コラム

2023-08-25

購買データはどう活用する?活用したいデータやメリットを基礎から解説

日々記録されている購買データを分析・活用すると、効果的なマーケティング施策に役立ちます。では、具体的にどのようなメリットがあり、どのように活用していけばよいのでしょうか。購買データの扱い方にお困りの方は、本記事を参考にして活用方法を検討してみてください。

目次

購買データを分析するメリット

購買データとは、顧客が購入した商品や購入費用、購入日などの情報を収集したデータのことです。例えば、スーパーマーケットで買い物してレジで会計すると、何をいついくらで買ったのかなどが記録されます。購買データを分析することで、次のようなメリットが期待できるのです。

メリット①購買行動から予測できる

購買データを分析すると顧客の購買行動の傾向がわかり、シーズンごとの売れ筋商品や時間ごとに売れやすい商品を予測可能です。「商品Aの近くに商品Bを置くと売れる」など、従来の勘や経験による予測ではわからなかった意外な関係性や規則性に気付くこともあります。

メリット②顧客ニーズが明確になる

購入履歴などの購買データを分析すると、売れている商品や売れていない商品がわかり、分析結果をグラフなどで可視化すると顧客ニーズが明確になります。ニーズにあった商品提供により、生産量や仕入れを調整することでコスト削減も実現可能です。

メリット③顧客満足度(Customer Satisfaction、CS)の向上につながる

顧客満足度とは、企業の商材に顧客が満足している度合いのことです。購買データの分析に基づいて、顧客ニーズに合った商材を開発・提供・提案すれば、顧客満足度の向上につながります。これによって期待できる効果は、口コミによる新規顧客の獲得やブランドイメージの向上などです。

メリット④狙ったターゲットにアプローチできる

従来の広告は、効果測定を繰り返しながら精度向上を目指していました。属性や購買履歴などの購買データを分析することで自社の顧客層が明確になり、精度の高いターゲティングが可能となります。そのため、ユーザーの興味関心に沿った効果的なマーケティングが実現可能です。

活用したい購買データの種類

それでは、購買データには具体的にどのようなものがあるのでしょうか。ここでは購買データの例として代表的な3つの種類を紹介しますので、それぞれの違いについて比較してみましょう。

購買データの種類①POS

POS(Point Of Sale)は「販売時点情報管理」を意味し、店舗でどのような商品が、いついくらで売れたかなどの購買データを管理することです。コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどでは、POSレジが使われており、POSデータは小売や流通が保有しています。


POSから収集できる情報の例

●購入商品

●購入費用

●購入日時

●購入数


 

POSを導入するマーケティング上のメリット

POSをシステムとして導入すると、商品名や価格、日時、数量など、商品を軸とした購買データを得られます。リアルタイムの売れ筋商品がわかるだけでなく、各店舗の状況を本部で一元管理でき、その後のマーケティングや店舗の陳列方法の変更などにいかすことが可能です。

購買データの種類②会員カード・ポイントカード

ポイントの付与や利用などに使われる会員カードやポイントカードには、カード作成時に顧客の属性が紐付けられ、商品を購入すると費用や日時などの購買データが記録されます。POSに顧客IDが紐付けられるため、ポイントカード番号などのことをID-POSと呼びます。


会員カード・ポイントカードから収集できる情報の例

●購入商品

●購入費用

●購入日時

●購入数

●顧客の年齢

●顧客の性別

●顧客の住まい

●顧客の過去の購買履歴


 

会員カード・ポイントカードを導入するマーケティング上のメリット

商品を軸にしたPOSの購買データとは異なり、人を軸にした購買データであることから、販売実績だけでなく、顧客の性別や年齢などの属性もわかります。分析によって購買行動の傾向などが把握できると、顧客理解や顧客満足度向上、最適なターゲティングへとつながっていくのです。

購買データの種類③キャッシュレス決済

キャッシュレス決済とは、クレジットカードやデビットカード、交通系電子マネー、QRコード決済など、現金以外で支払う決済手段のことです。キャッシュレス決済の利用率は年々増加傾向にあり、経済産業省によると2021年のキャッシュレス決済比率は32.5%となっています。

 

2021年のキャッシュレス決済比率を算出しました (METI/経済産業省)

キャッシュレス決済を導入するマーケティング上のメリット

例えばバーコード決済では顧客属性や利用情報から、顧客の買い物傾向や趣味嗜好などがわかり、アプローチする顧客の精密なペルソナを作成することも可能です。ペルソナがわかると潜在顧客の発掘につながることがあり、ターゲティング広告配信もできます。

購買データを活用する流れ

購買データを新商品の開発や顧客へのアプローチに活用することになった場合、以下のような流れで分析していくことになります。実際の分析作業はもう少し複雑ですが、ここでは大まかな流れを簡潔にまとめています。

①購買データを収集・蓄積する

購買データの収集・蓄積からスタートします。店舗はPOSシステム、ECショップは購買履歴などを使ってデータを収集します。ID-POSの場合は、顧客ごとの購買データを抽出すると詳しい分析ができます。

②データクレンジングする

データクレンジングとは、購買データにある破損データや重複データなどを特定し、正確なデータへと修正することです。クレンジングによってデータの信頼度が高まり、正しい情報として分析やマーケティング施策、会議資料に活用できます。購買データの分析前に必要な作業です。

③購買データを分析する

準備が整ったら、分析作業に入ります。分析手法はさまざまで、何を目的に分析するのかによって最適な手法が変わります。以下に購買データの分析で使われる分析手法の簡単な例を挙げております。


購買データの分析で使われる手法の例

●クラスター分析:似たもの同士をグループ化する手法で、ターゲット分析などに活用

●アソシエーション分析:データ同士の関係性を見出す手法で、単純な集計では気付かない規則性が見えることがある

●行動トレンド分析:特定シーズンに購買行動をとる顧客を分析する手法で、自社への貢献度が高い優良顧客を見極める

●デシル分析:顧客を購入金額順に10グループに分類し、自社にとって優良な顧客を見極める


 

データ分析のその他の手法については以下の記事で解説していますので、詳しくはこちらの記事で確認ください。

ビッグデータを活用した解析方法とは?

④分析結果を検証する

データ分析後は結果を検証していきます。この時のポイントは、検証や改善を継続的に繰り返すことです。例えば「PC購入者はマウスも買う」という仮説が生まれたら、PC購入者にマウスを勧める接客ができますが、一度きりではなく仮説検証を継続して分析精度を高めていきます。

購買データを分析する際の注意点

購買データの分析の流れを確認したら、作業に入る前に注意点を押さえます。ここでは3つの注意点を紹介します。

注意点①分析に必要なボリュームのデータかを確認する

購買データを分析する際は、説得力のある分析結果にするために、分析に必要なボリュームがあるかどうかを確認いたします。

注意点②購買データを扱える人材を確保する

購買データの分析は誰でも着手できるものではなく、データ分析を扱える専門性が必要です。データ収集し、適切な方法で分析して関係性を見出します。本来はスキルを持った担当者が解析ツールを使って分析しますが、いない場合は社内の人材を育成するか外部委託も検討いたします。

注意点③作業しやすい分析ツールを準備する

分析に利用するデータは大量となり、手動での集計や分析は困難ですので、ツールが必要です。ツールはさまざまな種類やレイアウトがあるため、分析担当者にとって作業しやすいタイプを選択します。

購買データを効果的に活用する方法

購買データを分析した後はマーケティング活動で活用していくことになりますが、どのような方法で成果が上げられるのでしょうか。ここでは3つの効果的な方法を紹介します。

効果的方法①顧客の状況に合ったタイミングでアプローチする

購買データを分析すると、顧客の現在の状況が可視化され、適切なタイミングで新商品の案内やキャンペーンの告知をおこなえるようになります。顧客全体に働きかけるのではなく、狙った顧客へのピンポイントのアプローチにより、コストを抑えた有効な施策となるのです。


顧客の状況に合ったアプローチの例

●浄水器のカートリッジ購入日から一定期間が経ったら、お知らせメール希望者に次回のカートリッジ購入を促すメッセージを配信する

●過去にジュエリーを購入した顧客にジュエリークリーニングサービス開始のDMを送り、来店のきっかけを作る


 

効果的方法②アップセルやクロスセルをおこなう

アップセルは顧客が検討している商品よりも上位のモデルを提案することで、クロスセルとは関連商品の同時購入を提案することです。顧客の単価は上がりますが、成約は決して簡単ではありません。しかし、購買データを分析することで購買傾向がわかり、最適な商品を把握できます。


購買データを活用したアップセル・クロスセルの例

●アップセル:過去の購買データを分析し、ロイヤリティの高い顧客を見つけてハイエンドモデルを提案する

●クロスセル:分析により「テントを買う人はランタンも買う」というデータが出たため、テントとランタンのセット購入キャンペーンを展開する


 

効果的方法③社内データ以外のデータも活用する

自社の購買データには限りがありますので、分析をより効果的におこないたい場合は国の統計や他社の公開データ、マーケティング会社のデータなども活用します。自社のデータを併用することで、これまで気付かなかった顧客ニーズの発見につながることがあります。


自社に蓄積された購買データ以外のデータ例

●政府機関による統計

●地図データ

●交通データ

●インターネットの検索データ


 

購買データを活用した事例

購買データを分析すると、購買行動を予測して店内のレイアウトを工夫したり、顧客ニーズを把握して成功率の高い新製品を開発したりといったことが可能となります。実際に身近では、購買データはどのように活用されているのでしょうか。

購買データを活用してターゲティング、広告配信した事例

購買データは購入商品のカテゴリや購入地域、購入時期から自社製品を購入する可能性のあるユーザーや条件に限定して、効果的な広告配信を実施することにも活用が可能です。

InstagramやYouTubeなどに流れている広告にもこのような購買データによるユーザーの限定を行うことで、より効果的な購買の訴求が実現されています。

電子レシートを顧客理解や商品開発に役立てる事例

電子レシートとは、アプリを通じてレシートの電子データをスマホに送信する仕組みで、経済産業省が進めるキャッシュレスに関する施策の1つです。本人の許可のもと購買履歴の蓄積がおこなわれ、消費者理解が進むと新商品の開発や新たなビジネスチャンスの創出につながります。

 

IoT等を活用したサプライチェーンのスマート化(METI/経済産業省)

複数のデータを合わせてコスト削減を目指す外食産業の事例

外食産業では、注文した食事の購買データだけでなく、店頭に設置したカメラで取得した画像データや、気象情報などの外部データを組み合わせ、仕入れの予測などをおこなっています。コスト削減につながるだけでなく、食品廃棄削減にも取り組めます。

家計簿アプリによる購買データの可視化で投資活用を促す事例

さまざまな金融関連のインターネットサービス会社が、家計簿アプリを提供しています。銀行口座と連携できるため、ユーザーは自身の購買行動をアプリ上でまとめて管理可能です。購買行動の可視化で家計改善し、余剰資金を投資に回してもらおうという企業の狙いがあります。

会員数1億超のPontaなら膨大で多様なデータをマーケティングで活用できる

購買データは正しく分析し、活用することで新商品開発や顧客の購買促進につながります。もしこのような分析や活用に課題を持っているようであれば外部のエキスパートに依頼するのもひとつの手段です。

 

ロイヤリティ マーケティングでは、Pontaのリアルなオフライン購買データとデジタル広告を接続し、配信・分析する法人向けソリューションサービスを提供しています。購買データの活用をお考えの場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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