分析に詳しい人材が必要ですが、先述したように日本での人材確保は困難です。このような場合、外部の専門企業への依頼をすることも考えられます。AIやビッグデータに精通した企業と連携すれば、有効活用できていないビッグデータを活かせる可能性があります。
環境整備
AIを使ってビッグデータを活用するには、社内の環境整備が必要です。ビッグデータを管理するためには蓄積できるストレージが求められ、AIがデータ分析するためのプラットホームも準備しなければなりません。また、情報漏えいを防ぐためにはセキュリティ対策も必要です。
ビッグデータ×AIの今後の展望
ビッグデータとAIの活用が進むと、他のテクノロジーとのつながりの強化が予想されます。ビッグデータ・AI・他のテクノロジーの結びつきでさらに大量のビッグデータが形成され、豊かな社会が形成されるという展望です。例えば、次のようなテクノロジーとの結びつきが考えられます。
IoTのさらなる普及による社会の変化
IoTは「モノのインターネット」と訳され、モノがインターネットに接続する仕組みや、接続している端末のことを意味します。IoTの普及でスマートフォンやスピーカー、自動車などから集まったビッグデータが充実すると、さらに便利な仕組みができるといわれているのです。
エッジコンピューティングによるビッグデータとAIの進化
エッジコンピューティングとは、ネットワークのエッジ(周縁)でデータ処理する技術のことで、IoTと相性がよい技術として注目されています。この技術により、ビッグデータには最適なデータだけが蓄積され、AIの学習精度の向上に貢献するといわれているのです。
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