コラム

2024-03-28

ゼロパーティデータとは?マーケティングでの活用事例やデータの収集方法を詳しく解説

これまでマーケティングで活用されてきたサードパーティクッキーの規制により、ゼロパーティデータが注目されています。本記事では、ゼロパーティデータの意味や注目される背景、収集方法まで解説します。活用事例も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

ゼロパーティデータとは

ゼロパーティデータとは、顧客自身が企業と積極的に共有するデータを意味します。例えば、趣味に関するアンケートの回答などです。ゼロパーティデータは「消費者データ」と呼ばれるものの一部で、消費者データにはゼロパーティデータ以外のデータもあります。それでは、ゼロパーティデータをその他の消費データと比較してみましょう。

その他の消費者データとの違い

消費者データとは、消費者の属性や行動に関するデータのことです。企業が消費者の動向やニーズを把握し、ビジネスで役立てるために収集します。消費者データは、ゼロパーティデータを含む以下の4種類に分類できます。


4つの消費者データとその例

● ゼロパーティデータ:顧客に同意を得て実施するアンケート、ヒアリングの回答

● ファーストパーティデータ:住所などの個人情報、購入履歴

● セカンドパーティデータ:クッキーの情報、自社で収集が困難な収入などの情報

● サードパーティデータ:国による人口統計情報


ゼロパーティデータとの違いや関係をチェックしながら、各データの具体的な意味を把握していきましょう。

ファーストパーティデータ

ファーストパーティデータとは、顧客の同意を得た上で企業自身が獲得する顧客データのことです。例えば、顧客の住所や自社ECサイトの購買履歴など、顧客の同意を得て入手できる情報を指します。

ゼロパーティデータとファーストパーティデータは、自社で入手する顧客のデータという点は同じです。しかし、ファーストパーティデータは、顧客が意図的に提供する情報ではないという部分がゼロパーティデータと異なります。

セカンドパーティデータ

セカンドパーティデータとは、企業自身が保有するデータではなく関連する他企業が獲得したデータです。例えば、航空会社と提携関係のある旅行会社が顧客データを共有し、予約した航空券の行き先にマッチした広告を発信するといった使われ方があります。

セカンドパーティデータとゼロパーティデータは、どちらも顧客に関する情報という点で同じです。しかし、自社で獲得・保有したデータかどうかという点で異なります。

サードパーティデータ

サードパーティデータとは、第三者機関が収集したデータのことです。例えば、国のオープンデータやリサーチ会社による統計データなどが該当します。企業とは直接関係のない外部が収集するという点がゼロパーティーデータとは異なり、データを扱う際は情報源の信憑性が重要となります。

ゼロパーティデータが注目される背景

現在、これまで企業で活用してきたセカンドパーティデータやサードパーティデータなどに代わって、ゼロパーティデータを活用していこうとする流れが世界的に生まれています。ゼロパーティデータが注目されているのは、次のような背景があるためです。

複数のブラウザにおけるクッキーの廃止

ゼロパーティデータが注目される重要な理由の1つがクッキーの廃止です。

 

そもそもクッキーとは、Webサイトを訪問したユーザーの情報を一時的に保存する仕組みのことを意味します。データの一時保管によりユーザーが情報を再入力する手間を省き、企業はユーザーの訪問回数を計測してマーケティングに役立てるなどの大きなメリットがありました。

 

しかし、クッキーの中には、ユーザーが知らないうちに第三者によって行動履歴などを収集される可能性のあるサードパーティクッキーも含まれています。プライバシー保護の観点から、SafariやChromeをはじめとした複数のブラウザでサードパーティークッキーの廃止が進んでいるのです。

 

そして、クッキーの代わりにファーストパーティデータやゼロパーティデータを活用する流れへと変わってきています。特にゼロパーティデータは、ユーザーの意図に反して勝手に共有されるものではないため、今後ますます重要視されていくことでしょう。

リピーター確保の重要性が増している

ゼロパーティデータが注目されるもう1つの背景として、マーケティングでリピーターの確保が重視されていることも挙げられます。

 

現代では人件費の高騰や価格競争の激化などにより、新規顧客の獲得は非常に困難です。そこで重要になってくるのがリピーターの確保で、顧客に何度も購入してもらうためには、企業と顧客との間に良好な関係性を築くことが求められます。

 

ゼロパーティデータには、企業や商品に対する顧客自身の想いや願望が含まれるため、顧客理解を深めて顧客が求めるサービスを提供し、リピーターを増やすのに重要な役割を担うのです。

ゼロパーティデータを活用するメリット・デメリット

ゼロパーティデータを活用する前に、メリット・デメリットの両面を理解しておきましょう。

ゼロパーティデータの活用メリット

ゼロパーティデータを活用することで、以下のメリットを得られる可能性があります。

顧客理解につながる

ゼロパーティデータを活用すると、顧客理解を深めることにつながります。ゼロパーティデータは顧客自らが提供する情報であり、顧客の本音が反映される可能性が高いからです。

 

ゼロパーティデータには、商品やサービスの満足度や不満点などが含まれています。顧客が抱いている願望や悩みを理解することで、商品の改良点やサービスの改善点を知るヒントになり、顧客満足の向上につながるでしょう。

ロイヤルカスタマーの育成に役立つ

ロイヤルカスタマーとは、企業やブランドに愛着を持って繰り返し購入する顧客のことで、ゼロパーティデータはロイヤルカスタマーの育成にも役立ちます。ゼロパーティデータによって顧客理解が深まり、顧客との良好な関係を構築して、要望に沿ったサービスを提供できるからです。

 

例えば、顧客が企業のWebサイト上で自分の嗜好について答えた場合、回答に基づいて企業が顧客の好みに沿ってアプローチすると、顧客は「自分のことをわかってくれている」と感じて企業やブランドに対する信頼や愛着が強まる可能性があります。

ポストクッキー時代に合ったマーケティングが可能になる

ゼロパーティデータを活用することは、ポストクッキー時代に即したマーケティング施策につながります。


クッキーを活用した従来の方法では、顧客の行動をトラッキングして広告が表示されるため、監視されているという不安を抱かせる可能性がありました。しかし、ゼロパーティデータは顧客の同意を得てデータが収集されるため、プライバシーを守りながら適切に情報を管理できるのです。

ゼロパーティデータの活用デメリット

ゼロパーティデータには、以下のようなデメリットもあります。

収集にコストがかかる

ゼロパーティデータを収集するためには、顧客が情報提供するコンテンツの開発費やデータ収集をお知らせする広告の費用など、さまざまなコストがかかります。また、情報提供した顧客へのプレゼントや商品割引といった対価の準備も必要です。

顧客の同意を得る手続きが必要となる

顧客のプライバシーを尊重するために、ゼロパーティデータの収集には顧客の同意が必要です。例えば、Webサイト上での入力フォームやメールなどを使った手続きの方法があります。時間と手間がかかるのが、ゼロパーティデータのデメリットです。

ゼロパーティーデータの収集方法と企業の活用事例

ゼロパーティデータは、顧客が自発的に提供するという性質上、積極的に共有したくなるような手法で収集されるのが一般的です。ここでは主に3つの方法について解説します。

収集方法(1)顧客へのヒアリングを実施する

ヒアリングは定性調査の1つで、電話やメール、SNS、Webサイト上のチャットなど幅広いコミュニケーションチャネルで実施される方法です。定性調査とは数値化できないものを調べる方法のことで、好みや行動理由、価値観などを調べるときに使われます。

動画配信サービスの事例

ある動画配信サービスでは、新規会員登録時にメールアドレスや支払い方法などの入力後、好みの作品を3つ選ぶように促し、回答すれば好みに合う作品が自動的におすすめリストに表示されます。快適にサービスを利用できるようにすることで、顧客ロイヤリティを向上させた事例です。

収集方法(2)アンケートを実施する

Webサイト上のアンケートや郵送調査によるアンケートなどは定量調査に該当し、顧客に同意を得た上で自主的に答えてもらう調査方法です。定量調査とは数値化できる情報を調べる方法で、ヒアリングと違っておすすめ度や満足度など点数をつけて評価してもらいます。

 

アンケートの実施やリサーチの方法にお悩みの場合は、Pontaリサーチのご利用もご検討ください。

銀行の事例

ある銀行では、自社のWebサイトにビジネスの目標やお金の悩みなどに関するアンケートを表示させ、順番に回答すると顧客が求めるサービスを提示する仕組みを作りました。ゼロパーティデータを活用し、情報を集めるだけでなく顧客の悩みに寄り添って顧客満足度を上げた事例です。

収集方法(3)SNSを活用する

顧客がSNSに投稿している商品の感想や使い方の例を集めるという方法も有効で、ゼロパーティデータで利用者の生の声を収集でき、同時に口コミの拡散も期待できます。企業が用意したハッシュタグをつけて投稿するキャンペーンなど、協力してもらうための仕掛けを用意しましょう。

航空会社の事例

ある国の航空会社では、その国に行ったら訪れたい場所や試してみたい食べ物をSNSで募集するキャンペーンを開始し、旅行者の興味関心を調査しました。最終的に10万件以上のゼロパーティデータを収集し、約5億円の売上を記録するほどの成功を収めた事例です。

ゼロパーティデータをマーケティングで活用する際のポイント

最後に、ゼロパーティデータを実際に活用するときのポイントを解説します。ゼロパーティデータを円滑に収集してマーケティングで役立てるために、事前にポイントを把握しておきましょう。

質問の仕方や内容を工夫する

ゼロパーティデータのアンケートやヒアリングでは、聞き方や質問内容を工夫して顧客が協力しやすい状況を作り出し、顧客が適切に回答できるようにして精度の高いデータを収集することが重要です。

 

ゼロパーティデータは顧客の同意が必要なため、答えにくい質問や時間がかかりすぎるアンケートでは情報が集まりにくいです。かといって、2択や3択の選択式のみのアンケートにすると、適当に回答される可能性があります。そこで、以下のような工夫を考えてみましょう。


ゼロパーティデータの設問の工夫例

 ● 文字の大きさやWebサイトのレイアウトを工夫して読みやすくする

 ● 設問をシンプルにする

 ● 冒頭にアンケート回答の目安時間を記載しておく

 ● 回答を選択式だけにせず、適度に記述回答も入れて手を抜きにくくする


 

データ収集の目的や結果を示す

ゼロパーティデータを収集する際は、顧客に対してデータ収集の目的や結果を明確にしておきましょう。目的が不明確だと企業に対して不信感を抱かせる可能性があるからです。

 

また、ゼロパーティデータの目的や結果の共有は、顧客と良好な関係を築くためにも必要です。回答した内容が商品やサービスにきちんと反映されている旨を示すと、信頼を獲得しやすくなります。


データ収集の目的や結果の説明例

 ● 目的:サービス向上のためや改善点を把握するため

 ● 結果:アンケート結果の集計表や結果を反映した商品の改善点


特に、結果を公表することは次回のゼロパーティデータの収集につなげるためにも重要です。顧客に「情報を提供してよかった」と思ってもらうことで、次回以降も協力してもらえる可能性があります。

 

データの収集結果を確実に見てもらえるように、メルマガや会員冊子で報告するのもよいでしょう。

 

情報提供者へ特典を用意する

自主的に情報を提供してもらうには、適切に回答することで報酬がもらえるということを顧客へ示す必要があります。

 

協力するメリットがなければ、顧客に時間を割いてもらうのは難しいでしょう。また、仮に回答してもらえたとしても、10問中全て同じ記号をチェックするなど、せっかくデータを収集しても精度の低い内容になる可能性があります。

 

そこで、以下を参考に協力のお礼を用意しましょう。


情報提供の報酬例

 ● 公式オンラインサイトで使える割引クーポン

 ● 回答者の中から抽選でプレゼントを進呈


 

ポストクッキー時代にデータ活用するならロイヤリティ マーケティングへ

クッキーを活用した従来のマーケティングから脱却し、顧客と良好な関係を築きながらマーケティングで成果を出すには、ゼロパーティデータやファーストパーティデータなどを用いたデータ活用が欠かせません。しかし、具体的に何から始めたらよいのか迷う方も多いのではないでしょうか。

 

共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営する弊社は、Pontaビッグデータ分析で培ったノウハウを駆使し、貴社のデータ活用をサポートします。ゼロパーティデータの収集支援も可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。 

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