コラム
2025-03-24
RFM分析とは?基本となる手順やメリットなどをわかりやすく解説

「RFM分析」は、マーケティング施策の最適化に役立つ手法ですが、その目的やデメリット、手順などをご存知でしょうか。今回は、RFM分析について、初心者にもわかりやすく解説します。顧客理解を深め、効果的なマーケティング施策を実施するための第一歩を踏み出しましょう。
目次
RFM分析とは
RFM分析とは、顧客の購買行動を数値化し、グループ別に分類する手法です。対象顧客を「最近商品を購入したか」「どのくらいの頻度で購入しているか」「どれだけの金額を使っているか」といった指標でグループ分けし、分析結果をマーケティング施策の最適化に活用します。
例えば、あるECサイトで過去1年間に頻繁に高額購入している顧客と、1年以上購入履歴のない顧客がいた場合、それぞれに適した施策を打つ必要があります。例えば、前者には優良顧客向けの特別キャンペーン、後者には復帰を促すクーポンを提供するなどの施策が可能です。
RFM分析は、顧客分析の一環であり、分析を実施する際のフレームワークとして活用されます。顧客分析とは、顧客の行動や属性をデータに基づいて分析し、マーケティングに活かす手法です。顧客分析の手法やプロセスについて詳しく知りたい方は、下記を参考にしてください。
RFM分析で使用する指標

RFM分析の「R」「F」「M」とは、以下の3つの指標の頭文字を表しています。
RFM分析の3つの指標
・Recency(最新購入日)
・Frequency(購入頻度)
・Monetary(購入金額)
Recency(最新購入日)は、顧客が最後に商品を購入した日です。最近購入した顧客は商品やブランドへの関心が高いと考えられるため、最終購入日からの日数が短い対象顧客を高く評価します。
Frequency(購入頻度)は、一定期間内に顧客がどれだけの回数で購入したかを示すものです。頻繁に購入する顧客は自社のリピーターやロイヤルカスタマーとなる可能性が高いため、購入回数が多い対象顧客ほど高く評価します。
Monetary(購入金額)は、顧客が累計でどれくらいの金額を支払ったかを算出した指標です。購入金額が高いほど売上に貢献する優良顧客であると判断できるため、金額が高い対象顧客を高く評価します。
RFM分析の目的

RFM分析は、主に次の2つの目的で活用されます。
顧客のセグメント化と全体像の把握
RFM分析の目的の1つは、顧客を適切に分類し、ビジネスの現状を把握することです。「どのような顧客がどのくらいの割合で存在するのか」「どの層にアプローチすべきなのか」など、単なる売上データの集計だけでは見えてこない全体像を可視化します。
例えば、「継続して購入しており、購入金額も大きいが、最近の購入履歴がない」 という顧客が多いとします。この場合、過去にはロイヤルカスタマーだったものの、現在は他社に流れてしまった可能性が考えられるため、特別オファーなどの関係の再構築を図る施策が必要です。
このようにRFM分析を通じて顧客の特性を理解することは、マーケティングの方向性をより戦略的に定めることにつながります。
グループに応じたマーケティング戦略の構築
RFM分析を行うもう1つの目的は、セグメントごとに最適なマーケティング戦略を立てることです。全ての顧客に同じ施策を打つのではなく、購入履歴に応じてアプローチを変えることで、効果的な販促活動が可能になります。
例えば、「購入頻度が高く、金額も大きい優良顧客」へのアプローチと、「過去に高額購入していたが最近離れてしまった顧客」に対するアプローチは別物です。前者には継続利用を促進する取り組み、後者には再購入を後押しするクーポン配布などの施策が考えられます。
RFM分析のメリット・デメリット
顧客理解に役立つRFM分析は、多くの企業で採用されている手法ですが、マーケティングにおいて不向きな場面もあります。ここでは、RFM分析の主なメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット

RFM分析の主なメリットは下記の3つです。
顧客情報が少なくても分析できる
RFM分析は、顧客の個人情報や細かい嗜好データがなくても実施可能です。RFM分析に必要なデータは、「最新購入日」「購入頻度」「購入金額」の3つのみであるため、詳細な顧客データが揃っていない企業や、分析を始めたばかりの段階でも活用しやすいといえます。
マーケティング施策を最適化できる
RFM分析は、ターゲットごとに適切な施策を打ち出しやすいことがメリットです。例えば、3指標とも高い水準の優良顧客に引き続き購入してもらう取り組みを行ったり、離反顧客への無意味なアプローチを取りやめたりすることで、費用対効果の高い施策につながることがあります。
PDCAをスムーズに実行できる
PDCAサイクルを効率的に回しやすいのも、RFM分析のメリットです。RFM分析によって顧客の動向が可視化されると、売上の増減要因などを分析しやすくなります。適切な対策を立てて実行し、効果を測定してPDCAサイクルを回せば、精度の高い施策を展開できるでしょう。
デメリット

RFM分析には、下記のようなデメリットもあります。
購入頻度が低い商品やサービスには向かない
RFM分析は、定期的に購入される商品やサービスに適した手法ですが、購入頻度が極めて低い商材の場合、適切な分析が難しくなります。例えば、自動車や住宅、ブライダル関連などの商品・サービスは基本的にリピートされる性質の商材ではないため、RFM分析は適していません。
詳細な顧客情報を捉えにくい
RFM分析は購買履歴に基づいて顧客を分類する手法であり、年齢や性別、ライフスタイルの変化などの要素は考慮しません。したがって、自社商材の対象となるターゲット層を深く掘り下げて精度の高いマーケティングを行うには、RFM分析に他の手法を組み合わせる必要があります。
将来の顧客動向を予測するには不十分
RFM分析は、あくまで過去や現時点での購買行動に基づいて分析する手法であり、将来的な購買意欲の変化や離反の兆候を予測するものではありません。RFM分析の結果だけをもとに、顧客との関係が今後も良好に続くと判断するのは避けましょう。
RFM分析の基本手順
RFM分析を適切に実施して売上向上やマーケティング施策の最適化につなげるために、基本の手順を把握しておきましょう。
手順①課題を把握して仮説を立てる

最初に、自社のビジネスにおける課題を明確にし、仮説を立ててどのような顧客分析を行うべきかを決めましょう。例えば、「商品の購入者が減っている」という問題がある場合、「商品購入後のアフターフォローに問題があるのではないか」などの仮説を立てます。
手順②顧客データを集計・整理する

次に、RFM分析の対象となる顧客データを集めて整理します。顧客の購入履歴に基づいて、以下のように情報を抽出してまとめましょう。

手順③分類基準を決める
RFM分析では顧客を一定の基準でグループ分けするため、下記のように分類のための基準を決める必要があります。具体的な基準は、自社のビジネスモデルやターゲットとする顧客層のニーズに応じて設定しましょう。
分類基準の例

手順④顧客をグループに分類する

手順②・③で整理したデータをもとに、顧客をランク付けし、適切なグループに分類しましょう。
まずは、下記のように集計・整理したデータと分類基準を組み合わせます。

その上で、下記のようにランクを定義し、RFM分析の結果に基づいて顧客を分類しましょう。分類方法は、企業やビジネスの内容によって異なるため注意が必要です。
分類方法の例
・新規顧客:最近購入したばかりで、まだ購買頻度が少ない顧客
・優良顧客:頻繁に購入し、高い金額を支払っている顧客
・休眠顧客:以前は購入していたが、最近は利用が途絶えている顧客
・安定顧客:定期的に購入しているが、購買金額は平均的な顧客
・非優良顧客:購買履歴が少なく、頻度も低い顧客
手順⑤仮説と照らし合わせて施策を実行する

RFM分析の最終ステップは、予め立てた仮説と分析結果を照らし合わせ、マーケティング施策の方向性を決定することです。分析結果が仮説と一致していれば、計画していた施策の妥当性が高いと考えられます。逆に、想定と異なるデータが出た場合は、施策の再検討が必要です。
RFM分析の結果に基づいた施策例
・新規顧客:初回購入後のフォローを強化し、次回購入への誘導する
・休眠顧客:再購入を促すリターゲティング広告を実施する
・優良顧客:定期購入のインセンティブ強化や限定特典を実施する
RFM分析を実施する際の注意点
RFM分析を効果的に活用するためには、データの正確性や適用範囲を十分に考慮し、適切な補完手法を組み合わせることが重要です。ここでは、RFM分析を進める際に注意すべき3つのポイントを紹介します。
事前にデータクレンジングを行う

データクレンジングとは、分析対象となるデータの誤りや欠損を修正し、正確な情報に整える作業のことです。 RFM分析の精度を高めるためには、適切なデータを使用することが欠かせません。データが不完全な状態だと、誤ったマーケティング施策につながる可能性があります。
例えば、以下のようなデータの問題に注意しましょう。
注意が必要なデータ例
・重複データ:同じ顧客が異なるIDで登録されている
・誤入力:購入金額が異常に高い、またはマイナス値がある
・欠損値:購買履歴の一部が記録されていない
加えて、RFM分析の対象データが最新のものかどうかの確認も必要です。過去の古いデータをもとに分析を行うと、実際の顧客行動とのズレが生じる可能性があります。
セールやキャンペーンを考慮する

一時的なセールやキャンペーンの影響を受けたデータをRFM分析にそのまま用いると、実際の顧客行動を正しく反映できないことがあるため、計測する時期に注意しましょう。
例えば、セール中に連続して商品をまとめ買いした顧客は、最終購入日や購入頻度において高く評価され、短期的なデータでは「優良顧客」と判断されがちです。しかし、長期的に見るとその後の購買が続かず、一時的な取引に過ぎなかったという可能性があります。
他の分析手法も活用する

RFM分析を単独で使用すると、特定の要素を見落とす可能性があります。他の分析手法を組み合わせることで、より多角的な視点から顧客の動向を把握し、マーケティング施策の精度を高めましょう。RFM分析と組み合わせる分析として、下記のような手法があります。
CTB分析
CTB分析は、顧客が好む「Category(カテゴリ)」や「Taste(テイスト)」、「Brand(ブランド)」の傾向を分析する手法です。RFM分析と組み合わせることで、より詳細なターゲティングが可能になります。
セグメンテーション分析
セグメンテーション分析は、顧客を年齢・性別・購買履歴などの軸で分類し、それぞれの特性を分析する手法です。RFM分析が「購買行動」を中心に分類するのに対し、セグメンテーション分析は「顧客属性」を考慮できるため、ターゲット層をより明確に絞り込めます。
重回帰分析
重回帰分析は、複数の要因が特定の結果(購買金額など)にどのような影響を与えるのかを分析する手法です。例えば、「新規顧客が優良顧客に育つ可能性を予測する」など、顧客の将来の購買行動を予測する際に活用できます。重回帰分析の詳細は、下記のコラムをご覧ください。
RFM分析を活用して顧客理解を深めるならロイヤリティ マーケティングへ
RFM分析を活用すると、購買行動に基づいて顧客を分類し、各グループに最適なマーケティング施策を実施することが可能となります。顧客の実態を可視化し、施策の方向性を定める際に有効な手法といえるでしょう。
しかし、RFM分析単体では限界があり、精度の高い施策の展開が期待できません。RFM分析のデメリットを補い、より高度な顧客分析を実現するためには、購買データに加えて顧客の詳細な属性やライフスタイル情報を組み合わせた分析が必要です。
共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営する弊社は、Ponta会員に紐づいたデータを活用した高度な顧客分析により、企業のマーケティングを支援しています。RFM分析だけでは見えにくい顧客の価値観や購買傾向を把握し、ターゲットに最適な施策提案が可能です。
また、アンケートで分析した自社の顧客を1億人超のPonta会員に拡大推計し、Pontaのオウンドメディアなどを通じてこれまで届かなかった潜在顧客への効果的なリーチを実現するサポートもいたします。
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