コラム

2023-06-21

ビッグデータ利用の身近な例を紹介。具体的な活用方法やメリットについても解説

近年はどの分野でもビッグデータの活用方法が注目されていますが、身の回りではどのようにして利用されているのでしょうか。本記事では業種別に見る身近な例に加えて、メリットや具体的な事例などを紹介します。

ビッグデータに関する基礎知識

ビッグデータに明確な定義はありませんが、端的に言えばテクノロジーの発達により蓄積されていく膨大な量の多様なデータのことです。こちらの記事では、ビッグデータのメリット、身近な事例などを紹介していきます。その前にまずは、ビッグデータの基礎知識を押さえていきます。

ビッグデータの要素である5V

かつてビッグデータを表す要素は、Volume(量)・Velocity(速度)・Variety(多様性)の3Vでした。近年は、この3VにVeracity(正確性)・Value(価値)の2つを加えた5Vが特徴とされています。5Vの詳細は以下のとおりです。

ビッグデータを表す5V

● Volume(データ量)…ビッグデータの量は膨大で、データの種類によっては大容量の数百ペタバイトにも及ぶ

● Velocity(速度)…収集したデータを可視化して活用するために、リアルタイムでの高速処理が求められる

● Variety(多様性)…ビッグデータにはJSON、テキスト、音声、動画、画像、位置情報などのさまざまな形式のデータが含まれている

● Value(価値)…ビッグデータの活用によって得られた成果から、新しい価値が生まれることがある

● Veracity(正確性)…ビッグデータは膨大なため、誤った内容も紛れ込むことからデータ自体の正確性が求められる

ビッグデータを構成する3種類のデータ

ビッグデータには要素とは別に、それぞれのビッグデータを構成するデータの種類が存在します。こちらでは「構造化データ」「半構造化データ」「非構造化データ」の3種類を紹介します。

ビッグデータを構成する3種類のデータ

● 構造化データ…列と行の表形式のデータで、構造化されているため集計・分析に適している 例)ExcelやCSVなど

● 半構造化データ…データにある程度の規則性はあるが表形式ではないデータ 例)JSON、XMLなど

● 非構造化データ…規則性がなく表形式に変換できないデータのことで、構造化されていないためそのままでは処理が困難 例)テキスト、画像、音声、動画、センサーログなど

ビッグデータを活用するメリット

ではこれらのデータを活用すると具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。ビッグデータのメリットは見方によって、さまざまな解釈の仕方があります。ここでは3つのメリットを紹介します。

メリット①高精度の予測が可能

ビッグデータの解析は高精度の予測を可能にし、客観的データに基づいた意思決定や成功率の高いビジネスチャンスの創出をもたらします。また、膨大なビッグデータの中に埋もれて従来は見つけられなかった新しい規則性を発見できれば、市場における競合優位性の確立も可能です。

メリット②最適化・効率化する

ビッグデータにはあらゆる分野を最適化し、作業を効率化するメリットもあります。例えば、ビッグデータを解析して季節ごとのニーズやユーザーの購買行動などがわかれば、在庫数や商品のレイアウトなどを最適化することでコスト削減や業務効率化につながることがあります。

メリット③リアルタイムでデータを可視化する

情報技術の発達によって膨大なビッグデータを高速処理できるようになり、リアルタイムの正確な状況把握が可能になりました。従来は経験や勘に頼っていた業務が、ビッグデータによって誰が見てもわかりやすいように可視化され、生産力アップや作業効率化につながっています。

業界別に見るビッグデータ利用の身近な例

ビッグデータは、未来予測やデータ可視化、最適化などによって私たちの日常にさまざまな方法でメリットをもたらしています。では、ビッグデータを活用した身近な事例を業界別に見ていきます。

小売業の身近な例

小売業では、顧客ニーズや購買履歴などのビッグデータを分析することで、売上拡大や業務効率化を図っています。例えば店の販売履歴からは誰が・いつ・何を購入したのかがわかり、ビッグデータとして集計・分析すると商品の需給予測や陳列方法の改善、販売戦略の構築に役立ちます。

製造業の身近な例

製造業では、ビッグデータの活用でコストを削減しながら、業務品質を向上させています。出荷データから需要予測すればコスト削減になり、不良品の発生率を予測すると業務の改善点の可視化が可能です。製造業では、ビッグデータ活用のためのシステム開発についても進んでいます。

飲食業の身近な例

飲食業で活用されるビッグデータとして挙げられるのがBIツールです。これは膨大なデータを可視化して経営に役立てるソフトウェアのことで、散在している売上や収支などに関する情報を1箇所に集約してデータを生成し、飲食店の業務効率化や売上分析をサポートしています。

金融業での身近な例

金融業ではビッグデータを活用した革新的な動きが増えており、こうした動きは「フィンテック(FinTech)」と呼ばれています。QRコード決済や仮想通貨などが一例で、購買履歴などの情報をビッグデータ化し、再訪問を誘導するなどのリマーケティングにも活用されます。

教育業界の身近な例

教育業界では、学習履歴や行動履歴などのビッグデータを分析して活用する取り組みのことを「ラーニング・アナリティクス」と呼んでいます。学習者の履歴から成績と行動の因果関係を分析し、苦手を克服する学習の提案などによって個人に最適化した教育の実現を目指しているのです。

観光業界の身近な例

観光業界で特に活用されているビッグデータは、位置情報です。スマートフォンのGPS機能による膨大な位置情報データを活用すれば、観光客の行動パターンや人気のスポットなどが解析可能で、町おこしや広報活動などに役立ちます。

行政の身近な例

行政では、ビッグデータを使った情報伝達システムの構築や人口の動向調査など、市民のための取り組みがおこなわれています。例えば交通ビッグデータを使うと渋滞予測が可能です。これを活用して地図システムを手掛ける民間企業と連携し、渋滞解消対策をおこなう行政もあります。

マーケティングのシーン別に見るビッグデータの身近な例

業種を越えてマーケティングという広い範囲でビッグデータを見ると、シーン別のさまざまな活用方法があることがわかります。ここからはマーケティングにおけるビッグデータ活用の身近な4つの事例をご紹介します。

製品開発に利用する

ビッグデータで顧客の属性や興味関心、購買行動などを分析すると、消費者ニーズを把握できます。新商品開発の際に分析したデータを利用すると、人気製品の特徴やターゲットの顧客の買いそうな商品がわかるため、ビッグデータを活用してヒット商品を生み出す企業も出てきています。

潜在的ニーズを見つけ出す

ビッグデータをリアルタイムで可視化できるようになったことで、企業は顧客が求めるものを素早く理解し、ニーズへの対応がスピーディーになりました。このことは顧客自身が気付かない潜在的ニーズを見つけ出すことにも役立ち、市場における新たな価値の創出にもつながっています。

カスタマー・エクスペリエンスを可視化する

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは、商品購入やサービス利用を通して顧客が得るさまざまな体験や価値のことです。ビッグデータで可視化されたカスタマー・エクスペリエンスから最適な提案をおこない、顧客の離脱を防いでブランド構築につなげる施策がなされています。

データドリブンを促進する

データドリブン経営とは、勘や経験ではなく、データに基づいて判断する手法です。ビッグデータの活用により、客観的データによる意思決定や施策立案が促進されます。意思決定の根拠が明確に示せるようになることで、周囲から理解を得られて施策を円滑に進めやすくなるのです。

ビッグデータをマーケティングに活用した具体的事例

弊社のサポートを通じて、ビッグデータ解析をマーケティングに活用されているクライアント様の具体的事例を紹介していきます。ビッグデータ活用やマーケティングにおける自社の課題と比較が可能です。

飲料メーカーのマーケティング事例

ある飲料メーカー様の課題は、自社と競合のターゲット傾向がつかめないことでした。そこで、独自の価値観判別ロジックでペルソナを作成する「PERSONA+」を利用し、自社と競合の購入者を把握することで、乗り換える可能性のあるターゲットにプロモーション施策を実行しました。

PERSONA+についてはこちら

小売業者のマーケティング事例

リアル購買データから類似拡張してターゲティングした、小売業者での広告事例

弊社では個人情報に配慮しながら、Ponta会員の実店舗のビッグデータを活用し、企業様のデジタル広告の配信・解析を支援しています。ある小売業様の場合、既存の購買データから類似拡張し、新規顧客獲得に向けてターゲティングした結果、大幅な売り上げ増加へつながりました。

金融サービスのマーケティング事例

複合データからターゲティングした、金融サービスの広告事例

ある金融サービス業様向けのマーケティング支援では、契約獲得の広告配信のために、リアル購買データだけでなく会員情報やアンケート情報などを組み合わせたターゲティングを実施しました。データの複合的利用で精度の高いターゲティングになり、低コストでの契約獲得を実現しています。

ビッグデータ活用のポイント

自社で実際にビッグデータを活用することになったら、どのような点に配慮すればよいのでしょうか。ここでは、ビッグデータ活用の際に特に押さえたい4つのポイントを紹介します。

活用目的を明確にする

まず押さえたいポイントが、ビッグデータの解析目的を明確にすることです。ビッグデータは膨大ですので、活用目的が決まっていない状態で始めるとデータ収集や解析がスムーズに進みません。先に活用目的を決定し、効率よくデータを集めて適切な解析方法を選ぶことが必要です。

必要なデータを収集・整理する

ビッグデータを活用することになったら、社内で管理する顧客データや財務データなどから必要な情報を収集し、足りない場合は政府機関のデータなども収集します。このとき、データの破損や重複が見られる場合は正確なデータになるように修復し、適切に整理した上で使うことがポイントです。

データ収集・分析を継続する

ビッグデータの解析は、データ収集と分析を継続的に繰り返すことがポイントです。重要度の高いデータの解析からスタートし、結果を分析して洞察を重ね、価値の高い内容に練り上げることが可能です。こうした分析と改善を繰り返すことで、マーケティングに役立つ結果が得られます。

セキュリティ対策をおこなう

ビッグデータには、個人を特定できる重要なパーソナルデータが含まれていることがあります。不正アクセスなどによる個人情報の漏洩を防ぐために、管理方法には十分に配慮し、セキュリティ対策を万全に行うことが大切です。

ビッグデータをマーケティングに役立てるならロイヤリティ マーケティングへ

ビッグデータの活用でビジネスチャンスが広がりますが、活用方法にお悩みなら専門サポートを検討してはいかがでしょう。Pontaビッグデータを扱うロイヤリティ マーケティングならデータ収集・分析を支援し、最適な施策をご提案します。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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