コラム

2024-06-26

バスケット分析とは?やり方を学んで顧客のニーズ把握に役立てよう

バスケット分析とは、具体的にどんなものかご存知でしょうか。本記事では、バスケット分析の意味やメリットについてわかりやすく解説します。やり方や事例も紹介しますので、効果的なマーケティング施策を実現するヒントとして参考になさってください。

バスケット分析とは

バスケット分析とは、顧客がレジに持ってくる買い物かご(バスケット)の中身を分析し、併せ買いされる割合の高い商品を見つけ出す手法です。よく売れる商品の組み合わせを発見することで、商品陳列の見直しやキャンペーンの企画立案に活用できます。

 

バスケット分析とよく似た分析方法として「アソシエーション分析」が挙げられますが、バスケット分析はアソシエーション分析の手法の1つでもあります。

 

アソシエーション分析は規模が大きく、ビッグデータの中から関連性やパターンを抽出します。これに対し、バスケット分析の対象は「バスケット」という名前が示す通り、やや限定されたものです。小売業のPOSデータやレシート、トランザクションデータなどが対象となります。

 

アソシエーション分析のやり方や事例について詳しく知りたい方は、下記のコラムをご覧ください。

 

アソシエーション分析とは?具体的なやり方や活用事例を理解して戦略に役立てよう

バスケット分析を活用するメリット

マーケティング活動の中でバスケット分析を行うと、どのような利点があるのでしょうか。ここでは、バスケット分析の主なメリットを3つ紹介します。

顧客満足度の向上につながる

バスケット分析によって顧客の好みや買い物の仕方の傾向がわかると、顧客満足度の向上につながります。顧客理解が深まり、ターゲットに沿った提案ができるためです。

 

例えば、バスケット分析によって顧客が同時購入する商品が割り出せたとします。同時購入する商品同士を近くに置くと、顧客にとってショッピングの利便性が高まり、満足度が高まる可能性があります。また、対面での接客において的確な提案をしやすくなり、顧客に喜んでもらえる可能性が高まるでしょう。

 

さらに、バスケット分析により顧客を理解することで、在庫管理が最適化されます。在庫の過不足が解消されるとコスト削減につながり、効率のよい店舗運営にも役立ちます。

効果的なプロモーション施策を実現できる

バスケット分析によって顧客の購買行動の関連性を特定できると、効果的なプロモーション施策を実現できるでしょう。 

 

例えば、パソコン売り場でマウスを買う顧客はマウスパッドも同時に購入する可能性が高いと分かったとします。マウスとマウスパッドをセットにして割引価格で提供するキャンペーンを実施すれば、顧客の購買意欲をさらに刺激できるでしょう。またオンラインの場合、マウスをカートに入れた顧客に対してマウスパッドをおすすめ表示することも効果的です。

顧客単価アップが期待できる

バスケット分析の結果に基づいて配置や接客を見直すと、顧客単価の向上が期待できます。例えば、購入の可能性が高い商品を近くに並べると、複数購入してもらえる機会が増えて顧客単価のアップが実現可能です。

 

また、バスケット分析によって関連商品を把握することで、顧客が最初に購入を検討していた商品よりも上位商品の購入を促進することもできます。

バスケット分析で使われる4つの指標

バスケット分析のやり方を理解するには、分析で使用する4つの指標を知る必要があります。各指標の特徴や計算の仕方を押さえて、後述するバスケット分析のやり方を理解しやすくしましょう。

支持度

支持度とは、全顧客数の中で商品Aと商品Bを同時購入した人の割合を示す指標のことです。支持度の数値が大きくなるほど売上全体に占める同時購入の割合が高くなり、支持度が低いと商品Aと商品Bの関連性が低いといえます。

 

支持度の計算

  • 支持度=商品Aと商品Bを同時購入した顧客数÷全顧客数

信頼度

信頼度とは、商品Aを購入した顧客のうち、商品Bも購入した人の割合を表す指標です。信頼度の数値が大きくなるほど、併せ買いしてもらえる可能性が高くなります。

 

信頼度の計算

  • 信頼度=商品Aと商品Bを同時購入した顧客数÷Aを購入した顧客数

 

ただし、商品Bが顧客の大多数が購入する定番商品の場合は注意が必要です。例えば、100人のうち商品Aの購入者が20人、商品Bの購入者が90人、同時購入者が10人の場合、 10÷20で信頼度は50%になりますが、商品Bの人気の数字に引っ張られているにすぎません。

 

そこでバスケット分析を行う際は、後述する「リフト値」という指標を用いて、商品Aと商品Bの関連性を正しく判断する必要があります。

期待信頼度

期待信頼度とは、顧客全員のうち商品Bを購入する人の割合を示す指標です。商品Aとの関連性はなく、商品Bそのものにどの程度人気があるのかを調べるときに使います。この期待信頼度は、次項の「リフト値」の算出に必要です。

 

期待信頼度の計算

  • 期待信頼度=商品Bの購入者数÷全顧客数

リフト値

リフト値は、全顧客のうち「商品Aの購入者の中で商品Bも購入した人の割合(信頼度)」が「商品Bのみの購入者の割合(期待信頼度)」と比べてどれくらい多いかを示す指標です。リフト値が大きくなるほど、B単体ではなくAの影響で同時購入されやすいということが示唆されます。

 

バスケット分析において信頼度が高くても、商品Aと商品B購買が無関係な可能性もあるため、リフト値を使ってAとBの相関関係を確認しておく必要があります。

 

リフト値の計算

  • リフト値=信頼度÷期待信頼度

 

なお、リフト値が1未満の場合は注意が必要です。リフト値が1以上であれば同時購買されやすく、1未満は単独購入されやすいことを示します。よってリフト値を計算して1未満の数値になった場合、商品Aと商品Bを組み合わせるのは避けた方がよいでしょう。

バスケット分析のやり方

バスケット分析の指標がわかったところで、分析の具体的なやり方を解説します。バスケット分析を3つの手順に分け、具体的な組み合わせの例を挙げながら紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

①必要なデータを収集する

バスケット分析では先述した4つの指標を求めるため、まずは計算に必要なデータを集める必要があります。必要なデータとは、全顧客数・各商品の購入者数・各商品の同時購入者数のことです。EXCELなどの表計算ソフトを使って下記のようにまとめておくと計算しやすくなります。

 

②4つの指標を計算する

バスケット分析に必要なデータが揃ったら、下記のように支持度・信頼度・期待信頼度・リフト値をそれぞれ計算していきましょう。

 

4つの指標を使ったりんごとぶどうの同時購入に関する計算例

 

  • ・支持度:20÷100=0.20→20%
  • ・信頼度:20÷25=0.8→80%
  • ・期待信頼度:40÷100=0.4→40%
  • ・リフト値:0.8÷0.4=2

 

バスケット分析の計算の順番としては、「支持度→信頼度→期待信頼度→リフト値」の順番に求めていくのがおすすめです。

 

最初に支持度を求めると、関連性の高い商品に目星がつけられるため、対象を絞れます。支持度が高かった商品を分析対象にすれば、効率よくバスケット分析を進められるでしょう。その上で、リフト値の計算に必要な信頼度と期待信頼度を求めると、分析がスムーズです。

③表にまとめて相関性を分析する

バスケット分析に必要な全ての指標の数値が揃ったら、表にまとめて分析しましょう。なお、計算の段階で表計算ソフトに関数を入力しておくと、自動計算後にそのまま表として利用できて便利です。

 

 

上記の表では①と②の支持度は共通していますが、みかんは単体購入者が多く、②の信頼度は低いです。リフト値を比較すると、②は1未満のため同時購入よりもみかん単体で購入されやすく、①のリフト値は②の3倍以上あるため、②よりも同時購入されやすいことがわかります。

バスケット分析の活用事例

実際の売り場において、バスケット分析はどのように活用されているのでしょうか。バスケット分析の一般的な活用事例と弊社の具体的な事例について紹介します。

店舗での商品陳列

店舗における併せ買い促進のレイアウトは、バスケット分析の代表的な事例です。POSデータから同時購入されやすい商品の傾向を発見して近くに陳列すると、売上向上につながります。

 

例えばドラッグストアにおけるバスケット分析によって、「10月はのど飴と風邪薬がセット買いされる可能性が高い」ことが判明したとしましょう。普段は食品コーナーにあるのど飴を、冬の時期だけ風邪薬のコーナーへ移動させれば売上アップが期待できます。

ECサイトのレコメンド

ECサイトのレコメンドも、バスケット分析の結果を活用した好事例といえます。レコメンドは、顧客におすすめ商品を提案する機能です。「こちらもおすすめ」「この商品を買った人はこれも買っています」といった内容で表示されます。

 

バスケット分析をレコメンドに活用するメリットは、対面でなくても顧客に応じた適切な商品を提案でき、顧客単価アップにつながることです。また、顧客は自分で探さなくても最適な商品を教えてもらえることになるため、顧客体験の向上も期待できます。

Ponta×ID-POSの組み合わせで購買データを分析する

共通ポイントサービスPontaを運営する弊社でも、商品の同時併売の分析に関連したサポートを行っています。Pontaの強みである膨大な会員数を活かしたアンケートと、対象商品の同時併売に関する分析などを含むID-POSデータを組み合わせた購買データ分析です。

 

例えばある飲料品メーカー様には、「商品リニューアルのために市場を把握したいが、自社には顧客や競合のデータがない」という悩みがありました。そこで、アンケートで購買シーン、ID-POSでは購買行動を分析し、意識データと行動データの両軸から市場を把握しました。

 

これにより、自社商品の購入層の詳細なペルソナを作成し、受容性が高いターゲット層を明確にすることで、今後の商品開発に役立つファクトとしてご活用いただいています。

 

この事例の詳細について知りたい方は、下記をご覧ください。

 

商品リニューアルに向けた市場把握 | 株式会社 ロイヤリティ マーケティング

バスケット分析を実施する際の注意点

バスケット分析は対象の相関性がわかる便利な方法ですが、分析のやり方や結果の活用方法について注意すべきことがあります。特に下記3つの注意点を意識しましょう。

売れ筋商品は分析対象にしない

普段からよく売れている商品は、バスケット分析の対象から除外しましょう。元々人気がある商品を分析しても、同時購入されているかどうかの傾向はつかみにくいためです。同様に、幅広い年齢層に売れている定番商品や売上が季節に影響を受けないような商品も除外をおすすめします。

商品の組み合わせに注意する

バスケット分析の結果は、「特定の商品」で分析するのか、それとも「こんにゃく」「オリーブオイル」といったカテゴリーのような「広い意味での商品」で分析するのかによって大きく変わります。

 

例えば、商品Aや商品Bといった特定商品でバスケット分析を行うと、詳細な結果を算出可能です。しかし、組み合わせる数が多くなるため購入数が分散され、バスケット分析をしても知りたい結果を得られない可能性があります。

 

一方、カテゴリーのような「広い意味での商品」で分析すると、どんなものが併せ買いされているのかについて大きな流れはわかりますが、特定商品ごとの細かい違いはバスケット分析の結果に反映されません。

 

どちらにもメリット・デメリットがありますので、バスケット分析の目的に応じて適切な方法を選択しましょう。

分析結果を売り場に反映させる場合は慎重になる

バスケット分析の結果をそのまま売り場に反映しても、うまくいかないことがあります。例えば、スーパーマーケットで虫よけスプレーとスナック菓子の組み合わせがよく売れていたとしましょう。結果を踏まえて売り場を同じにすると、両者はジャンルが大幅に異なるため、顧客に違和感を与えかねません。

 

顧客が不自然に思わないかどうかを検討した上で、バスケット分析の結果を使って売り場のレイアウトに活用しましょう。

購買データを活用してより効果的な施策を実現するならロイヤリティ マーケティングへ

指標を用いて対象の相関性を可視化できるバスケット分析は、顧客満足度の向上や効果的なキャンペーンの企画立案に役立ちます。つまり、バスケット分析は売上アップに影響を与える重要な分析手法の1つです。

 

しかしながら「バスケット分析に役立つデータを持ち合わせていない」「そもそもバスケット分析の仕方がわからない」といった悩みから、分析を施策に活かせていない企業も少なくありません。そのような場合は自社のみで解決せず、専門家のサポートを仰ぐという方法もあります。

 

弊社は、自社で保有している大規模な購買データを活用し、経験豊富なデータアナリストが、より効果的な施策の実現に向けてお手伝いいたします。分析にお困りの方やPontaを活用した分析に関心のある方は、お気軽にお問い合わせください。

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