コラム

2023-11-22

いま話題の生成AIとは?覚えておきたい種類や違い、活用されているサービスを解説

近年、画像・テキスト・音声などのコンテンツを生み出す生成AIが注目されていますが、具体的にどのようなものかご存知でしょうか?本記事では生成AIの種類やこれまでのAIとの違い、実用化されたサービス、メリット・リスクなどをわかりやすく解説します。

生成AIとは?

生成AIは「ジェネレーティブAI」とも呼ばれ、大量のデータを学習してイラストや動画などのコンテンツを生み出すAIのことです。AIモデルの中では比較的新しいタイプに分類され、AIが自ら学習する「ディープラーニング(深層学習)」を用いて構築されます。

 

なお、ディープラーニング(深層学習)はAIに内包される技術のことで、機械が深いレベルで大量のデータを学習して複雑な処理を行います。

 

ディープラーニング(深層学習)とAIの違いについて詳しく知りたい場合は、下記のコラムもご参照ください。

 

機械学習の技術や活用方法とは?AI、ディープラーニングとの違いや関係性まで解説

これまでのAIと生成AIの違い

従来のAIの役割は、プログラムされた内容をもとに予測・分析することで創造的な結果ではなく構造化された結果を出力するのみでした。これに対して生成AIはデータのパターンを学習し、イラストやアートなどの新しいコンテンツを創造できます。


AIでできることの例を比較

【従来のAI】製造ラインにおいて製品の正しい状態をAIに学習させ、不良品を検出する

●【生成AI】音楽生成AIで動画用の簡単なBGMを作曲する


 

生成AIの仕組み

生成AIは、ニューラルネットワークを使って既存の膨大なデータからパターンを学習し、新しいコンテンツを生み出していきます。ニュートラルネットワークとは、人間の脳の神経回路網を数学的に表現したものです。複雑なアルゴリズムを使いながら大量のデータを処理します。


AIでアートを制作する際の大まかな仕組み

●【AIが学習する段階】大量のテキストとイラストのペアをAIに学ばせる

●【AIが生成する段階】テキストを入力すると、学習データをもとに新しいアートを生成する


 

生成AIができないこと

生成AIは人間が与えた学習を繰り返して新しいコンテンツを生み出しますが、人間のように思考してコンテンツを生成する技術はまだ実現していません。今後の技術の進歩によって実用化される可能性もありますが、現段階ではAI自らが判断を下して何かを生み出すことは不可能です。

生成AIを利用するメリット

2011年頃に第三次AIブームが起こり、ビジネス・医療・教育など私たちの暮らしのあらゆる場面に大きな変化をもたらしました。そして、現在注目されている生成AIは、社会に対してさらに大きな影響とメリットをもたらすといわれています。

メリット①アイデアの創出・提案補助

人間の思考は先入観に左右されますが、生成AIは人間と違う性質を持ち、人間に思いつかない絵や音楽などの作品を生み出すことがあります。また、頭の中でまとまっていない考えをAIに入力して要約して作品制作のアイデアにするなど、補助的な使い方も可能です。


生成AIによるアイデア創出・提案補助の例

●実際には存在しないリアルなイラストを出力する

●小説の断片的なアイデアを入力し、あらすじとして出力させる


 

メリット②時間とコストの削減

体調やモチベーションに左右される人間と違い、生成AIはコンテンツを安定してスピーディーに生み出せるため、作業時間の短縮化を実現して効率化につながります。また、pcブラウザやスマートフォンのアプリを通じて無料で利用できる生成AIもあり、コスト削減も実現可能です。


生成AIによる時間とコストの削減例

●無料でイメージに合うイラストを生成できるwebサイトを活用する

●無料アイコンを作成できるアプリを利用する


 

生成AIの危険性

生成AIは私たちの暮らしをより便利で豊かなものへと変えつつありますが、一方でさまざまな危険性も指摘されています。人間の仕事を奪ったり、コンテンツの作り方次第では権利問題を引き起こしたりする可能性もあるのです。

権利侵害につながる可能性がある

生成AIが生み出したコンテンツは基本的に著作権フリーであるものの、作り方によっては権利侵害につながることもあるので注意が必要です。この点については今後さらなる議論や法整備の構築が必要ですが、文化庁が下記のような一定の見解を示しています。


文化庁による「AIと著作権の関係等について」のポイント

●「AI開発・学習段階」と「生成・利用段階」の2段階に分けて考える必要がある

●「開発・学習段階」において、著作物に表現された思想または感情の享受を目的としない利用行為は、原則として著作権フリーで利用可能。ただし、必要な限度を超える場合や著作権者の利益を不当に害する場合は例外

●「生成と利用段階」において、AI生成画像をアップロードして公表する行為や複製物を販売する行為についての著作権侵害の判断は、通常の著作権侵害と同様に扱われる。ただし、私的な鑑賞など著作権法で利用が認められている場合を除く

●生成画像に関して、既存の著作物との類似性や依拠性が認められると、損害賠償請求・差止請求の可能性や刑事罰の対象となる可能性もある


AIと著作権の関係等について-内閣府


注意したい事例

●AI絵師(生成AIでイラストやアートを作って販売する人)がAIで生成したフリー素材に手を加えて完成させると、著作権が発生する可能性がある

●既に存在している著作物を組み合わせて作ったアートやアイコンなどのAI生成物(いわゆるコラージュ)は、オリジナルの著作権者に著作権が発生する可能性がある


 

登録した情報が犯罪に悪用されるリスクがある

AI生成サイトやシステムに登録した情報が、サイバー犯罪を引き起こす可能性があります。例えば、作業を効率化しようと生成AIに会社の内部情報や顧客データを入れると情報漏洩につながります。そのため、企業内で事前のルール策定が必要です。

生成AIの種類

生成AIには画像や音声などさまざまなタイプがあり、アイデアの創出や業務効率化などに活用されています。ここからは、具体的にどのような種類があって何に活用されるのかをご紹介します。

種類①画像生成

画像生成AIとは、入力テキストにしたがってAIが画像を生成するシステムです。数秒~数十秒で新しい画像を生成できるサービスや、メールアドレスを登録すればフリーで利用できるサイトもあります。簡単な作り方ですぐに画像が手に入るため、さまざまな業務で活用可能です。


活用方法の例

●クリエイティブな分野で、アート作品やキャラクターデザインに活用する

●一般的な業務において、資料の内容に沿ったイメージ画像を生成する

●ホームページ作成業務において、サイトに使用するアイコンを生成する


 

種類②テキスト生成

テキスト生成AIとは、人間が入力した質問をAIが解析して回答となるテキストを作り出すシステムです。精度は言語やモデルの作り方にもよりますが、人間のようにリアルで自然な回答ができるフリーのサービスも誕生しています。


活用方法の例

ECサイトにおいて、webに掲載する商品のキャッチコピーを出力する

●企業のwebサイトにおいて、テキスト生成AIの技術を用いたチャットボットを導入する


 

種類③音声生成

音声生成AIとは、登録された音声データの特徴を学習して新たな音声データを生成するシステムです。学習済みの声でテキストを読み上げるだけでなく、感情に合わせて表現を変化させるモデルも構築されています。音声コンテンツの作り方が容易で、活用の場が拡大しているAIです。


活用方法の例

●コールセンターにおいて、AIの電話応答システムを導入し、24時間いつでも自動応答できるようにする

●駅構内において、電車の発着や乗り換え案内に関するアナウンスをAIが行う


 

種類④動画生成

動画生成AIとは画像生成AIを応用したもので、テキストを入力するとイメージに合う動画を生成するシステムです。動画の作り方はさまざまで、画像とテキストをセットで入力して動画を作るタイプもあります。


活用方法の例

●アパレルのECサイトにおいて、実際には存在しないファッションモデルをAIで生成し、あらゆる洋服のパターンを見せる動画を制作することで撮影の手間やコストを省く

●テキストデータをAIに入力して人が喋っている講義動画を自動生成し、オンライン学習サイトのコンテンツにする


 

生成AIを活用した具体的なサービス

生成AIは既にさまざまなシーンで活用されていますが、ここからは近年注目されている3つのサービス例を具体的にご紹介していきます。

【テキスト生成AI】ChatGPT

2022年に米国の「OpenAI」がリリースしたテキスト生成系AIです。質問を入力するとAIが返信する対話型サービスで、web上の膨大なデータを学習し、複雑な質問にも円滑に回答します。ただし、現段階では古い情報を学習しているため、誤った回答になることもあります。


特徴

●有料プランもあるが、メールアドレスを登録すれば無料で利用できる

●知りたいことを質問できるだけでなく、文章の要約やプログラミングコードの生成もできる

●ブラウザ上とアプリで使用できる


 

【画像生成AI】Stable Diffusion

英国の「Stability AI」が2022年に公開した画像生成のAIモデルです。画像の作り方は簡単で、ユーザーがテキストを入力すると約数十秒で画像が生成されます。オープンソースAIとして無料で公開され、画像の生成枚数に制限がないのが特徴です。


特徴

●無料のオープンソース

●あくまでもモデルであり、単体では使用できないので動かすためのツールが必要

●現段階で生成された画像は著作権フリー

●web上のデータで学習し、生成画像の精度が高いとされている



使う方法

●ブラウザ上のサービスを使う方法(無料・有料、登録が必要なものなどさまざま)

●PCにインストールする方法(専門的知識が必要)


 

【文字起こし生成AI】Whisper

ChatGPTを開発した「OpenAI」による文字起こしのサービスです。web上の膨大な多言語音声データを学習し、ユーザーが音声データを入力すると自動でテキストを出力します。高精度な文字起こしも可能で、会議の議事録作成などに活用されているAIです。


特徴

無料の音声認識モデル

PCへのインストールまたはアプリで使用可能

日本語にも対応


 

生成AIを扱う際の注意点

最後に、生成AIを利用する際に現段階での注意点をご紹介します。生成AIは便利な一方でさまざまなリスクを抱えているため、以下の注意点を踏まえたとしても安全とは限りません。

しかし、最低限の注意点を知っておけば大きな問題に発展するリスクを軽減できます。

注意①著作権や法的問題を確認する

AIが著作権のあるデータをそのまま使ったり、著作物と酷似したコンテンツを生み出したりすると、生成物に著作権が発生する可能性があります。そのため、商用利用する場合は著作権侵害にあたるケースについて事前に確認し、場合によっては専門的な助言を得てからの利用が安全です。

注意②プライバシーに関する情報に気をつける

生成AIは学習のためにユーザーのデータを保存することがあり、入力したデータがプライバシー問題に発展する可能性があります。生成AIサービスを利用する場合は各システムの規約を確認し、社内で使用ルールを設けるなどの対策が必要です。

注意③コンテンツの正確性や信ぴょう性を確認する

本物と見分けられないほどリアルな画像を簡単に生成できるため、詐欺やフェイクニュースの拡散に悪用される恐れもあります。現時点ではコンテンツの作成者を特定することは困難で、法整備などは発展途上にあるため、利用者自身によるファクトチェックや判断が必要です。

ロイヤリティ マーケティングは複雑化・高度化するAIマーケティングをサポート

生成AIの普及や進化は、アイデア創出のサポートや作業効率化などのメリットをもたらしていると同時に、ビジネスの在り方をますます複雑化・高度化させています。このような時代でマーケティングを成功に導くには、専門知識やスキルが必要です。

 

ロイヤリティ マーケティングでは、Pontaビッグデータを扱ってきたアナリスト陣が分析で培ったノウハウを駆使し、データ収集から分析に至るまでの悩みを解決いたします。最新テクノロジーを活用して事業を発展させたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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