コラム
2024-12-23
顧客分析とは?データを分析する方法とおすすめのフレームワークを9つ紹介
顧客分析は、顧客のニーズや特性を理解し、競合に負けない事業戦略を構築するために不可欠です。今回は、顧客分析の基本的な考え方から便利なフレームワーク、分析の手順までを網羅的に解説します。マーケティング施策の見直しやビジネス拡大のヒントとしてお役立てください。
目次
顧客分析とは
顧客分析とは、顧客の属性や行動データを分析し、顧客理解を深めることです。顧客が求めていることや不満に感じていることを理解すると、顧客にマッチしたマーケティング施策や事業戦略を立案できます。
顧客に最適なアプローチを取ることで、商品の満足度や企業への信頼度が向上し、売上アップやビジネスの拡大が期待できるのです。
顧客分析に使用するデータ
さまざまな種類のデータを収集・活用して顧客分析を実施すると、顧客のニーズや行動をより深く理解することにつながります。顧客分析で使うデータの例は以下の通りです。
顧客分析で使うデータ例
- 基本属性(年代・性別・居住地・職業・家族構成など)
- 購買履歴(購入商品・購入時期・購入金額など)
- 行動履歴(キャンペーン参加の有無やWebサイトのクリック回数など)
- NPS®
基本属性は、どのような顧客層が自社の商品に興味を持っているかを理解するのに役立ちます。購買履歴は、何を、いつ、どれだけの価格で購入したかを示し、リピーターを特定したりプロモーション施策を改善したりするときに便利です。
行動履歴は、顧客の関心や商品購入に至るまでのプロセスを把握するときなどに活用できます。NPS®は、他の人に商品やサービスをどのくらい推奨するかを示し、新規事業の開発やサービス改善に有用です。NPS®の詳細は下記をご覧ください。
NPS®/推奨度調査とは?メリット・デメリットや調査方法などをわかりやすく解説
注:ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、ネット・プロモーター・スコア、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。
顧客分析によってわかること
上記のデータを用いて顧客分析を行うと、次のような内容がわかります。
顧客分析で明らかになる内容
- 顧客ニーズ
- 顧客の特性
- 顧客ロイヤルティ
- マーケティングの効果
顧客ニーズとは、顧客が抱く期待や要求のことです。行動履歴やNPS®調査などで把握でき、ニーズを深堀りすることでビジネスの成長に役立ちます。顧客の特性は、企業がターゲットとする顧客の年齢や性別、価値観などを表し、把握することで戦略立案に有効です。
顧客ロイヤルティとは企業に対する愛着や信頼のことで、顧客分析によって顧客ロイヤルティの現状を把握でき、長期的な関係を築くための基盤作りに役立ちます。マーケティングの効果は、実施した施策がどの程度成功しているかを示すものであり、改善策を考えるときに便利です。
顧客分析を行うメリット
顧客分析にはさまざまなメリットがあり、大きく分けると次の2つに集約できます。
商品開発やサービス改善に役立つ
1つめのメリットは、顧客を深く理解することで新商品の開発やサービスの改善につながることです。顧客分析を実施すると自社のターゲットやそのニーズ、特性がわかり、ターゲットのニーズを商品やサービスに反映できます。
また、顧客自身が自覚していない潜在ニーズを見つけ出せれば、顧客の本当の望みに応える商品や、顧客の悩みを解決するサービスを開発することも可能です。競合と差別化された商品やサービスを生み出すことで、市場優位性の確立にもつながるでしょう。
施策や戦略の見直しに活用できる
もう1つのメリットは、マーケティング施策やマーケティング戦略の改善に役立つことです。施策や戦略の立案・実施前後に顧客の変化を調べると、成功の理由や改善点を把握できます。
分析を踏まえた合理的な判断により、成果を上げる可能性が高い広告は促進し、有効性の低いプロモーション活動は排除することが可能です。リソースを効率的に活用できれば、費用対効果の最適化を実現できるでしょう。
顧客分析に役立つおすすめフレームワーク
顧客分析を実施するときは、フレームワーク(思考するための枠組み)を活用すると便利です。さまざまなフレームワークの中から、代表的な9つのフレームワークを紹介します。
RFM分析
RFM分析とは、顧客の直近購入日(Recency)・購入頻度(Frequency)・購入額(Monetary)の3指標に基づいて顧客をグルーピングする方法です。リピート率が高い顧客や競合他社に流れた顧客などに分類することで、顧客に応じた施策を立案できます。
例えば、購入金額が高くても最近購入していない顧客は離反顧客、購入金額が低くても購入頻度の高い顧客は安定顧客などに分類可能です。
セグメンテーション分析
セグメンテーション分析は、顧客を属性や購入履歴、価値観などでグループ分け(セグメント)するフレームワークで、既存顧客の共通点を明確にします。自社のターゲットを選定しやすくなり、ターゲットに合わせた施策を打ち出せることがメリットです。
例えば、セグメントA(20代・女性・東京)、セグメントB(20代・男性・東京)、セグメントC(20代・男性・大阪)を作成した場合、A〜Cの中からターゲットとなるセグメントを選びます。
デシル分析
デシル分析とは、顧客を10グループに分けて収益度の高いグループや低いグループを調べる方法です。デシルはラテン語で「10等分」を指す言葉で、購入金額に応じてグループ分けします。各グループの売上への貢献度がわかれば、貢献度に応じた施策を立案できることがメリットです。
ただし、購入金額の高い顧客がリピーターとは限りません。一度だけ高額の買い物をする顧客や、購入頻度が高くても最近は購入していない顧客が含まれる可能性があり、分析の際は注意が必要です。
CTB分析
CTB分析とは、Category(カテゴリ)・Taste(テイスト)・Brand(ブランド)の3要素に基づいて顧客を分類する方法です。カテゴリは食品や衣料品など、テイストは色柄など、ブランドはメーカー名などを表し、顧客の好みに応じたアプローチを展開できます。
商品にフォーカスした分析方法であり、インテリアやファッションといった趣味嗜好に左右される商品と相性抜群です。購買予測や市場トレンドの把握に役立てましょう。
行動トレンド分析
行動トレンド分析とは、顧客の過去の行動パターンから時間帯ごとや季節ごとの需要の変化を分析する手法です。例えば、「家族連れは日曜日の昼に外食することが多い」という行動トレンドがわかると、ターゲットのタイミングに合わせて広告を配信できます。
行動トレンドを分析すると、アプローチに最適なタイミングがわかり、費用対効果の高いマーケティング施策につながるでしょう。
コホート分析
コホート分析とは、同じ属性や同じ行動パターンといった同じ傾向を持つグループ(コホート)を、一定期間追跡し、行動の変化を分析する手法です。顧客の定着や離脱を時系列で追うことで、顧客維持率の向上に役立ちます。
例えば、動画配信サービスの新規顧客をコホートに分けて追跡し、入会から離脱までの行動を理解すると、離脱防止に役立つ改善策の立案が可能です。
LTV分析
LTV(Life Time Value)とは顧客生涯価値を意味し、顧客が生涯を通じて企業にもたらす累計利益を調べることをLTV分析といいます。LTV分析の活用は、どの顧客に重点的にリソースを配分すべきか見極めるのに役立ち、マーケティング活動の効率化に有効です。
顧客満足度の向上やリピート購入の促進、予算配分の最適化など、企業の長期的な収益性の確保を考えるときに活用しましょう。
CPM分析
CPM(Customer Portfolio Management)分析とは、在籍期間・累積購入金額・離脱期間の3指標に基づいて顧客を10グループに分ける方法です。新規顧客から長期の優良顧客まで幅広いグループに分類でき、それぞれに適した施策を打ち出せます。
先述したRFM分析とよく似ていますが、違いはアプローチする期間です。「直近の購入日」などを指標とするRFM分析は、短期的な売上の向上に活用され、「累計購入金額」や「期間」を指標とするCPM分析は、長期的な優良顧客の育成に役立ちます。
パイプライン分析
パイプライン分析とは、「アポイント獲得→商談→成約」といった営業活動の流れを1本のパイプのように並べて経路を可視化し、各フェーズの状況を分析する手法です。顧客が成約に至るまでのプロセスが可視化され、営業活動の効率化や受注率の向上につながります。
例えば、問い合わせから成約までのプロセスの中で「顧客がいつ離脱したのか」がわかると、改善に向けて的確にリソースを投入できるため、少ない人員でも効率的に改善策を打ち出せるでしょう。
顧客分析を進めるプロセス
顧客分析を効果的に進めるためには、適切なプロセスを踏むことが不可欠です。分析を始める前に、以下の手順を理解しておきましょう。
①目的を設定する
顧客分析を始めるプロセスで最も重要なのは、明確な目的設定です。「リピーターを40%増やす」「新規顧客に向けた新商品の開発」など、ゴールを具体的に決めましょう。目的が曖昧だと、どのデータを収集し、どのように活用すべきかが不明確になり、効果的な結果が得られません。
②目的に適した分析方法を選ぶ
目的が決まったら、それに合わせて分析方法を選びましょう。例えば、リピーターの特性を調べる場合はRFM分析、季節ごとの購入傾向を明らかにしたい場合は行動トレンド分析が適しています。複数の手法を組み合わせると、多角的な視点での分析が可能です。
③ターゲット層を決める
分析対象となるターゲット層を明確にしましょう。例えばリピート購入を増やしたい場合、リピーターを分析することになりますが、購入頻度が一定のリピーターもいれば、過去の購入回数が多いものの、現在は一切購入していないリピーターもいます。
複数のセグメントを用意して比較し、分析目的に合致したターゲットを設定しましょう。
ペルソナも設定可能
潜在ニーズを探るなど、顧客をより深く理解して分析する必要があるときは、ペルソナを設定しましょう。ペルソナとは、架空の理想的な顧客像を詳細に設定したものです。
例えばターゲットの場合、「30代・女性・都市部在住」のように実際に存在する顧客をグループで設定します。一方のペルソナは「鈴木A子・女性・35歳・渋谷区在住・趣味は海外旅行」のように具体的ですが、実際には存在しません。
ペルソナを設定し、ペルソナの価値観や考え方を理解することで、ユーザー視点での戦略が可能となります。ペルソナの思考を理解して潜在ニーズを把握すると、商品やサービスが競合と差別化され、ブランディングの構築にも効果的です。
共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営する弊社は、Pontaビッグデータを活用した顧客分析や、ペルソナ像の構築を行っています。クレジットカード会社様の事例では、特定したペルソナを活用してターゲットに刺さるプロモーションを実施しました。
事例の詳細については、下記をご覧ください。
④カスタマージャーニーを構築する
カスタマージャーニーとは、顧客が購買に至るまでのプロセスを時間軸に沿って整理・視覚化したものです。顧客が商品を認知するタイミングや関心を持つきっかけ、購入に至る理由が視覚的にわかり、どのタイミングでどのようにアプローチすべきかを検討しやすくなります。
⑤顧客ニーズを深堀りする
カスタマージャーニーに基づいて、顧客が何を求めているのかを徹底的に分析しましょう。例えば、顧客が特典付きの新商品を購入する場合、元々新商品を知っていて特典が後押しになるパターンや、新商品ではなく特典の方に魅力を感じるパターンなどが考えられます。
顧客が購買に至った理由を探り、潜在ニーズを明らかにしていきましょう。
⑥開発・改善に役立てる
深堀りしたニーズに合致するような開発案や改善策を提案し、購買率の向上や顧客満足度アップを目指しましょう。例えば、顧客が品質よりも価格の安さを求めていると判明した場合は、商品のコストを下げる施策が必要です。
効果的な顧客分析を実現するコツ
顧客分析を成功させるために、以下の2つポイントを押さえましょう。
データクレンジングを実施する
データクレンジングとは、データのエラーや重複を修正・削除し、データの品質を向上させる作業のことです。分析前にデータを整備することで、正確なデータに基づいた分析が実施され、結果の信頼性が高まります。
外部データも活用する
社内データだけでは不十分な場合、外部データを活用するのも効果的です。例えば、官公庁や業界団体のデータを活用したり、リサーチ会社に依頼してデータ収集したりする方法があります。
Pontaを活用して多角的に顧客分析をするならロイヤリティ マーケティングへ
数多くの競合商品の中から自社商品を継続的に選んでもらうには、顧客分析が不可欠です。顧客を理解することで、自社の顧客像や顧客ニーズを把握でき、効果的なマーケティング施策の立案につながります。
しかし、顧客分析にはフレームワークの活用が必要であり、多様な手法の中から適切なタイプを選ぶのは容易ではありません。また、分析に利用するデータを自ら揃えて、正しく整備するには多大な労力を要します。このような課題があるときは、外部機関へ相談するのも1つの方法です。
弊社は、Ponta会員に紐づいた基本属性や購買データ、価値観データを活用し、多角的かつ効率的に顧客を分析します。また、分析にとどまらず、潜在顧客の特定やプロモーションへの展開までを一貫してサポート可能です。
顧客分析に課題を感じている方や、顧客分析を活用して施策を見直したい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
お気軽にお問い合わせください
詳しくお知りになりたい方はお問い合わせ