コラム

2023-10-24

ID-POSとPOSの違いとは?購買データを取得するメリットや分析事例を紹介

ID-POSを使った消費行動の分析は、効果的なマーケティング施策の要と言っても過言ではありません。本記事ではPOSとの違いやデータ取得のメリット、分析事例などのID-POSを活用したマーケティングの精度向上に大切なポイントを解説していきます。

ID-POSとPOSの違いとは?

ID-POSが誕生したのは2000年代で、それまでは1980年代から普及が進んだPOSが主流でした。POSとID-POSには大きな違いがあり、そのことが小売業のマーケティングに影響を与えています。では、ID-POSとはどのようなものでPOSとはどう違うのでしょうか?

ID-POSとは?

そもそも、ID-POSの「POS」とは「Point of Sales(販売時点情報管理)」のことで、これは商品の会計時に記録されるデータを管理する仕組みを意味します。POSにID(顧客ID)が紐づいたデータを管理する仕組みが「ID-POS」です。

ID-POSデータから把握できること

例えば、住所や性別などが紐付けられたポイントカードを使って店舗で買い物すると、誰がどこでどのような商品を購入したのか、その商品を何回購入し、他に何を買ったのかなどが記録されます。

このような購買行動をデータ化して分析・調査すると、マーケティングに活用できるのです。

ID-POSとPOSの違いとは?

POSもID-POSと同様に購買情報を取得できる仕組みですが、POSデータでは購入日や購入個数はわかっても顧客の属性情報や購買行動までは分析できません。つまり、ID-POSとPOSには顧客の属性情報・購買行動まで把握できるか否かにおいて違いがあるのです。


ID-POSデータとPOSデータから把握できる情報の比較

●【ID-POSデータの例】3月6日にAストアでD社のワインを購入した東京都港区在住の30代女性が、5月9日20:30にAストアでB社のチョコレートを3箱を購入

●【POSデータの例】5月9日20:30にAストアでB社のチョコレートを3箱を購入


 

ID-POSとPOSのデータの集め方

ID-POSとPOSは把握できるデータだけでなく、データの収集方法も異なります。

ID-POSデータの収集方法

ID-POSデータの代表的な例は、ポイントカードに含まれる情報です。例えば、小売店で顧客情報を登録してポイントカードを作成すると、顧客情報と購入商品の情報が紐付けられてID-POSデータを収集できます。また、ECサイトで得た情報を活用するという方法もあります。

POSデータの収集方法

POSデータの場合、POSレジを使って購買データを集める方法が基本です。会計をすると同時にデータが収集されていきます。使われるPOSシステムの種類は、筐体一体型POSシステムやパソコンPOSシステム、タブレットPOSシステムなど、店舗によってさまざまです。

ID-POSで購買データを取得するメリット・デメリット

POSデータを活用すると売上や利益を管理できる点が便利ですが、顧客情報が紐づいたデータを収集できるID-POSの活用にはそれ以上のメリットがあります。ただし、活用する上でのデメリットもありますので、比較しながらID-POSについてさらに深掘りしていきます。

ID-POSで購買データを取得するメリット

ID-POSデータの活用によってニーズやターゲットがより明確になり、手当たり次第ではなくエビデンスに基づいたマーケティング施策が可能となります。具体的なメリットとして、以下の3つをご紹介します。

メリット①ID-POSで顧客セグメントの分類が簡単になる

ID-POSを活用して顧客の購買データを収集していくと、性別・年代・住まいなどの属性別グループ(セグメント)の分類が容易になります。セグメントごとに情報を把握すると特に重要なターゲットがわかり、効果的なマーケティング施策を実施できることがメリットです。

メリット②ID-POSでCRM(顧客関係管理)を促進できる

消費者のニーズが多様化している現在、顧客1人1人と良好な関係を構築することで利益増大を目指すこと(CRM)が重視されています。詳細な顧客情報をリアルタイムで追えるID-POSを活用すると、新規顧客の開拓と同時に優良顧客への効率的なアプローチも可能となるのです。

メリット③ID-POSを商品企画や出店計画に活用できる

例えば、メーカーが新商品の開発にID-POSデータを活用すると、ターゲットやニーズを明確にした上で企画立案できます。また、新規出店計画に商圏調査と現在の顧客のID-POSデータを活用すると顧客の特性を深く理解できるようになり、新規顧客の開拓をスムーズに行えます。

ID-POSで購買データを取得するデメリット

発注数から新商品の開発まで幅広い分野に影響を与えているID-POSは、小売業のマーケティングにおける中心的役割を担っています。しかし、コストや分析においてデメリットがあるのも事実です。

デメリット①ID-POSはイニシャルコストが必要

ID-POSシステムの導入費用や、既存POSシステムへのID連携開発費用は安いものではありません。最初は導入を前向きに考えていても、費用対効果を検討した上で見送るケースもあります。

デメリット②収集した大量データの分析が難しい

ID-POSデータを大量に収集するだけではマーケティングに活用できず、さまざまな切り口からの分析・調査を経た上での有益な示唆が必要です。しかし、そのためには分析や調査の経験がある人材が不可欠で、その確保は容易とは言えません。

ID-POSで取得したデータの分析方法

単にID-POSデータを取得するだけでは無意味で、マーケティングに役立つ示唆を導くためにはさまざまな切り口でのデータ分析が必要です。では、ID-POSで取得したデータの分析にはどのような方法があるのでしょうか?ここからは、弊社が提供する分析方法をご紹介します。

時系列分析

まず、時間の経過によって変化するデータを分析する「時系列分析」の手法です。この対象になるのは来客数や日々の売上などで、これらのデータに影響を与える要因を分析し、将来を予測していきます。


弊社の時系列分析の特徴

●ID-POSデータを活用し、購買金額だけでなく購入者数や顧客単価の推移までも把握できる

●時系列データを区分し、商品購入者の周期的な特性を把握できる


 

トライアルリピート分析

商品を1回でも購入したことのあるトライアル顧客を母数とし、2回以上購入しているリピーター顧客の割合を分析する手法です。顧客が再び同じ商品を購入するかどうかを調査することで、市場に対する商品の浸透度合いなどを把握します。


弊社のトライアルリピート分析の特徴

●ID-POSデータにおける商品の購買以前の事前購買状況を測定し、IDごとに新規または継続の状況を把握できる

●他商品の指標と比較して商品のポジションを把握できる

●Pontaメディアにおける反応履歴を測定し、継続的なメディア反応者へのアプローチ選定に利用できる


 

属性分析

ID-POSで得た顧客情報に含まれる性別や生年月日などの属性を分析する手法です。詳しい属性を把握しておくと条件に当てはまる顧客を見つけやすくなり、ピントを絞った効率的なマーケティングを実現できます。


弊社の属性分析の特徴

●性別・居住地域などの基本属性情報と、年収・居住形態などの推計属性情に分け、それぞれの商品購入者や施策反応者の属性を把握できる

●条件を指定することで、独自の属性やセグメントを作成できる


 

併買分析

一緒に購入されやすい商品の組み合わせを調査する手法で、同時購入する商品がわかると店の陳列や販促に活用可能です。従来のPOSデータでも対応できますが、ID-POSデータを組み合わせるとより深い顧客理解につながり、意外な商品の組み合わせが見つかることもあります。


弊社の併買分析の特徴

●ID-POSデータからわかる同時購買商品や同期間の別購買商品を調査することで、他商品との相性を把握できる

●商品のコラボ探しや商品購入者に効果的なレコメンド商品の特定ができる


 

流入流出分析

顧客がどこから流入して、どこへ流出したのかを分析する手法です。ID-POSデータを使って一定期間内の顧客の購買行動の変化を追いかけ、ある商材から別のどの商材へ流れているのかを分析します。


弊社の流入流出分析の特徴

●ID-POSデータにおける同一カテゴリー内の購入金額や購入点数などを期間別に測定することで、自社商材の流入流出状況を把握できる

●メーカーやブランド別のメインユーザーを定義し、前後期間にメイン購買を切り替えたユーザーの状況を把握できる


 

ロイヤリティ分析

企業や商品に対して顧客が持っている信頼や愛着の度合いを顧客ロイヤリティと呼び、そのような顧客を分析する手法です。既存顧客との良好な関係を維持することで、継続的な利益獲得を実現する狙いがあります。


弊社のロイヤリティ分析の特徴

●ID-POSやPonta提携社サービスの利用数量を分割し、ランクを構築する

●商品の購買数量に応じた独自のロイヤルティ基準を設定し、そのランクを追跡できる


ロイヤリティ マーケティングでは、Ponta会員規約および個人情報保護法、その他の法令・ガイドラインに則り、データ分析をおこなっております。

ID-POSのデータを分析・活用するためのポイント

実際にID-POSデータを活用することになった場合、どのようなことに留意するとよいのでしょうか。

ポイント①ID-POSデータのフォーマットを統一する

導入済みのPOSシステムにIDを連携してID-POSデータとして活用する場合、データのフォーマットを統一しなければ分析作業が困難になります。適切なシステム設計を実現するためには、ID-POSデータの活用目的や分析結果の活用方法をあらかじめ明確にしておきます。

ポイント②ID-POSデータの管理方法を事前に把握しておく

ID-POSデータの管理方法はシステム提供会社のサポート体制によってさまざまで、不具合が起きた場合の連絡先や対処方法も異なります。事前に管理方法を確認して関係者で情報共有し、小さなトラブルが大きなトラブルへ発展するのを避けることが大切です。

ポイント③各店舗の特徴を踏まえて分析する

分析方法はどの業界でも大差ありませんが、どのような視点で分析するかは店舗で異なります。例えば、同じストアブランドでも店舗の場所や客層によって売れ方が変わる場合があるように、適切なアプローチで優良顧客化を図るには各店舗の特徴を踏まえた分析が必要です。

ID-POSデータの活用事例

最後に、弊社が担当したID-POSデータの活用事例を簡潔にご紹介します。


事例①ホビーメーカー様

●【課題】自社商品や他社商品の売上動向を把握したい、 顧客単価の変動を把握したい

●【分析手法】時系列分析

●【実施内容】新商品発売ごとに購入者数や顧客単価を測定し、市場の現状把握に活用



事例②嗜好品メーカー様

●【課題】新規・継続状況を踏まえた市場ポジションを把握したい、継続的な購入者・反応者を施策対象者に選定したい

●【分析手法】トライアルリピート分析

●【実施内容】自社商品や競合商品の継続購入者をモニタリングし、 施策対象者選定に活用



事例③飲料メーカー様

●【課題】自社商品・競合商品の購入者の基本属性を把握したい、各種分析の結果を属性別に把握したい

●【分析手法】属性分析

●【実施内容】自社商品・競合商品の購入者に関する属性情報を組み合わせて各商品のプロファイルを作成し、施策の検討に活用



事例④小売業者様

●【課題】特定の商品と同時購入される商品を把握したい、定番商品ではなく商品ならではの併買商品を把握したい

●【分析手法】併買分析

●【実施内容】頻繁に併買される商品を自社商品・競合商品それぞれに対して把握し、併売状況や競合との位置関係把握に活用する


 

Ponta×ID-POSでターゲットへの効率的アプローチを実現

商品にフォーカスした従来のマーケティングとは異なり、現在は顧客視点で考える効率的なマーケティング手法にシフトしています。つまり、マーケティング成功の鍵を握るのは、顧客情報が紐づいたID-POSデータです。

 

弊社は1億人超えのPontaIDと購買データを紐づけるID-POSを活用し、店舗のPOSデータだけでは把握が難しいデータ分析を可能にします。ID-POSデータを使ってターゲットへの効率的なアプローチを実現したい場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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