コラム

2024-06-04

市場調査とは?簡単に解説!やり方やマーケティングリサーチとの違いも

市場調査とは、企業がマーケティングの課題を解決し、商品やサービスを効果的に売り出すために必要な調査のことです。では、具体的にどのようなものなのでしょうか。本記事では、市場調査の定義やマーケティングリサーチとの違い、調査のやり方などをわかりやすく解説します。

市場調査とは

市場調査とは、市場の動向や顧客が求めているものを調べることです。例えば新商品を開発する場合、競合他社の市場占有率に関するデータを集めたり、ユーザーが求める機能を消費者へのインタビューによって調べたりすることが市場調査にあたります。

市場調査の目的とは

市場調査の目的とは、市場の状態やトレンドを正しく把握し、マーケティング活動に役立てることです。

 

過去に売れた商品や現在の市場動向を無視して開発に着手すると、余計な在庫を抱えて損失を生み出す可能性があります。市場の規模や競合他社のシェア、消費者が求めているものへの理解を深めることで、効果的なマーケティング施策につながるのです。

市場調査とマーケティングリサーチの違いとは

マーケティングリサーチを日本語にすると「市場調査」となるため、両者はほぼ同義で扱われることも少なくありません。しかし、厳密な意味はやや異なります。マーケティングリサーチは市場調査の他に製品調査や広告調査も内包し、市場調査より広義的な意味を有するものです。


マーケティングリサーチが内包するもの

  • ・市場調査:市場の状態を調べる
  • ・製品調査:モニターに製品をテストしてもらう
  • ・広告調査:広告を見てもらい、印象や感想を調査する

市場調査とマーケティングリサーチの具体的な違いは、以下の2点です。

目的が異なる

両者の目的は市場を把握してマーケティング活動に役立てることであり、大枠では共通していますが、規模が異なります。

 

マーケティングリサーチの目的は顧客ニーズを把握して事業リスクを軽減させることで、ビジネス全体やマーケティング戦略全体といった広い範囲に及ぶものです。一方、市場調査の目的はあくまでマーケットの正確な現状把握に留まります。

活用方法が異なる

市場調査で得られたデータは過去から現在の市場の把握に使われますが、マーケティングリサーチは現状を踏まえて市場の将来を予測することに活用されます。つまり、市場調査が現在・過去を軸にしているのに対し、未来を軸に考えるのがマーケティングリサーチです。

市場調査のやり方3つ

市場調査のやり方は、大きく以下の3つに分類されます。メリット・デメリットを含めてそれぞれの特徴をチェックしてみましょう。

①定量調査

定量調査とは、具体的な数値で表せるデータを収集・分析する調査方法です。例えば、飲食店のアンケート結果を「料理が美味しいと答えた割合◯%」「料理は普通と答えた割合△%」と数値でまとめられれば、定量調査といえます。

定量調査のメリット

定量調査のメリットとは、把握したい状況や検証したい仮説に対して客観的で説得力のあるデータを得られることです。また、選択肢から選ぶだけの調査が多く、対象者に協力してもらいやすい点もメリットのひとつです。

定量調査のデメリット

定量調査のデメリットとは、リサーチ後にデータを読み解くノウハウが求められることです。数値を分析する知識やスキルが不足していると、調査で得たデータを有効活用するのが難しい場合があります。社内での分析が困難な場合は、リサーチ会社への相談も検討してみましょう。

②定性調査

定性調査とは、調査対象者の言葉や行動など数値化できないデータの収集・分析をする調査方法です。例えば、インタビューを行って商品を使用した人の意見を聞いたり、調査対象者を観察して気付いたことをまとめたりする調査があります。

定性調査のメリット

定性調査のメリットとは、消費者の価値観や行動背景など数値化できない事柄を把握できることです。商品を見たときの反応や発言が調査結果に記載されるため、顧客の生の声がマーケティングに反映されることになります。

定性調査のデメリット

一方のデメリットとは、分析結果が調査者のスキルや解釈に左右されることです。定性調査では、数値化できないデータをインタビューなどから集めます。

 

よって、調査者が消費者に対して話しやすい雰囲気を演出できるかどうかが重要です。また調査者が消費者の意見をどう理解するかで結果が変わることがあります。

③統計データ調査

統計データ調査とは、既に公表されている統計データを調べる市場調査を意味します。内容は経済や社会など多岐に渡り、信憑性のある根拠として会議資料などに活用可能です。データは官公庁や大学のWebサイトに加え、大手調査会社のホームページでも公表されています。

 

例えば弊社では、1億人超のPontaデータの分析技術を有するアナリストが、総務省統計局が実施する「家計調査」のデータを可視化するダッシュボードを構築しました。年月・品目・都市などの項目を選ぶだけで、消費傾向を手軽に把握することが可能です。

 

詳細は、以下の記事をご覧ください。

総務省「家計調査」をビジュアライズ! 消費動向を毎月確認できるダッシュボード公開 地域や品目別の年間購入額ランキングなどを手間なく確認可能|ニュース|株式会社ロイヤリティ マーケティング

総務省「家計調査」ダッシュボードはこちら

統計データ調査のメリット

統計データ調査のメリットとは、アンケートやインタビューなどを自ら実施する必要はなく、コストをかけずスピーディーに信頼性の高いデータを得られることです。統計データ調査はデスクリサーチとも呼ばれ、会社にいながらWeb上で必要な情報を取得できます。

統計データ調査のデメリット

一方のデメリットとは、根拠として適切でないデータを参照してしまう可能性があることです。統計データは膨大にあり、中には古すぎて現在の状況とは合わないものもあります。説得力のある根拠として活用するには、内容を選別して適切な情報を見つける作業が必要です。

定量調査の方法

市場調査に活用できる定量調査には、具体的に以下のような方法があります。

インターネット調査

インターネット調査とは、Web上でアンケートを実施し、調査対象者に回答してもらう市場調査です。パソコンやスマートフォンでいつでも回答でき、表計算ソフトなどを使ってスピーディーに集計できるため、オフラインに比べると回答も集計も迅速かつ手軽に実施できます。

 

弊社では、企業のインターネットリサーチを支援しています。専任スタッフが調査設計から集計・分析まできめ細かな対応を行う体制を構築し、画面作成から最短で10営業日での納品が可能です。

インターネットリサーチ| 株式会社 ロイヤリティ マーケティング

パネル調査

パネル調査とは、調査対象者を固定(パネル化)し、一定期間に同じ質問を繰り返して回答の変化を観察する市場調査のことです。継続的に調査することで時系列に沿った精度の高い調査が可能で、対象を固定することで基本情報の取得が一回で済むため効率よく市場調査ができます。

 

Pontaを運営する弊社は約220万人の単独パネルを保有し、購買データを活用した精度の高い市場調査を実現可能です。

Pontaリサーチ | 株式会社 ロイヤリティ マーケティング

 

また、自動車や金融、不動産など幅広い項目に関する自主調査の結果をデータベース化し、リサーチや分析の軸として活用できるようにしています。パネルを活用したターゲット配信により、迅速かつ低コストなリサーチを実現したい方はぜひ下記をご覧ください。

Special panel | 株式会社ロイヤリティ マーケティング

訪問調査

訪問調査とは、調査員が対象者の自宅を訪問し、インタビューなどを通じてデータを収集する市場調査です。調査員を使うため高いデータ回収率を期待でき、質問量が多い場合であっても、アンケート用紙を使った調査と比べて対象者が負担を感じにくいメリットがあります。

覆面調査

覆面調査とは、店舗スタッフには事前に知らせずに、覆面調査員が顧客としてサービスを受け、評価を行う市場調査のやり方です。主観的な評価を含まない現場のリアルな状況を把握でき、顧客視点で現在の課題を発見することにつながります。

 

弊社は来店客へ店舗評価に関するインターネット調査をおこなう「Customer X 」というサービスを提供しております。自社・競合他社間の比較から課題解決策を抽出することが可能となり、サービス改善や売上向上につながる示唆を提供します。

Customer X | 株式会社 ロイヤリティ マーケティング

郵送調査

郵送調査とは、調査対象者にアンケート用紙を郵送して記入・返送してもらう調査方法です。インタビュアーを用意する必要がない分、比較的低コストで実施できます。インターネットに不慣れな高齢者やメールアドレスがわからない顧客も、調査対象にできる点もメリットのひとつです。

定性調査の方法

また市場調査に活用できる定性調査の方法としては、以下のようなものがあります。

グループインタビュー

グループインタビューとは、5〜7名の参加者が司会者の進行に従って座談会形式で意見交換をする市場調査です。参加者同士の意見交換によって本音が出たり、参加者同士のコミュニケーションが活発化されて結果として新たな気付きやニーズを得られたりする可能性があります。

 

弊社はグループインタビューもサポートしており、インタビューの対象となる商品について購買データと掛け合わせて見ることが可能です。

グループインタビュー | 株式会社 ロイヤリティ マーケティング

デプスインタビュー

デプスインタビューとは、調査者が対象者に対して1対1でインタビューを行う市場調査です。他者の影響を受けず、一人の対象者の発言を丁寧に掘り下げることで本音を聞き出せたり、お金や健康といったセンシティブなテーマにも踏み込んで質問できたりするメリットがあります。

 

弊社はデプスインタビューの実施も支援しており、購買データと掛け合わせて見ることも可能です。

デプスインタビュー | 株式会社 ロイヤリティ マーケティング

観察調査

観察調査とは、店舗や対象者の自宅などで対象者の生活や行動を観察する市場調査です。店舗で顧客が買い物をするルートや手に取った商品、普段の何気ない行動を観察することで、現状を深く理解し、新たな知見を得られることがあります。

統計データ調査の方法

市場調査に活用できる統計データ調査のやり方は多岐に渡るため、ここでは代表的な3つの方法を紹介します。

政府統計の総合窓口(e-Stat)を活用する

政府統計の総合窓口(e-Stat)とは、各府省が公表するデータをまとめた政府統計のポータルサイトのことです。欲しいデータを簡単に検索・ダウンロードでき、グラフ形式で表示できるため、統計データを得られるだけでなく、資料としても役立つでしょう。

経済産業省の統計データを利用する

経済産業省は社会の動向を把握するために統計調査を実施し、さまざまな統計を作成してデータとして経済産業省のホームページで公開しています。スライドや動画を活用したわかりやすい解説があり、信頼性が高いデータのため、市場調査で説得力のあるデータが必要なときに便利です。

総務省の統計データを活用する

総務省のホームページでは、国勢調査や人口統計、消費者動向指数など多様な統計データが公開されています。特に情報通信に関するデータを探している場合は「情報通信統計データベース」がおすすめです。インターネットやテレビなどに関する市場動向が詳しくまとめられています。

市場調査の基本的な手順

市場調査の具体的な手順は調査方法によって異なりますが、大まかな手順は共通しています。基本の手順を把握して市場調査の流れをイメージしておきましょう。

①市場調査の目的を明確にする

まず、市場調査の目的を明確にしましょう。目的によって集めるべきデータや市場調査のやり方、設問内容が変わります。特に定量調査では数値を扱うため、目的をより具体的に絞ることが重要です。

②市場調査の予算を決定する

目的がはっきりしたら、コストや所要時間を踏まえて市場調査の予算を決めましょう。例えばインタビュー形式の場合は調査員の人件費が発生し、アンケートを郵送する場合は郵送料がかかります。

 

予算は多ければ多いほどよいという訳ではなく、目的にあった調査方法を実施可能な金額であれば問題ありません。

③市場調査のやり方を決める

調査目的を踏まえて、市場調査のやり方を選定しましょう。先述のように市場調査のやり方は定量調査・定性調査・統計データ調査の3種類ですが、統計データは市場調査の設計や仮説立案にも関わるため、1次データ獲得の前にリサーチしておくとよいでしょう。

④質問内容を決める

調査方法が決定したら、質問の表現方法や質問のボリュームなどを詳しく決めていきます。質問内容を考えるときは、聞き方が無意識な誘導につながらないように注意しましょう。

⑤市場調査を実施して結果をまとめる

市場調査の設計・準備が完了したら、計画に基づいて市場調査を実施します。計画通りに進むとは限りませんので、予めさまざまな状況を想定して準備を進めておきましょう。

⑥結果を分析する

調査終了後、データを集計して結果を分析をし、レポートを作成します。市場調査の目的は市場の現状を正確に把握することですので、主観的な内容にならないように、データに従って結果を正しくまとめましょう。

⑦分析から得られた知見を意思決定に役立てる

市場調査の内容や分析で得た知見を社内でシェアし、意思決定につなげましょう。例えば、商品の改良やマーケティング施策の立案などに活用できます。

市場調査を実施する際のポイント

最後に、市場調査の実施にあたって押さえておくべき4つのポイントを紹介します。

自社の課題を整理する

市場調査の目的を設定するときは、自社の課題整理から始めるのがおすすめです。企業のマーケティング活動にはさまざまな課題があり、情報を整理しないまま進めるとぼんやりとした目的になってしまいます。課題を整理して情報の重複や漏れをなくすことで、目的が明確化されるでしょう。

 

課題が多すぎて絞り込みが困難な場合、解決優先度の高い課題はどれかという視点で考えるとスムーズです。

市場調査前に仮説を立てる

市場調査には事実を集めるだけのタイプと仮説を立てて検証するタイプがあり、後者の場合は事前にいくつかの仮説を準備することが重要です。仮説があると、検証のためにどのような情報やデータを集めるべきかがわかり、調査の作業効率が上がります。

市場調査のターゲットを絞る

ターゲットが曖昧のまま無計画に市場調査を行うと、求めている結果が得られない可能性があります。自社の商品やサービスの対象となる消費者を年齢層や性別、地域、価値観などで細かく絞り込み、意義のある市場調査にしましょう。

調査対象者の目線で質問内容を検討する

市場調査を設計するときは、調査対象者の目線に立つことが大切です。わかりやすい表現で質問したり、負担にならない質問量になるように調整したりすることで対象者が回答しやすくなり、円滑に調査を進められるでしょう。

ロイヤリティマーケティングではさまざまな市場調査サービスをご用意しております

共通ポイントサービスPontaを運営する弊社は、インターネットリサーチやグループインタビュー、覆面調査など多様な市場調査サービスを提供しています。

 

また、購買情報のデータと掛け合わせた分析や商品のトライアルと組み合わせたリサーチなども行っており、多面的な分析によって、マーケティング戦略のヒントになる情報を獲得可能です。

 

市場調査のやり方にお困りの方から市場調査によってより深い示唆を得たい方まで、ご希望に応じてサポートいたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちらから

コラム記事一覧

お気軽にお問い合わせください

詳しくお知りになりたい方は
お問い合わせ