コラム

2024-01-31

マーケティングにおけるインサイトの意味とは?調査方法や購買に導く実例を解説

近年、マーケティング戦略において「インサイト」が注目されています。インサイトとはどのようなもので、追求することで企業にはどんなメリットがあるのでしょうか。本コラムでは、インサイトの言葉の意味から具体的な調査方法、実例までを詳しく解説します。

マーケティングにおけるインサイトとは

そもそもマーケティングにおけるインサイトとは、何を意味するのでしょうか。まずはインサイトの基本情報として、言葉の定義や似た言葉との違い、注目される背景について説明します。

マーケティングにおけるインサイトの意味

一般的なインサイトの意味とは「洞察」や「見抜くこと」ですが、マーケティングでのインサイトとは、消費者自身も気づいていない意識や動機、行動のことを意味します。例えば商品を購入する際、「なんとなく決めた」といったような消費者本人も明確に説明できない行動です。

マーケティングにおけるニーズとインサイトの違い

インサイトに似た言葉としてニーズがあります。両者の違いは、自身の欲求に気づいているかどうかです。ニーズには消費者が明確に意識する「顕在ニーズ」と薄々気づいている深層意識の「潜在ニーズ」の2つがあり、程度の違いはあれどどちらもインサイトと違って自覚されています。


消費者の行動別に見るニーズとインサイトの違い

【顕在ニーズ】どんなものが欲しいのがわかっており、自ら商品を探して購入する

●【潜在ニーズ】具体的な商品はわからず、欲求にマッチする商品を提案されたら購入する

●【インサイト】商品を見て初めて自分が欲しかったことに気づく


 

マーケティングでインサイトが注目される2つの背景

昨今、マーケティングにおいてインサイトが注目されているのは、時代の変化によってマーケティング戦略が変化しているためです。具体的に、以下の2つの大きな背景について説明します。

マーケティング戦略がニーズを創り出す方向へ変わった

現代は物が溢れて飽和状態であり、どれを選んでも大差ないため、ビジネスで競合他社と差別化を図るのは難しくなってきています。そのような状況で企業のとるマーケティング戦略は「消費者のニーズを見つける」というよりも、「ニーズを創出する」という方向へ変わりつつあるのです。

IT技術の進化でインサイトを発掘しやすくなった

技術の発達により、インターネット上の行動を追跡するCookieが利用できるようになったことも影響しています。データからHPの訪問回数や購入履歴を分析できるようになり、消費者のインサイトを発掘することで効果的なマーケティングが見込めるようになったのです。

マーケティングでインサイトを追求するメリット

近年、ビジネス戦略においてインサイトを意識した取り組みやマーケティング活動が増えていますが、追求することで企業は何を得られるのでしょうか。ここでは、マーケティングにおけるインサイトの3つのメリットについて解説します。

顧客満足度の向上につながる

インサイトを把握・分析すると顧客の購買行動に関する動機が明らかになり、顧客が求める商材の提供につながります。また、分析によって顧客が言葉では説明しない不満がわかると、商材の改善点の把握が可能です。こうした取り組みにより、顧客満足度の向上につながります。

商材や企業のファン化が進む

マーケティングにおけるインサイトの追求により、企業が顧客のニーズに合った価値を提供できるようになると、企業と顧客の関係が深まります。商材や企業への固定ファンが増え、ブランドイメージの向上につながり、リピート購入や口コミの拡散が期待できるのです。

ビジネスでのシェア拡大を狙える

マーケティングでのインサイト分析により、最新の市場傾向を把握しやすくなり、競合他社との差別化を図りながら新規顧客へアプローチできます。市場での自社のポジションを確立できれば価格競争に巻き込まれるリスクが低くなり、安定的にビジネスを展開できるのがメリットです。

マーケティングでインサイトを調査する方法

マーケティング戦略にインサイトを活用することになった場合、具体的にどんな方法で実施するとよいのでしょうか。ここでは、マーケティングにおけるインサイトを調査する方法と大まかな流れについて解説していきます。

(1)マーケティングでインサイトを探る目標を決める

まずはビジネスでインサイトを追求することで何を得たいのかを明確にし、有効なマーケティング活動にすることが重要です。例えば「顧客満足度を向上させる方法を見つける」「自社商材の顧客の購買行動を理解する」など、言葉で明確に説明できるようにして社内で共有しましょう。

(2)データを収集する

マーケティングでインサイトを明らかにしていくためには、情報が必要です。インタビューや市場調査、ソーシャルメディア分析などを通じてデータ収集を実施しましょう。

インタビュー調査

対象者への質問を通して、自身のことや暮らし、自社商材の感想などを引き出すマーケティング調査のことです。インサイトは消費者が認識していない欲求のため、必要とする答えをすぐに引き出すのは困難ですが、対話を通してインサイトに近づくヒントを得られます。

インターネット調査(Web調査)

インターネット調査(Web調査)とは、インターネットを活用したアンケート調査のことを指します。インターネットでアンケートを配信し、データを回収する方法です。 インターネット調査(Web調査)は定量調査の一つで、データが最終的に数値で表されることが特徴です。

行動観察調査

行動観察調査とは、対象者の行動・反応・暮らしを客観的に観察し、インサイト発見の糸口にするマーケティングリサーチです。来店客の行動を観察したり、対象者と一緒に外出して外での活動を眺めたりすると、消費者のインサイトの発見につながり、マーケティングに役立ちます。

ソーシャルメディア分析

ソーシャルメディア上に投稿された内容を分析することで、見込み客や潜在顧客の本音を調査できます。例えば、ハッシュタグで商材を検索すると消費者の本音がわかり、運用状況を分析できる機能を活用すれば、投稿を見たユーザーの数から興味の高さを探ることも可能です。

MROC(Market Research Online Community)

MROC(エムロック)とは、対象者のコミュニティをオンライン上に形成してインサイトを抽出するマーケティングリサーチです。1〜2ヶ月程度の交流機会を設けることで活発な意見交換が発生し、率直な感想を拾えたり意見の変化を観察したりできるメリットがあります。

 

なお、マーケティングリサーチで行われるデータの集め方を大きく分けると、数値で表す定量調査と感情や心理などを調べる定性調査があります。

(3)データを分析する

マーケティングリサーチでデータを収集したら、整理してパターンや意味を見つけていきます。情報量が多いほど精度が高まりますが、手動での作業が困難になりますのでデータ分析ツールを活用しましょう。また、必要に応じてデータ分析のプロに相談するのもおすすめです。

(4)インサイトを発見する

データ分析を通じて、消費者の購買行動の背景にあるインサイトを発見しましょう。隠れた欲求に加えて行動パターンや価値観なども明らかにします。このときにマーケティングで役立つのが、ペルソナ設定と共感マップの活用です。

ペルソナ設定によるインサイトの見える化

マーケティングにおけるペルソナとは、架空の顧客像のことです。ターゲットと似ていますが、ターゲットの設定が年齢や性別などの大まかなものに対し、ペルソナは興味関心や趣味などまで細かく設定します。分析からペルソナを割り出すことは、インサイトの見える化になるのです。


ターゲットの例とペルソナの例の比較

【ターゲット】37歳、男性、一人暮らし

【ペルソナ】37歳、男性、恵比寿で一人暮らし、出版社の営業、趣味は食べ歩きとドライブ、日課はニュースアプリ・SNS・Webメディアでグルメ情報や転職情報をチェックすること、休日の過ごし方はドライブと読書、転職してスキルアップしたいと考えている


社内でペルソナを設定するのが難しい、分析を継続的に自社で行なっていくリソースがない、といった場合は、ノウハウを持つ専門機関へ依頼するのもおすすめです。

 

ロイヤリティマーケティングのPERSONA+は顧客ニーズを的確に捉え、効果的なマーケティングプロモーションの実施をサポートします。マーケティングにおけるペルソナの設定・分析にお困りの場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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共感マップでインサイトの見える化

共感マップとは、対象者が置かれている状況や考えを具体的にまとめた図のことです。分析で設定したペルソナが見ていることや考えていることを詳しく書き出し、1つのマップにすることで、インサイトの見える化につながります。


共感マップで書き出す6要素と例

【見ているもの】グルメに関するSNSの投稿

●【聞いていること】会社の先輩からおすすめの店を教えてもらった

●【言っていること・行動】転職サイトのオファー内容をチェックする

●【考えたり感じたりしていること】数年後には転職したい、日本のさまざまな店を巡りたい

●【抱えているストレス】友人が家庭を持ち始めて1人の時間が増えた、今の仕事に物足りなさを感じる

●【欲しいもの】キャリアアップしたい


 

(5)インサイトを検証する

インサイトを発見したら、実際の消費者に当てはまるかどうか妥当性を検証する作業が必要です。具体的には、追加調査やフィードバックの収集などを実施します。また、社内で共有して議論したり、専門家の意見を聞いてみたりするのもよいでしょう。

(6)マーケティングでインサイトを活用する

インサイトの妥当性が検証できれば、マーケティング戦略や顧客へのアプローチに活用できます。例えば、購買意欲を向上させる広告に入れるメッセージや商品開発の方向性の見直しなどです。インサイトマーケティングにより、顧客満足度の向上やビジネスの拡大が期待できます。

マーケティングでインサイトを追求する際のポイント

マーケティングでインサイトを活用することには、多くのメリットがあります。しかし、注意すべきことがあるのも確かです。ここでは、マーケティング戦略での失敗を回避するために、インサイトを追求する際に押さえるべきポイントを解説します。

多角的に情報収集・分析する

そもそも消費者自身がインサイトを認識していないため、アンケートで手に入れた消費者の回答がマーケティングで有効活用できるインサイトに当たるとは限りません。固定観念にとらわれず、さまざまな購買データや顧客情報などを集め、多角的な視点で分析することが必要です。

モニタリングを続ける

インサイトは一定ではなく、時代の流れで変化します。発見したインサイトを活用してマーケティング活動がうまくいっても、次も同じ方法が通用するとは限りません。インサイトとマーケティング効果のモニタリングを続け、定期的に調査を実施して戦略をアップデートしましょう。

情報の信頼性に注意する

マーケティングにおけるインサイトの追求には情報収集が欠かせませんが、エビデンスが曖昧な情報やプライバシーの侵害にあたる情報を扱うと、不適切なマーケティング戦略に陥ります。データ収集の際は、情報の信頼性を確保しましょう。

マーケティングでのインサイト発掘ならロイヤリティ マーケティングへ

マーケティングにおけるインサイトは、競合との差別化を図り、ビジネスを成功に導く有効な手段です。ただ、単にデータを集めて眺めるだけではインサイトを得られません。インサイトの発見には、膨大なデータ収集とデータの中から知見を見出す専門知的な分析力が求められます。

 

Pontaポイントを運営する弊社は、ペルソナマーケティング支援サービス「PERSONA+」を通してインサイト発掘をお手伝いします。約1億のPonta会員IDに対して、独自の価値観判定を適用した「価値観クラスター属性」を付与し、迅速なペルソナ策定を実現可能です。

 


さらに、ペルソナの近似客をターゲティングすることで、メルマガやアプリなどPontaがもつ多様なチャネルでプロモーションを実行できます。インサイトを活用した効果的なマーケティングを狙う方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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