コラム
2024-06-26
アンケートとは?意味や目的から具体的な調査方法までわかりやすく解説
アンケートとはどのようなものかを改めて知ることは、円滑な調査実施につながります。本記事では、アンケートの意味や主な目的、調査方法を紹介します。アンケートそのものについて理解し、マーケティング活動でお役立てください。
目次
アンケートとは
アンケートとは、知りたい情報に対して何らかの意見や知見を持っている対象者へ調査を行い、データを集めることです。例えば、商品の使用感についてのアンケートや展示場の来場アンケートなどが挙げられます。対象者にとって回答の義務はなく、基本的に任意となります。
アンケートと市場調査の違いとは
アンケートと非常によく似た言葉に「市場調査」というものがあり、両者は意味やデータの入手方法において違いがあります。
市場調査とは、市場の動向を調べることです。マーケティング活動に役立てるため、自社のデータベースにある過去の売上データや国勢調査の統計データ、顧客へのインタビューで得たデータなどを集めます。
これに対してアンケートのデータは対象者に質問をしなければ得られず、統計データを集めることはアンケートに含まれません。アンケートのデータ入手方法は、市場調査に比べて限定的です。つまり、アンケートは市場調査の一環であり、市場の把握に必要な方法の1つといえます。
市場調査の意味や方法についてさらに詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。
アンケートの主な目的
アンケートの具体的な目的は調査を実施する企業によって異なりますが、大枠でまとめると次のようになります。
顧客の声を商品やサービスに反映させる
アンケートを実施するのは、顧客視点で課題を発見し、商品やサービスを改善するためです。商品・サービスの不満やメリットを知ることで、企業視点では気づかなかった見解を得られます。
顧客満足度を向上させる
アンケートのもう1つの目的は、商品・サービスの改善によって顧客満足度の向上につなげることです。アンケートで得られた意見を商品・サービスに反映すると、顧客にリピートしてもらえる可能性が高くなります。
さらにリピーターが増加して企業への信頼が高まれば、顧客ロイヤルティの向上にもつながるでしょう。
アンケートの種類
アンケートには、Web上で回答するタイプや紙に書くタイプ、質問に対して1つの答えを選ぶ方式、複数回答する方式など多様な種類があります。ここでは、アンケートの種類について簡単に紹介しますので、どのようなタイプがあるのかを把握しましょう。
アンケートの実施形式の種類
アンケートの実施形式は、オンラインによる方法と用紙を使った方法に分類できます。それぞれのメリット・デメリットを比較して、最適な形式を選択しましょう。
Webを使うアンケート
Webアンケートとは、対象者がメールやHP、回答フォームにアクセスして回答する形式のことです。
効率的な集計作業が可能で顧客データと紐付けて分析できるというメリットがあります。一方で、対象者はパソコンやスマートフォンの操作に慣れている人に限定される点がデメリットです。
用紙を使うアンケート
アンケート用紙を使った実施形式は、対象者に用紙を渡して記入してもらうこともあれば、対象者に対面で質問をする調査者が記入することもあります。メリットは、パソコンスキルに左右されず、誰でも簡単に回答できることです。一方で、集計作業に手間がかかるというデメリットも挙げられます。
アンケートの調査方法の種類
アンケートの調査方法は、数値で表せるかどうかによって2つに分類できます。アンケートを通じてどんなデータが欲しいのかによって調査方法が変わりますので、両者を比較してみましょう。
定量調査
定量調査とは、数値化可能なデータの収集を目的とした調査方法です。「商品に満足している人は◯割いる」「1ヶ月に◯人がサービスを利用する」など客観的な数値データを得られます。
定性調査
定性調査とは、消費者の行動や意見など数値化できないデータの収集を目的とした調査方法です。インタビューで商品やサービスの感想を聞いたり、買い物している人を観察して行動原理の発見につなげたりします。
共通ポイントサービスPontaを運営する弊社は、約220万人に紐づく購買データを活用して企業のアンケート実施をサポートしています。インターネットリサーチやインタビュー調査などさまざまな調査に対応していますので、アンケートの実施を検討中の方は下記をご覧ください。
アンケートの回答形式の種類
アンケートの回答形式には、複数の中から1つだけを選ぶタイプもあれば、複数回答も可能なタイプなどがあります。回答形式の種類による違いを理解し、目的に合ったアンケートの作成に役立てましょう。
単一回答
単一回答(シングルアンサー)とは、アンケートの選択肢の中から1つを選ぶ回答形式のことです。回答項目の違いによって、次のように分類できます。
単一回答の種類
- ・2項目選択回答:2項目から1つ選ぶ
- ・多項目択一選択回答:3つ以上の項目から1つ選ぶ
- ・尺度選択回答:段階や程度の中から1つ選ぶ
2項目選択回答は「はい/いいえ」などの2つの選択肢があり、明確な事実を確認したいときに適しています。逆に、心理面を問う質問には不向きです。例えば「思う/思わない」という2項目しかないと、中間の「ややそう思う」と感じる人は回答しづらくなるのです。
また多項目択一選択回答は、複数の選択肢の中に当てはまるものが1つしかない場合に使われます。例えば、店の利用回数を問う質問で「1回目/2回目/3回目/4回目以上」から選ぶ場合などです。選択肢の数が多すぎると回答者の負担になり、回答率が下がりますので注意しましょう。
最後に、尺度選択回答です。尺度選択回答とは、中間的な立場が選ばれる可能性を想定した回答形式のことを指します。「満足/やや満足/どちらでもない/やや不満/とても不満」といった段階で表し、5段階または7段階で区切るのが一般的です。
複数回答
複数回答(マルチアンサー)とは、選択肢の中から複数を選ぶことです。選び方の違いに応じて、次のような分類の仕方があります。
複数回答の種類
- ・多項目自由選択回答:選択する個数に制限がない
- ・多項目制限選択回答:選択する個数に制限がある
多項目自由選択回答は回答者が答えやすいのがメリットですが、無制限にするとアンケートの内容によっては回答が偏ることもあります。偏りを避けるには、「当てはまるものを3つまでお選びください」など、選択できる個数を指定する多項目制限選択回答を選ぶとよいでしょう。
順位付け
順位付けとは、選択肢に優先順位をつけて番号を記入する回答形式です。ターゲットがより重要視するものを明らかにしたいときに役立ちます。
自由回答
自由回答とは、文章や数値などを自由に記入できる回答形式です。状況を詳しく聞きたいときや、質問以外の意見・希望を募集したいときなどに用いられます。
アンケートの具体的な調査方法
アンケートの種類を踏まえた上で、具体的な調査方法を流れに沿って紹介します。
①アンケートの目的とターゲットを決める
まずは、アンケートの調査目的と対象者を明確にしましょう。アンケートの調査方法や回答形式は、目的や対象者に沿って選ぶ必要があります。曖昧なまま始めると、アンケートの作成が思うように進まず、結果にも悪影響を与えかねません。始める前に、何のために誰に対して行うのかをはっきりさせましょう。
②アンケートの調査方法を決める
目的やターゲットを踏まえて、紙媒体もしくはWeb、定量調査または定性調査といった調査方法を決めましょう。例えば調査対象者が高齢者の場合、Webアンケートを選択すると回答率が下がる可能性があります。対象者の年齢などの属性を具体的に絞り、適切な方法を選ぶことが大切です。
③アンケートの質問数・質問形式を決める
調査方法を決定したら、設問の数や形式を考えましょう。聞きたい内容を一通り洗い出したら、何のために聞くのかを考えながら質問数を取捨選択します。このとき、内容に応じた質問形式や答え方を選びます。
④質問文を作成する
質問文の具体的な表現方法は、質問の大まかな内容や形式が決まってから考えるとよいでしょう。概要を決めてから詳細を考える方が調査目的を考えながら調整でき、効率よく進められるためです。作成後は、質問の順番や表現、誤字脱字を見直して、最終チェックをしましょう。
⑤アンケートを実施する
質問文が完成してアンケートの用意ができたら、いよいよアンケートの実施です。事前にアンケートを実施する期間や実施の段取りの認識を擦り合わせておき、円滑に進められるようにしましょう。
⑥回答を集計する
アンケート回収後は、質問項目ごとに計算をしてデータにまとめます。集計作業が適切に行われなければ意思決定に悪影響を及ぼす可能性もあるため、慎重に行いましょう。集計方法は、表計算ソフトを使う方法や専門家に依頼する方法などがあります。
アンケートの集計方法についてさらに詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。
⑦結果を分析する
集計結果をデータ化したら、分析して得た知見をマーケティング活動で活用します。分析方法には、クラスター分析やアソシエーション分析など多様な種類がありますので、アンケートの目的と照らし合わせて適切な方法を選びましょう。
分析方法についてさらに詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。
アソシエーション分析とは?具体的なやり方や活用事例を理解して戦略に役立てよう | 株式会社 ロイヤリティ マーケティング
質の高いアンケートを作成するポイント
アンケートは基本的に任意ですので、協力してもらえるかどうかはアンケートの質によって変わります。では、質の高いアンケートを完成させるためには具体的にどのようなことを工夫するとよいのでしょうか。ここでは、作成時に意識したい4つのポイントを紹介します。
質問の数を絞る
アンケートの質を高めるには、目的に沿って聞きたいことを吟味し、短時間で答えてもらえるように質問数を絞りましょう。質問数が多すぎると調査対象者のモチベーションが低下し、途中で離脱される恐れがあります。あれもこれも聞きたくなるかもしれませんが、そもそも回答してもらえなければ無意味です。
アンケートができあがったら見直しを行い、設問数が多く調査対象者の負担が大きい場合は、優先順位の低い設問をカットしましょう。
質問の順番を工夫する
アンケートを作成するときは、質問の順番も重要です。簡単で答えやすい質問から始めるようにしましょう。最初に答えに詰まるような質問や難しい内容があると、調査対象者が躊躇し、回答率が低下する可能性があるためです。
また、時系列を揃えることも大切です。例えば、質問の順番が「現在→未来→過去」など無秩序だと混乱を招きます。調査対象者が容易に理解してスムーズに答えられるように、「過去→現在→未来」を意識して順番を決めましょう。
専門用語を使わない
アンケートで使用する文章は誰でも意味を理解できるわかりやすい表現を基本とし、業界や社内で使用される専門用語は避けましょう。調査対象者は商品やサービスについて知っているとは限らないため、専門用語を使うと意味を誤解して回答する可能性があります。やむを得ない場合は、補足説明を入れるなどの工夫をしましょう。
抽象的な表現は避ける
アンケートでは抽象的な聞き方を避け、具体的な表現を心がけましょう。例えば「〇〇についてどう思いますか」といった曖昧な聞き方だと、ユーザーは答えに詰まる可能性が高いです。「〇〇の品質について満足していますか」と具体的にすると回答しやすくなります。
アンケートの回答率を上げるコツ
できるだけ多くの人に回答してもらい有効なデータを集めるためには、調査対象者へのさらなる配慮が必要です。最後に回答率を上げるコツを3つ紹介しますので、アンケート作成時に実践してみましょう。
アンケートの冒頭で目的や回答時間を記載する
設問の前に目的やおおよその回答時間を載せておくと、対象者がアンケートにかかる手間や時間を把握できます。対象者は安心してアンケートに取り掛かれるため、回答率アップにつながるでしょう。
個人情報の取り扱いを明記する
アンケートに個人情報の取り扱いを記載することで調査対象者の不安が軽減され、回答率アップにつながります。回答前に伝える必要があるため、アンケートの冒頭に明記しましょう。
謝礼を用意する
任意で回答するアンケートの回答率を高めるには、ギフトカードやポイントのプレゼントが有効です。ロイヤリティマーケティングのPontaリサーチなら、全国のPonta提携社やネットサービスでつかうことができるPontaポイントをインセンティブに活用できます。
精度の高いアンケートで顧客ロイヤルティの向上を目指すならロイヤリティ マーケティングへ
アンケートを実施して顧客の生の声を拾うことで、商品・サービスが改善され、顧客満足度が高まる可能性があります。精度の高いアンケートを実現できれば効率的な改善につながり、リピーターや口コミの増加によって顧客ロイヤルティの向上にも役立つでしょう。
しかし、高精度のアンケートの実施は容易ではありません。調査設計や実施方法の選択にお困りの場合は、リサーチと分析のプロに依頼するのも1つの手です。
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